◆藤田裕喜議員 議長のお許しをいただきましたので、通告の順に従い、初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず1、自殺対策についてです。
私自身、小さいころからよくいじめられ、一時期は本当に人生をもう諦めようと思ったことがありました。私は何とか思いとどまることができましたが、残念ながら3人の同級生を自殺で亡くしています。1人は10代で、もう1人は20代中盤で、もう1人は30歳になる直前のタイミングでした。誰がどう考えても、人生を諦めるにはまだ早すぎる、まだこれからどうにでもできるというタイミングではないでしょうか。
私は、3人の同級生の自殺の話をいずれも後から聞きましたので、非常にショックが大きかったです。なぜか。それは、自分が何もできないままに同級生たちを死に追いやってしまったと感じたからです。自分が何か連絡していれば自殺は防げたのではないか、何か相談に乗ることができていれば最悪の結果は防ぐことができたのではないか、そう思ったからです。そして、その思いは今でも消えません。後から聞いたので、ずっと後悔の思いというのは消えないのです。
私のように辛い思いをする人が今後二度と蒲郡市から出ないように願って、蒲郡市の自殺に関する施策についてお伺いしてまいります。
まず、蒲郡市における自殺の現状と実態についてお伺いします。
蒲郡市における自殺の実態について、国からデータがある平成24年、2012年度以降の自殺者数についてお知らせいただけますでしょうか。年代や性別など、特徴が見られるようでしたらあわせて御答弁をお願いします。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 蒲郡市における近年の自殺者数につきましては、国から提供された地域自殺実態プロファイルからの数字ではございますが、平成24年が15名、平成25年が18名、平成26年が16名、平成27年が19名、平成28年が21名となっており、若干のでこぼこがございますが、全国・県の減少傾向とは異なり、増加傾向が見られました。なお、平成29年につきましては、12名と減少しております。
また、平成24年から平成28年までの5年間の本市の統計を見ますと、60歳以上の男性、特に80歳以上の男性の自殺が多い傾向にあるということでございます。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 平成24年、2012年以降では、蒲郡市では少なくとも101名の方が自殺によって命を落としているということがわかりました。
これらの自殺の原因、要因についてはわかっているのでしょうか。どのように把握されているのでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 自殺の主な要因といたしましては、健康問題、老後の生活困難、介護疲れ等の複合的な要因が重なっているものと推測しております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、蒲郡市自殺防止対策計画を策定するに至った経緯についてですが、先ほど御答弁にありましたとおり、推測の中で対策を立てなければならないというのはなかなか困難であることのように思うのですが、このたびつくられましたこの蒲郡市自殺防止対策計画には、どのような背景、経緯があるのでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 平成28年4月改正の自殺対策基本法に基づき、市町村にも自殺対策の計画策定が義務づけられたこと、また、本市においては、先ほど御説明しましたとおり、平成24年から平成28年の自殺者数が全国や県の自殺者数が減少傾向にあるのに対して増加傾向が見られたことから、速やかに計画策定に取りかかりました。
平成30年度の1年間を策定期間といたしまして、平成31年の3月に、「誰も自殺に追い込まれることのないまち 蒲郡」を目指すまちの姿としまして、蒲郡市自殺防止対策計画を作成いたしました。
なお、計画期間といたしましては、平成31年度から令和7年度までの7年とし、第2期からは地域福祉計画と計画期間を合わせ、5年計画とする方向で、今、検討しております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 今年が最初の年度ということですが、この蒲郡市自殺防止対策計画の具体的な中身についてお伺いしていきたいと思います。
私自身が自殺をめぐる問題に取り組むNPO法人で代表を務め、活動をしてまいりました経験を踏まえて、この計画を改めて確認させていただきましたが、基本的な事柄や必要な政策はカバーされておりまして、過不足のない大変よくできた計画であるというように感じております。
ここで2つお伺いしたいと思うのですが、まず1点目に、計画の中で鍵になるであろうゲートキーパー研修についてお伺いします。
ゲートキーパーとは、英語では門番という意味ですが、自殺対策においては命の門番とも言うべき役割を担う人のことです。ある団体の調査によると、自殺に至る人は平均して4つのリスク要因を抱えているという結果が出ています。例えば、病気や借金、生活や仕事、家族や将来のことなど、幾つもの悩みと不安が絡み合ってしまった結果、自分ひとりでは解決ができなくなってしまって自殺に至ってしまうということがわかっています。
また、自殺してしまった人の7割は、実は自殺する前に誰かに相談をしているということもわかっています。幾つもの悩みがあって、助けを求めて、それでも解決できない場合、人生を諦めてしまう。その助けを求められたときに気づくことができるようになる、そしてうまく対応できるようになること、例えば、話を聞いてあげるとか専門家につなげるとかいったことですが、よりよい解決策を持っているであろう人につなげていく、それがゲートキーパーの役割です。
ゲートキーパーは、その悩んでいる人の悩みを全て自分で引き受けて解決していく必要はありませんし、何かの専門家である必要もありません。誰もがゲートキーパーになれますし、なるべきであると私は考えています。
そして、そのための研修がゲートキーパー研修です。私自身が感じているような、自分は何もできないままに同級生を自殺に追いやってしまったという後悔を少しでもなくしていくための手段、それがゲートキーパー研修であり、自殺対策においては非常に重要な鍵になる取り組みであるということを強調しておきたいと思います。
市役所においては、少なくとも、およそ市民の皆さんから相談を受ける可能性がある職員の方は皆さんがゲートキーパーであるべきですし、このゲートキーパー研修を受けるべきであると思います。理想を言えば、全関係者、全ての皆さんが研修を受けて、なおかつ定期的にスキルアップしていくという形で研修を受け続けていくことが望ましいのですが、優先順位を考えるならば、やはり市民とじかに接することが多い部署で、特に窓口の方の優先順位が高いです。
ただ単に手続のために窓口に来られるという場合もあろうかと思いますが、何らかの相談や何らかの困りごとを抱えて窓口に来られるという場合ももちろんあると思います。そのときに、何らかの異変、何らかの変化に気づくことができれば、自殺の予防につなげることができます。
ここでお伺いします。市の自殺防止対策計画には、新しくゲートキーパー研修が盛り込まれていますが、まず、ゲートキーパー研修はどのような内容を予定していて、どのような職員が参加する予定となっているのでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 藤田議員おっしゃられるとおり、ゲートキーパーの育成というものは、今回の計画の中では最重要な問題として取り組んでおります。
そういったところで、新規事業といたしまして、市職員向けの人事課特別研修を実施するということで、各部署から1名以上は参加させ、窓口をやっている職員を優先的にということになっておりますけれども、毎年1回これを実施してまいります。
また、民生委員、児童委員向けに、委員改選が3年に一度あるわけなのですけれども、そのときにケアマネージャー、介護職員向けの研修と合同で実施してまいります。
そして、対策強化としまして、福祉課主催の研修を年2回予定しております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ゲートキーパー研修にも、実際にはいろいろな種類があります。初めて受ける人向けのもの、1年後に2回目として受ける場合、あるいは数年後に3回目、4回目としてフォローアップとして受ける場合など、さまざまです。
今後、どのような研修をどのようなスケジュールで行い、最終的にいつまでに何名の職員が研修を受ける予定になっているでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 まず、市職員の研修受講者につきましては、1年後にスキルアップ研修を行います。また、民生委員、児童委員及びケアマネージャー等につきましては、受講1年後にアンケート調査を行い、研修で得た知識の実践度を確認してまいります。
そして、市職員に対する研修は、2年目以降は未受講者に受講をさせ、自殺に対する知識を有する職員数の増加を図っていくというように考えております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 このゲートキーパー研修ですが、ぜひ市民の皆様にも公開して、公開講座として誰もが参加できるようにしてはどうでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 公開講座につきましては、市民向けの自殺防止対策の講演会を毎年実施することを予定しております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 状況は大変よくわかりました。
職員の皆さん、それから関係者向けの研修については大変充実していて、フォローもしっかりされるということがよくわかりました。ぜひ、全職員に行き届くように続けていただくようお願いします。
また、公開講座についてもよくわかりました。市民の皆さん一人一人がゲートキーパーとなれるよう、こちらもぜひ続けて講座を開いていただくようお願いいたします。
それから、もう1点、重要なポイントだと感じたのは、どのように広報するか、またどのようなリーフレットを作成するかということです。広報の仕方、また作成するリーフレットは、それを目にした人、手にした人が実際に自殺を思いとどまり、例えば、リーフレットに書いてある窓口に相談してみようとか、電話だけでもしてみようと思うかどうかといった直接的な結果につながりますので、非常に重要な役割を果たします。
今回、まず、この計画に基づいて行う広報ですが、どのような対象者に向けて行うもので、また、どのような内容になっているでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 本市では、高齢者、特に男性の自殺が多い傾向にあることから、広報がまごおりに毎年3月に高齢者のうつ病について特集を組みまして、相談窓口などを周知してまいります。
また、9月の自殺防止週間に合わせて、広報がまごおりに自殺に関する周知、啓発記事を掲載してまいります。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、リーフレットについてですが、何種類作成する予定で、それぞれどのようなサイズか、また、作成部数、配布先と配布の予定について、ホームページで公開するかどうかも含めて、それぞれお知らせください。
特に、配布先についてですが、ぜひトイレの個室の中にいつも置いておくという方法を提案したいと思います。
悩み事があっても、人目のつくところでリーフレットを手にしたくない、また、人に知られずに悩みを相談したいというニーズは実際には多くて、私が聞いたケースでも、トイレの個室の中のリーフレット、この場合は名刺サイズのカードでしたが、これがどこの施設のリーフレットよりも一番数が減っていたという事例を聞いています。ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 自殺相談先を記載したリーフレットやカードにつきましては、学校を含む公共施設に設置していく予定でございます。また、成人式の配布資料にも心の悩みに関する相談窓口のリーフレットを加え、新成人への啓発なども行っていく予定をしております。
なお、リーフレットやカードのサイズ、部数につきましては、見やすくわかりやすいものを検討し、必要部数を作成していく予定でございます。
また、啓発資料につきましては、ホームページでもお知らせしたいと考えております。
あと、藤田議員御提案のトイレの個室に設置するということですが、我々事務のほうではなかなかそういう情報が得られないものですから、こういう貴重な御意見をいただいたものですから、検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 最後に、今後の対応についてです。
今後、この計画の改訂や施策の見直しについて、どのように取り組んで行く予定でしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 毎年、蒲郡市自殺防止対策策定委員会を招集しまして、1年間の進捗状況を確認します。その中でいろいろ検討して、実際の行動、実施といったものもやっていきたいと思っております。
なお、本計画は7年計画でございますが、国の自殺防止対策の方向性に大きな転換が図られる場合、また、市として必要と判断する場合に、目標年度前に一部見直しを行う可能性もございます。
また、精神疾患の患者支援、高齢者の包括的な支援にも深く関わることから、蒲郡市障害者自立支援協議会及び蒲郡市地域包括ケア推進協議会においても、年1回の状況報告を行ってまいります。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 もう1点、ぜひ御検討いただきたいのは、地域の団体やNPOとの連携です。
蒲郡市自殺防止対策計画には、地域におけるネットワークの強化という基本施策がありますが、地域の団体やNPOは加えていただいておりません。また、計画に示されている命を支えるイメージ図にも、残念ながらNPOなどの団体が入っておりません。
確かに、蒲郡市のNPO団体の中で自殺をメーンの課題としている団体は少ないかもしれませんが、さまざまな悩みを持った人とともに活動している団体や、具体的な支援活動に取り組んでいる団体など、さまざまな団体があります。それぞれの活動の現場はまさに課題の最先端であり、たくさんの情報が集まる場でもあります。そうした団体と連携をすること、情報交換をしたり意見を聞いたりするということは、より充実した自殺を防ぐ政策のためには必要不可欠なことではないかと思います。
ぜひ、地域の団体やNPOとの連携を進めていただくようお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○伊藤勝美議長 市民福祉部長。
◎竹内仁人市民福祉部長 藤田議員御提案の、自殺防止に関係する取り組みを行っている地域の団体やNPOの声について、生の声というのは本当に貴重な意見というように思っておりますので、ぜひお話をお聞きしたいと思っております。
以上です。
○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 蒲郡市の自殺をめぐる現状や課題、今後の取り組みについて、大変よくわかりました。
蒲郡市の計画にもあるとおり、自殺はその多くが防ぐことができる社会的な問題であり、社会の努力によって避けることができる死でもあります。
もう二度と悲しい思いをする人が出ないよう、私も全力でお力添えをしたいと考えておりますので、引き続きの取り組みをお願いいたします。