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性的マイノリティをめぐる諸課題について(2020年6月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告に従い質問いたします。
 性的マイノリティーをめぐる諸課題についてお伺いします。
 私自身この性的マイノリティーをめぐる課題については、学生時代から様々に学びを重ねてきたことであり、また、議員に当選させていただく前に関わっていたNPOの活動の中で最も力を入れて取り組んだことでもあります。この間、たくさんの様々な困難に直面させられてきた性的マイノリティーの仲間たちとともに、学ぶだけでなく具体的に居場所づくりや講演会、勉強会の主催、また映画祭などイベントの実施、政治や行政、メディアに対する働きかけなど、様々な活動に取り組んでまいりました。今回は、これまでの学びや経験を踏まえて市の施策についてお伺いしていきたいと思います。
 さて、私には1歳半を過ぎた小さな子供がいます。子供と一緒に出かけたときなどは、いろいろな人から声をかけていただけるのですが、たまに男の子ですか、女の子ですかと聞かれる方があります。この質問に対して、どう答えることができるでしょうか。人が男であるとか女であるといったことの根拠とは一体何でしょうか。人の性の在り方は、単純に男性であるか女性であるかに分けて考えることができません。人の性の在り方を考える観点は、様々ありますが、まずはキーワードとして、性自認と性的指向から話を進めます。
 性自認とは、人が自分自身の性別をどう考えているかということについてのある程度持続的な自己意識、アイデンティティーのことをいいます。自分自身がどう考えているかということですから、生まれたときに割り当てられた性別が女性であったとしても、人生のいずれかの段階で、例えば自分が女性ではないと感じたり、あるいは女性として生まれたが、自分は男性であると考えたり、女性と男性の間であると考えたりする場合など、様々な場合があります。こうした自分自身の性別に対する認識を性自認といいます。
 次に性的指向とは、魅力を感じる対象の相手がいるかどうか。そして、その対象の相手がいる場合、その相手はどういう性の人かをいう概念です。例えば、自分のことを女性であると認識していて、魅力を感じる対象の相手が女性である場合、性的指向は同性愛で、女性同性愛者レズビアンといいます。
 一方、自分のことを男性であると認識していて、魅力を感じる対象の相手が男性である場合、性的指向は同性愛で男性同性愛者ゲイといいます。また、自分のことを女性として認識していて魅力を感じる対象の相手が男性である場合、性的指向は異性愛で異性愛女性ということができます。異性愛も性的指向の一つです。
 なお、この指向という漢字は、指が向くという漢字を書きます。志が向く志向でもなければ、好んでたしなむ嗜好品の嗜好でもありません。性的指向は、一定であって変化しないというわけではないのですが、しかし、志や好き嫌いのように自分の意思で変えられるものではないという意味で、指が向くという漢字を使います。
 このほかにも人の性別を規定する要素は様々あります。例えば戸籍上の性別です。戸籍上の性別は、多くの場合、出生時に医師によって判定された性別が基になっています。その根拠は、多くの場合、外性器の形状です。見た目がどういう形か、大きいか小さいかなどによって判断されています。生まれてから14日以内に出生届を出さなければなりませんので、遅くともそれまでにどちらかに決定するということになっています。
 性別を判定する際、確かに外性器の形状は重要な一つの要素ではありますが、外性器だけではなく、内性器や性腺の状態、また、染色体の構成など様々な要素があります。これらの身体的特徴を身体的性といいます。この身体的性の様々な要素が大多数の人と異なる非典型的な姿を示す場合があります。その分類、類型は非常に多様で、身体的性も女性か男性かにはっきりと分けることはできません。
 なお、生まれたときに割り当てられた性別のまま、その人が生涯を生きるかどうかは誰にも分かりません。生まれたときに割り当てられた性別と、将来の性自認とが一致するとは限らないのです。さらに、ジェンダー表現、ジェンダーエクスプレッションも人の性別を表す要素です。
 ジェンダー表現とは、自分の性を外に向けて示すことをいい、服装や髪形、動作や会話、また、名前や自分の一人称などの行動や振る舞い全般をいいます。ジェンダー表現も女性的であるか男性的であるか、二分されて考えられることが少なくないですが、当然のことながらどちらか1つしか表現できないというわけではなく、人によってその表現の在り方は様々です。そして、もちろん性自認や戸籍上の性別とジェンダー表現が一致するとは限りません。女性の性自認を持ちながら、男性のジェンダー表現を望む場合もあり、性自認とジェンダー表現はそれぞれ独立しているものと考える必要があります。
 以上のように、今御紹介しただけも人の性の要素には、性自認、性的指向、生まれたときに割り当てられた性、戸籍上の性別、身体的性、ジェンダー表現と様々あります。人の性の在り方は、単純に女の子であるか、男の子であるかというように分けられません。2つに分けることなど到底できないのです。女の子なのか、男の子なのかといった、その問い自体が問い直されなければならないということです。
 さて、このように多様な人の性の在り方を最近では一言でLGBTと表すことがあります。Lはレズビアンで女性同性愛者、自分のことを女性と認識していて魅力を感じる対象の相手も女性である人のこと。Gはゲイで男性同性愛者、自分のことを男性と認識していて魅力を感じる対象の相手も男性である人のこと。Bはバイセクシュアルで同性愛者、魅力を感じる対象の相手の性を問わない人のこと。Tはトランスジェンダーで、生まれたときに割り当てられた性に違和感がある、あるいは越境する人のことをいいます。このそれぞれの頭文字を取ってLGBTと言っています。
 このLGBTという用語は、短くて簡単で分かりやすいため、ここ数年で大きく広まり、多くの人にもその言葉が知られるようになったと感じています。LGBTが性的マイノリティーの全体を代表するとか、総称するとかいったように使われることもあるのですが、私はこれは大変不適切であると考えています。それは、L・G・B・T以外にも性的マイノリティーは存在するにもかかわらず、L・G・B・T以外の存在が無視され、いないことにされてしまっているからです。
 例えば、人に対して性的な魅力を感じないアセクシュアルという性の在り方は、このLGBTからは見えない存在にされてしまいますし、複数の人と親密な関係を持つポリアモリーという性の在り方も見えない存在にされてしまいます。また、先ほど御説明した身体的性の多様性についてもLGBTからはやはり見えない存在です。
 LGBTという言葉は、確かに一見分かりやすく便利ではありますが、新たな問題を引き起こす言葉であり、性的マイノリティーの中に新たな差別、さらなる差別を作り出すような言葉です。したがって私は不適切であると考えています。私自身もそのような差別に加担したくないと考え、今回の質問では性的マイノリティーと言い方をいたしますし、行政においてもこうした差別を容認、放置すべきではないと思いますので、LGBTではなく、性的マイノリティーという言い方をすべきであると思います。
 ところで、このLGBTという言葉が一般に流布した要因の一つに私はテレビのバラエティー番組の存在があるのではないかと考えています。特に最近、おねえタレントと呼ばれる人たちが出演される機会が非常に多いと感じておりまして、一昔前と比べると状況はかなり変化しているということを実感します。しかしながら、まだ多くの場合でテレビの中でおねえタレントの人たちに与えられた役割は、ばかにされ、笑われ、からかわれる対象であり、言ってみれば、性の在り方がほかの出演者と異なることを理由として、いじって差別してもよい存在として扱われているのではないかと感じます。そして、タレントの皆さんもそうした役割を甘んじてか、喜んでか分かりませんが、いずれにしても引き受けている、あるいは、引き受けさせられているという現状があるのではないかと思います。この認識がテレビを見ている人たちにも共有されてしまっており、家庭内にとどまらず、学校や職場、また地域の中での様々な集まりの中でも、おねえタレントの人たちがからかわれ、ばかにされ、笑われる対象となっています。すなわち性的マイノリティーは、からかってもよい存在、ばかにしてもよい存在、笑ってもよい存在だと広く共有されてしまっているのではないかと感じます。
 もし、学校や職場で自分が性的マイノリティーであることを打ち明けたらどうなるでしょうか。真面目に受け止めて悩みを理解し、相談に乗ってくれるでしょうか。そうではなく、自分自身がばかにされ、きちんと理解されないばかりか、からかいやいじめの対象になってしまうのではないか、そう感じてしまったとしても無理はないでしょう。
 性的マイノリティーは、テレビではよく見るけれども、自分の周りにはいないとおっしゃる方が多いのですが、それは御自身の周りにいないのではなく、見えなくなってしまっているからです。性的マイノリティーであることを言い出せないために、いないことにされてしまっているという現状があるからです。性的マイノリティーが自分の周りにはいないという人は、自らが性的マイノリティーの存在をいないことにしているのではないか、自省してみる必要があるのではないでしょうか。人に笑われたり、ばかにされたりすることを恐れて、自分が性的マイノリティーであることを人に言えなくなり、むしろ隠すようになります。そうすることで一層、性的マイノリティーの姿が見えなくなりますので、やがて自分以外には性的マイノリティーは存在しないのではないかと考えてしまうような状況も生じてしまいます。こうした状況が性的マイノリティー自身をさらに追い込み、生きる希望を失わせているという現状もあります。
 実際に宝塚大学看護学部の日高庸晴教授の調査によれば、異性愛ではないことを理由として自殺を企て図った人の割合は、異性愛者の約6倍に上るという結果も出ています。そこまで性的マイノリティーを生きづらい状況に追い込んでいるというのが現状です。これは、性的マイノリティーをそうした生きづらい状況に追い込んでいるマジョリティ側の問題であって、まさに社会の問題であるといえます。
 よくこの性的マイノリティーであることをその人の個性であると捉える人もいるのですが、私はこの個性であるとの捉え方は、問題を矮小化しており不適切、不適当だと考えています。個性であるとの捉え方は、性的マイノリティーであるがゆえに直面させられる様々な問題をその人の個人の問題であると捉え、責任をその人に押しつけ、その人自身が解決すべき問題であると決めつけるようなものです。その問題を周囲に知らせることなく、私的な領域に閉じ込めるよう言い渡しているかのようです。いじめや差別が現実に起きていて、人の生死にも関わる問題でもあるにもかかわらず、そして実際には、マジョリティ側の問題であるにもかかわらず、個人的な問題であると決めつけることでその責任をすり替えて、逃れようとしているとすら思います。
 性の在り方をめぐる課題は、私的な領域にとどまらず、公的に論じられるべき課題です。自分だけの悩みだと思い込んでいたことが実は、多くの人に共有された悩みであって、その原因がマジョリティの側にある、社会の側にあることなど数えきれません。そしてそれは、個人で解決されるべき問題ではなく、社会が対処して解決していかなければならない問題です。社会として取り組む必要があるのに、そもそもその必要性すらないことにされている、それが現状ではないかと思います。そして、このような状況に強い問題意識を抱くからこそ、今回、この性の在り方をめぐる課題を議会で取り上げます。
 性的マイノリティーの人口が日本社会でどれぐらいの割合を占めるのかについては、様々な議論があります。大手広告代理店によるマーケティング目的の調査によれば、人口の約7.6%であるとされ、また学術的な根拠を持って行われた社会調査では1%から4%台であるとの結果でした。ほかにも様々な調査がありますが、多く見積もって人口の約10%弱、少なく見積もって人口の数パーセントといったところであると考えられます。8万人の蒲郡市民に置き換えて考えると、少なくとも数千人の市民は性的マイノリティーであると考えられ、決して少ない数ではないということがお分かりいただけると思います。もちろん、数が多いか少ないかによって、この問題に取り組む必要性は変化しませんが、意外に身近なところで生活しているというのが実態により近い認識ではないかと思います。
 蒲郡市にはそんなに大勢はいないのではないかと感じる方もあろうかと思います。しかしそれは単に、性的マイノリティーの存在が見えなくなってしまっており、いないことにされてしまっているからにほかなりません。さきにも申し上げたとおり、テレビに出ているおねえタレントの人たちを見て、ばかにして笑っているような人たちの前で自分が性的マイノリティーであることを言い出せるでしょうか。自分もばかにされ、笑われる、まじめな話と思って受け止めてくれない、いじめの対象になる、などといった可能性を考えれば、無理して打ち明ける必要はないと考えるほうが自然です。性的マイノリティーであることをなかなか言い出せない状況があるからこそ、見えない存在にされてしまっているのです。存在しているけれども、存在しないことにさせられてしまっているのです。都市部に多く、田舎には少ないなどとする根拠も全くありません。
 では、以上の前提を共有させていただいた上で、具体的な市の施策について順次お伺いしていきたいと思います。
 まず、(1)市役所業務における対応についてです。
 初めに、市役所で使われる書類における性別欄の廃止、見直しについてお伺いします。
 平成17年6月定例会において、法令や国の指導等による定めがなく、市独自の判断で性別欄の削除が決定でき、かつ事務処理に著しく支障をきたさないものについては、性別欄の削除を検討していくとの答弁がありました。その後、平成17年12月定例会において、条例上定めのある印鑑登録票及び印鑑登録証明書の性別欄が廃止されました。これ以降、現在までの状況を踏まえお伺いします。
 私が今回調べましたところ、市のホームページからダウンロードできる書類のうち、例えば3人乗り自転車貸出申込書、ガス漏れ警報器の貸与申請書において性別欄が確認できました。これらの書類について、私には必ずしも申込者、使用者の性別が必要とは思えないのですが、これには何か理由があるのでしょうか。性別は単純に分けられない、決定できないということ、また、性には多様性があるということ自体がそもそも認識されていないのではないかと感じられてしまいます。改めて性別欄の再点検が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 藤田議員から御指摘をいただきまして、申請書等の書類の記載項目の確認をいたしているところですが、その中でただいま御指摘いただいた3人乗り自転車貸出申込書、ガス漏れ警報器の貸与申込書など、事務処理や統計処理などでも性別を必要としていないにもかかわらず、その記載を求めるものがありました。これらにつきましては、申請書の様式を作成した際に国や県の参考様式例や先行して実施していた自治体と同一の様式としたことなどによるものと思われます。
 藤田議員御質問のとおり、これらの書類につきましては、性別が必要不可欠なものではございませんので、記載項目から削除するよう様式の修正をしてまいりたいと思います。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。今後、市役所で使う書類を新しく作成する際には、そもそも性別欄が必要かどうか必ず確認、検討するようにお願いしたいと思います。
 続いて、窓口における本人確認手続についてお伺いします。
 トランスジェンダーの人たちにとって、行政手続の中でも窓口に出向いて本人確認を必要とする手続は、精神的なハードルが高く、プレッシャーが大変大きい問題です。
 例えば、戸籍上の性別と本人のジェンダー表現が一致していない場合、つまり例えば戸籍上の性別は男性だが、見た目の性別は女性である人が窓口で本人確認をしようとするとき、確認がスムーズに完了できるのかという問題です。戸籍上の性別と見た目の性別が違うということだけで、本人確認ができないという処理をされてしまうのではないかという大きな不安、懸念が生じます。本人確認書類として、使われるマイナンバーカードやパスポートには顔写真と性別欄がありますし、市が発行する国民健康保険証には性別の記載がありますが、これらは原則として戸籍上の性別が根拠になっています。本人確認の手続において、性別が必要不可欠な要素となっていないかどうか、本人確認書類に記載された性別と外見上の性別が異なっていても本人確認は可能なのかどうかお伺いします。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 窓口におけます本人確認につきましては、法令や市が定めた本人確認のための事務取扱要領等により行っておりますが、その手続において、必ずしも性別が必要不可欠ということではありません。本人確認書類としているもので、例えば運転免許証には性別の記載はされておりません。種類によって定められております一つ、または二つ以上の本人確認書類の提示で、同一人物であると確認できれば、確認書類に記載された性別と外見上の性別が異なっていても特に問題はありません。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 了解いたしました。トランスジェンダーの人にも安心していただけるのではないかと思います。くれぐれも窓口の担当の方が戸惑うことのないよう周知をお願いできればと思います。
 続いて、投票所における本人確認をめぐる課題についてお伺いします。
 この件については、私もNPOの活動の中で力を入れて取り組んだ課題の1つで、各地の様々な事例を聞きました。私が最も深刻だと感じたのは、トランスジェンダーの人からの報告でして、投票所まで行ったけれども、受付で係の人が性別の確認をしていたため、係の人や近所の人に自分の戸籍上の性別がばれるのではないかと恐れて、投票すること自体を断念したという事例です。投票所まで行ったにもかかわらず、投票をあきらめざるを得なかったというほど深刻で重要な問題です。期日前投票でなければ、投票所は地域ごとに設置されますので、投票所は地域の人が集まる場所になります。投票所の対応次第では、最も他人に知られたくない戸籍上の性別という情報を最も知られたくない相手である地域の人たちに知られてしまう危険性が非常に高くなってしまいます。普段から最大限の注意を払い、近所の人など、周囲の人に自分の戸籍上の性別がばれないよう、強いプレッシャーの中で日々の生活を送っているようなトランスジェンダーの人にとって、これは非常に重大な問題です。
 実際に平成28年の参議院議員選挙に当たっては、市内在住のトランスジェンダーの方から本人確認の在り方をめぐって苦痛を受けたという事案がありました。報道によれば、近所の人のいる中で、性別を特定できるような個人の名前を周囲にも聞こえる大きさの声で読み上げられたとのことです。この事案への対応を受けて、愛知県の選挙管理委員会においても、有権者の外見と戸籍上の性別が一致するかどうか確認をしないよう選挙事務要領を改定したと聞いています。
 そこで、投票所における本人確認について、蒲郡市の対応の現状をお伺いします。

○大竹利信議長 総務部長。

◎平野敦義総務部長 藤田議員御指摘のとおり、平成28年7月10日執行の参議院議員通常選挙では、本市の投票所での対応により有権者に精神的な苦痛を与えてしまい、遺憾に思っております。この時の反省を踏まえ、本市では平成29年10月22日執行の衆議院議員総選挙から入場券への性別表記を削ることとしたほか、投票事務要領を改定し、受付係では性別を確認しないこと及び氏名を読み上げる際には、ほかの選挙人に聞こえないよう注意することとし、投票管理者への説明会でも従事者への周知徹底を依頼しているところでございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 同じ問題が再度発生しないよう徹底していただくようお願いします。
 次に、受付での投票用紙の発行プロセスについてお伺いします。
 投票用紙を発行するときに、受付の方が手元で青色、もしくは赤色のボタンを押しており、これが男女の判定に使われているものと思います。昨年の市議会議員選挙また、市長選挙においても投票所の受付で、性別の判定のためと思われるボタンが押されていたことを私自身も確認しております。この性別の確認は、必要なことなのでしょうか。読み上げによる確認が周りに聞こえないような小さな声であっても、このボタンが丸見えの状態であれば、列に並ぶ人や、周囲の人に性別を暴露しているのと同じことです。トランスジェンダーの人がボタンを押されるところを後ろに並んでいる人に見られ、自分の戸籍上の性別がばれてしまうのではないか、不安に感じてしまうという状況は変わりません。また、自分の性別を他者から決めつけられたくないという人にとっては、勝手に性別を判断し、押しつけるようなもので、大変不適切であると思います。NPOの活動の中でもこの押しボタンの問題については、様々な地域から報告があり、大変な話題となり不快感を訴える声がたくさん寄せられました。
 そこで提案ですが、ボタンを押すところをカバーなどで覆い隠し、列に並ぶ人から見えないようにするといった配慮はできないでしょうか。

○大竹利信議長 総務部長。

◎平野敦義総務部長 投票用紙交付機の押しボタンは、男性には青色、女性には赤色がつけられているため、藤田議員御指摘のとおり、ボタンを押すところをほかの選挙人が見ることができてしまえば、受付係での配慮は意味をなさなくなります。この押しボタンは、交付機への内蔵ではなく交付機と独立しています。通常は、交付機の裏側に置くことが多いのですが、投票事務要領で細かく指定をしていないため、投票所のレイアウトによっては交付機の上に置かれていることもございます。藤田議員、御提案のボタンを押すところをカバーで覆い隠すことも一つの方法ですが、どのような方法で性的マイノリティーの方へ配慮すべきか今後、検討してまいりたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。難しいことではないと思いますので、次回の選挙から御対応いただくようお願いしたいと思います。
 続いて、市営住宅についてお伺いします。
 まず、現在の蒲郡市の市営住宅の入居条件をお知らせください。

○大竹利信議長 建設部長。

◎鈴木伸尚建設部長 現在、本市の市営住宅の入居申込み資格には、主な条件といたしまして、一緒に住む親族がいること、持ち家がなく住宅を探していること、世帯の収入が市の定める収入基準に適合していること、市町村民税を滞納していないこと、入居世帯員に暴力団員がいないこと、この5つの項目があり、全てに該当することが条件となっております。一緒に住む親族につきましては、婚姻の届け出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものや婚姻の予約者を含むとしており、原則夫婦または親子の世帯のほか、婚約者との申込みにつきましては、婚約証明書の提出が必要でございます。
 また、内縁関係でも申し込むことはできますが、住民票に未届けの夫または妻と記載されていることを条件としており、単に同居人の場合は申込みを受けておりません。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 一緒に住む親族が条件とのことですが、同性愛者同士のカップル、同性カップルは申込みができないという理解でよいでしょうか。

○大竹利信議長 建設部長。

◎鈴木伸尚建設部長 同性愛者同士のカップル、同性カップルの方では、現在の入居要件に該当しないため、申込みはできない運用となっております。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。この条件は、蒲郡市営住宅の設置及び管理に関する条例に基づいていると思いますが、この条例の根拠法である公営住宅法においては、平成23年の改正で、入居者は同居親族に限るとした要件を削除しています。その後も様々な改正を経て現在の入居要件は、収入金額が一定範囲内であることと、現に住宅に困窮していることのみに限定されています。民法上の親族でならなければならないことや、婚姻の予定があることなどについては、一切現行法においては規定がありません。したがって、同性カップルを排除する根拠はありません。
 また、国連の自由権規約委員会による勧告においても、この件については何度も指摘を受けています。特に公営住宅法の改正以降も地方自治体における実態が全く改善されていないことが指摘されており、具体的に制度を変えていくことが求められています。同性愛者、同性カップルに対する明確な差別であると思いますので早急な改正を提案します。
 続いて(2)市民病院業務における対応についてお伺いします。
 まず、同性愛者同士のカップル、同性カップルへの対応についてです。同性同士であることを理由として、パートナーが入院したときに付添いや面会ができなかった、病状や治療に関する情報も教えてもらえなかった、病室にすら入れてもらうことができなかった、などといった事例は枚挙にいとまがありません。私もNPOの活動の中でたくさんこうした事例を聞いてきました。民法上の親族、家族にしか対応できない、対応していない、ということが理由です。家族同様に暮らしているパートナーがいるにもかかわらず、相手が同性であることを理由として、一切の対応を拒否するようであれば、安心して治療を受けることすらできないのではないかと思います。同性パートナーの入院時の付添いや面会、病状や治療に関する情報提供や重要事項の説明、また、手術の同意などについて市民病院ではどのように対応することになっているでしょうか。

○大竹利信議長 市民病院事務局長。

◎中神典秀市民病院事務局長 当院での治療行為は、入院、外来を問わず主治医から患者さんに対し、病状や治療内容を説明し、同意を得た上で行われております。手術を行う際には、患者さん御本人に同意をいただくとともに、手術中の急変時に相談をさせていただくため、キーパーソンの方を確認させていただいております。手術の説明、同意書の署名欄には、御家族または代理人と記載されており、緊急時に手術の是非について判断をしていただける方にあらかじめ署名をいただくとともに、手術時の付添いも依頼をしております。
 御質問いただきました同性パートナーの場合であっても、患者さんの合意が得られていることが確認できれば、同意書への御署名をお願いしております。キーパーソンの方は、主治医から治療方針や病状に関する情報提供など、患者さんと御一緒に聞いていただくことができるものです。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。この問題は、長年の悩みの種で、ずっと昔から非常に多くの同性愛者に、また、性的マイノリティーに困難を強いてきた問題でありました。付添いも情報提供も重要事項の説明も手術の同意も何もかも親族、家族でないからという理由で認められないという事例ばかりだったのです。現状も病院の公立、私立を問わず、また、都市部かそうでないかを問わず、親族、家族に限っている病院が依然として多数ではないかと思います。こうした中、今回お話をお伺いし、性的マイノリティー、同性カップルを拒絶することなく対応してくださる状況と分かり、非常にうれしく感じております。
 次に戸籍上の性別と性自認が異なる場合の対応についてお伺いします。
 例えば、トランスジェンダーの人が入院する場合、どのように対応するのかという問題です。戸籍上の性別が男性で、性自認が女性というトランスジェンダーの場合、自分は女性として扱われたいと思っていても、戸籍上の性別を基準とされてしまい、男性と扱われたため男性用の大部屋に入院させられてしまったという事例がありました。ほかの同室の患者さんから好奇の目で見られることに大きな負担感を感じ、ずっとプレッシャーを強制されるというだけでなく、わざわざ明らかにする必要のない自分の戸籍上の性別が他人にばれてしまうというリスクもあります。戸籍上の性別と性自認が異なる場合、市民病院ではどのように対応することになっているでしょうか。

○大竹利信議長 市民病院事務局長。

◎中神典秀市民病院事務局長 当院では、昨年5月から患者支援センターを開設し、入院時の説明や受付を行っております。診療科ごとに病棟も振り分けられており、入院された場合には患者さん御本人から有料個室利用の申し出がない場合には、基本的に4人床を御利用いただいており、戸籍上の性別で病室を指定させていただいております。
 御質問いただきましたトランスジェンダーの方につきましては、ソフト面だけでなく、病室の構造上の改修を含めたハード面での整備など、課題も多いかもしれませんが、当院の基本理念である患者さんにとって最善の医療を行うことは、治療以外の面でも患者さんの側に立つことが大事であると考えております。入院診療に限らず、外来診療などでも御要望がある場合には、患者支援センターに所属しております当院のMSW、社会福祉士でありますが、この職員にお声をかけていただければ、可能な限り対応させていただきます。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 患者支援センターの社会福祉士、医療ソーシャルワーカーさんに相談してもらいたいということで理解いたしました。少しでも不安を払拭していただけるよう御配慮をお願いしたいと思います。
 続いて、市民病院における研修についてお伺いします。
 必ずしも性的マイノリティーであることを打ち明ける必要のない場面、例えば事故やけがなどで入院した場合などですが、そうしたときに医師や看護師の説明の中で、あるいは雑談の中で予期せず突然差別発言にさらされて傷つけられたという事例も聞きます。予期せず差別にさらされることを恐れて、そもそも病院を受診しないという人もいるくらいです。こうした事態を未然に防ぐためには、やはり病院の医師、看護師、職員を対象とした研修は欠かせないのではないかと思います。市民病院では、こうした研修を既に実施していると聞いていますが、どのような研修だったのでしょうか。参加対象者と人数や内容、また、参加者からの感想についてお知らせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 市民病院事務局長。

◎中神典秀市民病院事務局長 当院では、一昨年度の2月に接遇研修として性的マイノリティーに関する研修会を開催いたしました。医師、看護師、コメディカルから病院の事務職、これは委託業者も含むものでありますが、全職種を対象とし、50名ほどの参加がありました。講師として、NPO法人の方から性的マイノリティーの基礎知識だけでなく、当事者の方にも御参加いただき直接お話を伺いました。研修前に院内を見ていただき、当事者の視点で改善点の有無や対象者の方が病院を利用する際の問題点を教えていただきました。
 研修を受けた職員の感想としては、入院患者さんで性的マイノリティーの方が見えた際には、安心感を与えられるような対応をしたい。それから少しずつでも理解できるようにしたいとの感想がある中、大部屋で実際にどう対応したらよいのか不安だという意見もございました。
 講師の方からは、病院に性的マイノリティーのことを分かってくれる人がいるだけでも当事者は心強いとの言葉をいただいています。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 私も大変心強いと思います。病院における職員さんには、市役所のほかの窓口とは異なった対応が必要な場合もありますので、別途研修をしていただくということは、大変重要なことであったと考えています。病院における研修については、ぜひ今後も継続していただくようお願いします。
 次に(3)啓発及び研修に関する現状についてお伺いします。
 まず、職員向け研修についてです。これまで行われた性的マイノリティーに関する職員研修について、参加対象者と延べ人数、実施回数や内容、また、参加者からの感想についてお知らせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 平成29年度には、蒲郡高等学校にて教師、職員約60名を対象に実施いたしました。平成30年度、平成31年度には、蒲郡市役所にて職員、教職員、議員を対象に実施し、平成30年度は64名、平成31年度は58名の参加がありました。また、平成29年度、30年度の研修では、LGBT理解講座の後に、当事者または当事者の保護者によるライフヒストリーを聞く機会も設け、当事者との質疑応答も実施しております。平成31年度にもLGBT理解講座を行い、少人数でのグループワークや当事者または当事者の保護者と直接対話を行いました。
 この講座の参加者の感想としては、軽い言動が人を傷つけることをよく理解するべき、カミングアウトされた場合、当事者がどれほどの勇気と決意を持ってしたかを思いやり、共感することが必要である。また、内容を誰に話してよいかを確認し、知らされた側も抱え込まないようにすることが重要、などといった意見がありました。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 内容や意図をしっかりと理解していただいたすばらしい感想であったと思います。昨年実施された研修については、私も参加させていただきました。基本的な知識を学ぶだけでなく、生活上の苦労や仕事上の困難など、実際のお話をお伺いできる非常によい機会となったのではないかと感じました。私からすると、基礎知識の説明の内容が少し分かりにくいところもあったかなと感じたのですが、全体としては大変いい機会になったと感じております。研修参加者の顔ぶれを見ると、役職も様々、部署も様々、といった印象を受けました。
 性的マイノリティーと行政を取り巻く課題は、市民向けの部署だけに関わる課題にとどまらず、今回の質問では取り上げませんが、市役所内部、職員さん同士の間でも当然に起こりうる課題が様々あります。したがって、いずれは全ての職員さんが継続的に、特にいつまでも基礎知識というわけにもいかないと思いますので、段階的に内容もレベルアップをしていく、変更をしていく必要があると思います。
 性的マイノリティーに関する研修について、今後の見通しをお聞かせください。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 職員向けの研修につきましては、主に市民と接する機会の多い窓口担当者に参加を促しております。平成31年度まで2回実施していますが、まだ受講していない職員も多くいるため、未受講の職員に対してのLGBT研修は必要であると考えております。
 一方で、既に研修を受けた職員については、職場におけるトラブルの事例やケーススタディーを基にグループワークを通じてより深く理解できる内容として、実際の対応に役立つ研修も導入する必要があると考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 最近では、性的マイノリティーに関連する団体や大学などで教えている研究者も非常に多彩で、数も増えそれぞれが専門とする分野も大変多岐にわたるようになってきたと感じています。様々なニーズに合わせた研修を企画することが可能になってきていると思いますので、いろいろな観点からの検討をお願いしたいと思います。
 次に、高校での性的マイノリティーに関する講座についてお伺いします。
 市内の高校においても、性的マイノリティーに関する講座を実施したと聞きました。学校の先生方にとっても、高校生の皆さんにとっても大変すばらしい重要な取組であったと思います。この講座について、どの高校で実施し、何人ぐらいが参加したか、また、内容や参加者からの感想についてお知らせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 高校生向けの講座については、平成30年度三谷水産高校で全学年及び教職員を対象に実施いたしました。参加者は約500人、LGBT理解講座の後に当事者または当事者の保護者によるライフヒストリーを聞き質疑応答を行いました。アウティングは行ってはいけないという講師の話を生徒たちは真摯に受け止め、トイレの問題、戸籍の変更、カミングアウト率についてなど、具体的な質問を当事者の方にしておりました。終了後のアンケートでは、多様な性についての理解がなかったため、自分が友達を傷つけていたかもしれない、LGBTの方の力になりたい、もっと早くLGBTに関する研修を受けたかったなどの意見がありました。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 自分が友達を傷つけていたかもしれないとは、すばらしい感想、すばらしい気づきだと思います。こうした一人一人の気づきの積み重ねと広がりが誰もが過ごしやすい学校をまた、誰もが生きやすい社会を築いていくその基礎になると私は確信します。ぜひ、今後も継続していただくようお願いしたいと思います。
 続いて、民生・児童委員さん向けの研修についてお伺いします。
 性的マイノリティーについて市民からの相談を受ける可能性のある民生・児童委員さん向けの研修も必要ではないかと思います。今後、実施することについて御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 民生委員、児童委員、及び主任児童委員向けの研修につきましては、これまでに性的マイノリティーについての研修が実施されたことはありませんが、地域住民の身近な相談役であり、こうした相談を受ける可能性のある立場の方を対象に理解を深めていただくことは大切なことだと考えております。実際に、市民の方から相談があった際に円滑な対応をしていただけるよう、研修の実施を検討してまいりたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。私が東京でNPOの活動をしているときのことですが、地域の民生委員さんから性的マイノリティーの人から相談を受けましたよという話を聞きました。この民生委員さんとは、私も長く交流がありまして、折に触れて性的マイノリティーのことを話題にしておりました。そのため、問題意識をしっかりと持っていただいていたため、いざ相談があったときにも問題なくスムーズに御対応いただけたということでありました。基礎的な知識だけでも知っておいていただくということは大変重要だと思いますので、まずは民生・児童委員向けの研修の実施についてお願いしたいと思います。
 続いて、性的マイノリティーに関する市民向け講座の実施について御提案します。
 市民の皆さんに性的マイノリティーについて知っていただくことも非常に重要であると考えています。とりわけ、蒲郡市のような地域社会の結びつきが強いまちの中では、大多数の人とは異なる性の在り方を持つ性的マイノリティーのような存在は排除されやすく、強い強い生きづらさ、困難を感じているであろうことは容易に想像ができます。最も身近な家族や友人が性的マイノリティーのことをよく理解しているかどうか、また、職場や地域の人たちの理解があるかどうかということは、この町でずっと暮らしていくかどうかに直接関わってくる問題です。日常的に性的マイノリティーであることに対して、からかわれたり、ばかにされたり、笑われたりするリスクがあり、そのたびに自分自身が傷つけられるような地域社会のままでは、1日も早くこの町を出て暮らすしかないと考えるのは自然でしょう。多くの市民の皆さんにもこの問題のことを知っていただかない限りは、性的マイノリティーが暮らしやすいまちづくりもできないのではないかと思います。
 実際に私も東京でNPOの活動をしている中で都市部の出身ではないという方に多く出会ってきました。愛知県出身という方もいて、近い所だと豊橋市や安城市、また浜松市などの出身の方にも出会ってきました。そして皆さんこうおっしゃいます。あんな田舎では暮らしていけない。あんな田舎ではレズビアンであることをオープンにして暮らしていくことなどできない、ゲイとして暮らしていくことなど不可能だと、それはそうだろうなと私も思います。やはり市外、県外に出て、都市部で暮らすほうがずっと精神的にも楽だし、理解ある人も多いし、出会いもある、何より安心できる居場所、コミュニティがある、そう考えれば、よほどの覚悟、よほどの思い、よほどの事情や理由がなければ、ずっと自分が生まれた町で暮らそうとは思わないのではないか。残念ながらそれが現実、現状ではないかと思います。性的マイノリティーの暮らしやすいまちづくりの第一歩として、ぜひ市民向け講座を実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 性的マイノリティーの方々が自分のふるさとで暮らしていくのが難しいと考えられるのは、とても悲しいことです。市民向けの講座の実施は、必要であると考えております。その第一歩として、今年度は、蒲郡市小中学校PTA連絡協議会の役員向けにLGBT理解講座を実施する予定であります。学齢期に自分の性自認、性的指向が周りの人と違うことに気づくこともあるようです。子供たちは、大変悩み苦しむと思いますが、そのときに親が寄り添うことができるか否かでその子の将来は大きく変わってくると思います。まずは、PTA役員に対して保護者向けの講座を実施し、少しずつ理解を広げていきたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 おっしゃるとおりだと思います。性的マイノリティーである子供たちにとって、自分の親に相談できるかどうか、親が理解者であるかどうかは、その子の人生に決定的な大きい影響を与える場合もあり、非常に重要です。PTAの方々に知っていただく機会をつくっていただくということは、大変すばらしいと思います。また、市民向けの講座についても実現を期待したいと思います。
 次に(4)学校を取り巻く課題についてお伺いしていきます。
 性的マイノリティーである児童生徒にとって、学校は居心地のよい場所になっているでしょうか。この質問の冒頭でもテレビに出ているおねえタレントの人たちの影響を受けて、性的マイノリティーであることがからかわれ、ばかにされ、笑われる対象となっていることにつながっていると指摘しました。宝塚大学看護学部の日高庸晴教授のインターネットを利用した調査によれば、実際に自分が性的マイノリティーであることについて、ホモ、オカマ、おとこおんななどといった言葉によっていじめられた経験がある人は49.6%に及び、これ以外の言葉でいじめられた人も38.8%に上るという調査結果があります。非常に厳しい状況にあると言わざるを得ないと思います。性的マイノリティーの子供たちにとって、このようなリスクの高い空間において、必要なときに必要な対応ができないと、命にも関わってくる可能性があり、看過できない重要な問題であると思います。
 平成22年には、性同一性障害を持つ子供に対する配慮を求めた通知が文部科学省より発出され、平成27年には、対象を性同一性障害から性的マイノリティーに拡大した通知が出されています。ただし、通知において紹介されている事例は、性同一性障害に係る内容ばかりである上、子供たちが性同一性障害であると分かってからの対応しか挙げられていません。また、ほかの性の在り方に関する内容、例えば同性愛に関係する内容は含まれていません。学校における性的マイノリティーを取り巻く具体的な課題が性同一性障害に限定されているかのような通知で、私は非常に問題があると感じます。しかし、悩みや不安を受け止める必要性については、性同一性障害であってもそうではない性的マイノリティーにも共通するものと明言していること、また、個別の対応だけでなく、日頃から相談しやすい環境を整えていくことの重要性についても明記されており、この点は評価できると感じています。
 なお、通知文上は性同一性障害と表現されていますので、私もそのように引用いたしましたが、現在は性同一性障害という言い方をいたしません。アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)では、2013年から性同一性障害は、性別違和に変更されています。また、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)においても、2018年から性別不合と変更されています。いずれも疾病のリストから除外されたためです。性同一性障害という言い方は、治療すべき病気であるという考え方に基づいていましたが、現在はそうではなく、性の健康に関する1つの状態であると考えられるようになっています。まずは、文部科学省からの通知に対して、蒲郡市ではどのように対応しているか、教育現場、学校の現場ではどのように対応しているかお伺いします。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 学校現場のことをお話しさせていただきます。
 学校現場では、児童生徒が抱えている様々な悩み等に対しまして、速やかに対応できるように教育相談活動を大変重視しております。
 また、子供が自分から言い出せない、そういった児童生徒もいますので、常に児童生徒の様子を捉え、気になることがあれば声をかけるようにし、児童生徒との相談ができる、そういった関係を築いています。相談活動を通しまして、適切なアドバイスをしているそんな状況であります。
 また、必要があれば、関係の諸機関と連絡を取るなどして、学校では適切に対応しております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 相談活動を重視しているとのことですが、その際、重要になってくるのが文部科学省の通知でも指摘されております教職員を対象とした研修です。少なくとも先生方から性的マイノリティーに対する否定的な発言がないということは、最低限必要なことであると思います。本来、身近な相談相手であるはずの学校の先生が性的マイノリティーである子供たちにとって、自分のことが理解されるかどうか分からないと感じているようでは何も始められません。
 平成30年6月定例会における御答弁では、初任者研修や管理職、養護教諭を対象とした研修や人権教育研修の中で具体化し、理解を深めるようにしていきたいとのことでしたが、現在までの教職員を対象とした研修の実施状況についてお伺いします。どういった研修にどのくらいの方が参加されたか、また、参加者からどのような感想があったかについてお知らせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 文部科学省からの通知を受けまして、教職員に対してこれまでも教育相談の在り方、持ち方や性的マイノリティーについての理解を深めるための研修会への参加を促してまいりました。特に昨年、一昨年度、協働まちづくり課が主催しましたLGBT理解講座には、それぞれ各校1名以上で約30名弱の教員が参加させていただいております。参加者からは当事者の思いは当事者でないと分からない、直接の話が聞けてよかった、普段から受け入れられる人でありたい、様々な意見があり、大変勉強になったなど、研修を受けたことにより理解が深まっていると考えております。
 さらに藤田議員御指摘のように、毎年12月の人権週間において、人権問題に絡めまして、各学年の児童生徒の実態に合わせて、講話ですとか集会等を通して考える場面を設定しております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 昨年、一昨年の研修が先生方にも大変よい機会となったようで、非常によかったと思います。また、各中学校区に1名配置されているスクールカウンセラー向けにも研修が必要ではないかと思います。スクールカウンセラーが子供たちにとって身近な相談相手となることも少なくありません。スクールカウンセラーが担任の先生や保護者、また、クラスメートとの橋渡し役となることによって、性的マイノリティーである児童生徒に対するいじめをなくしていったという事例も聞いています。うまく連携していくことで問題解決につなげられるということです。
 しかしながら、せっかくスクールカウンセラーに相談したにもかかわらず、二次被害にあった、すなわち偏見を押しつけられてさらに傷つけられたという事例も一方で聞いています。スクールカウンセラーが必ずしも性的マイノリティーに対する理解があるとは限りません。スクールカウンセラーの皆さんの意識を高め、共通の認識を持っていただくということが必要ではないかと思います。スクールカウンセラーに対する研修の現状についてお聞かせいただければと思います。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 学校における相談活動におきまして、スクールカウンセラーや心の教室相談支援員の存在は非常に大きいと考えられます。スクールカウンセラーは、愛知県教育委員会から派遣されています。その運用は、中学校区で行っております。これは、小学校と中学校における切れ目のない相談活動を行うためであります。中学校へ進学しても同じカウンセラーと関わることができますし、兄弟が小学校と中学校に在籍する場合、双方での相談活動が可能となってまいります。
 また、心の教室相談支援員は、蒲郡市で4名を採用しております。不登校対策として、また、スクールカウンセラー的役割の補充として配置をさせていただいております。各学校では、相談しやすい環境を整えるなど、場ですとか時間の設定など、児童生徒の状況に合わせて相談活動を現在進めています。
 スクールカウンセラーに対しての研修会は、実施されておりませんが、スクールカウンセラー自身は、今日的な課題でもある性的マイノリティーについても非常に関心が高く、研修や自己研鑽によって知識、理解を深めていると、このように捉えております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 研修会は、実施されていないとのことでしたが、ぜひ機会をつくっていただくようお願いしたいと思います。
 続いて御提案したいのが、教育委員会からのメッセージの発出です。
 子供たちに向けて多様な性があること、一人一人の性の在り方を大切にすること、また、性的、特に性的マイノリティーである子供たちに対して、前向きに生きる希望や自信を与えるようなメッセージの発信をお願いしたいと思います。性的マイノリティーである子供たちは、日常的に厳しい状況に置かれています。毎日、毎日が大きなプレッシャーの中にあります。時に自己否定をも受け入れさせられてしまう同調圧力の中にあり、自分の性の在り方について、不安ばかりが募り、自信や自己肯定感を持つことができないようなそんな状況に置かれてしまっています。そうした子供たちに対して少しでも希望を持てる後押しをお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 教育委員会から児童生徒向けについて、性的マイノリティーに特化したメッセージという考えには現在至っておりません。発達段階に応じた対応が必要な、大変デリケートな問題と考えております。したがいまして、道徳の授業でありますとか、集会、また教師との相談の時間を通して人権に絡めた形で今後指導していくことが大切であると、このように考えております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 兵庫県宝塚市の教育委員会においては、性的マイノリティーに関するリーフレットを作成しているほか、教職員向けの冊子も作成されています。特にこの冊子については、性的マイノリティーの基礎知識の紹介だけでなく、保育園から小学校、中学校までの学年別に分けた授業のモデル案も作成されており、私も拝見いたしましたが大変参考になりました。先生方にとっても大変役に立つものであると思います。先進的な自治体では、ここまでできるという1つのよい例ではないかと思いますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。性的マイノリティーと学校を取り巻く課題は、子供たちの命にも関わる課題です。今後も丁寧な相談活動と子供たちへのフォローをお願いしたいと思います。
 まとめに代えまして、今後の取組についてお伺いしていきたいと思います。
 まず、(5)ホームページによる情報集約発信についてです。
 現在の市のホームページには、性的マイノリティーのための情報が1件も掲載されておりません。例えば、本日御答弁をいただいた市役所で使用する書類の性別欄の要、不要を見直していることや窓口での本人確認には、性別が必要不可欠ではないということ、あるいは市民病院でも同性パートナーの付添いなどができること、さらには職員向けに研修を実施していることなどについて、市としてはいろいろと現場で御検討いただき、様々に取り組んでいただいています。こうした取組の現状について、ホームページに記載することはできないでしょうか。このままでは、いろいろな取組はしているにもかかわらず、対外的には何もしていない、何もできていないと思われてしまいかねない状況です。現状の取組を改めてホームページに示していただくだけで、市として性的マイノリティーについても取り組んでいることが分かりますし、性的マイノリティーの人たちが感じる安心感は大きく変わります。
 また、情報提供として、既に市が取り組んでいる施策の中で、必ずしも性的マイノリティーのための制度ではない内容についても性的マイノリティーの人も利用できることとして、改めて紹介することも必要であると思います。性的マイノリティーに関する情報提供ページを設けている例は、既に国内でも幾つもの自治体で見られます。同性パートナーシップの制度がない自治体でいいますと、神奈川県横須賀市のホームページが大変優れていると思います。これはぜひ、参考にしていただきたいと思います。
 また、情報提供ページには、相談窓口についても掲載していただきたいと思います。現在、市においては、様々な市民相談の窓口を設けていると思いますが、性的マイノリティーに関連する相談については、担当する窓口がないようです。もし、既存の窓口で対応ができるならその旨を明記していただきたいと思いますし、市役所内で対応できないのであれば、外部の専門の窓口や団体を紹介することも1つの方法ではないかと思います。例えば、愛知県の人権に関する相談窓口というリーフレットにおいては、その他の分類の中で性同一性障害、性的指向にかかわる相談として、専門的な窓口ではありませんが、お話を伺っていますという注釈つきではありますが、連絡先が掲載されています。愛知県の窓口の紹介がこれで十分かどうかは大いに議論の余地があると思いますが、少なくとも何も掲載しないよりは親切ですし、ここからほかの専門家やほかの相談窓口、団体へとつながっていく可能性もあると思います。
 このような情報も含めて、利便性を重視して性的マイノリティーに関する取組や相談窓口について1つのページに集約して、網羅的に情報提供をすることができないかと思います。ぜひ御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 性的マイノリティーの方々への対応について、先進都市に比べてまだまだ不十分な点が多くありますが、今までに申し上げました取組など、ホームページ上でお知らせすることにより、性的マイノリティーの人たちの安心感につながるのであれば、できるところから進めていきたいと思います。まずは、相談窓口や団体の紹介など、関連先のリンクを貼るなどして充実していきたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
 次に(6)第3次蒲郡市男女共同参画プランへの検討状況及び今後のスケジュールについてお伺いします。
 蒲郡市の男女共同参画プランにおいても性的マイノリティーの視点を盛り込む必要があるのではないでしょうか。現在の第2次蒲郡市男女共同参画プランにおいては、性的マイノリティーに関連する内容は一切含まれておりません。ちょうど本年度は計画の期限であり、次期計画に向けての検討が進んでいるものと思います。既にアンケートも実施されたと聞いています。
 また、平成30年6月定例会における議論の中でも、次回の改定時には性的マイノリティーに関する内容も盛り込むと御答弁がありました。御答弁では、多様性に富んだ社会の実現を目指したプランにするとのことでしたが、私の観点ではむしろこれは逆で、私からすればこの男女共同参画プランに必要な性的マイノリティーの視点とは、既に多様な性の在り方を今一度見つめ直し、一人一人の性の在り方が大切にされる社会づくり、そのための基盤づくり、方向性を示すことではないかと思います。それは、多様性に富んだ社会を実現するというよりもむしろ、既にある多様な性とともにある社会を改めて築いていくことだと思います。現在までの検討状況について、また、今後のスケジュールについてもお示しいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 現在、第2次男女共同参画プランに従って、男女共同参画施策を実施しております。このプランは、今年度が最終年度となっており、昨年度第3次男女共同参画プラン策定のためのアンケート調査を行い、事業所ヒアリングを実施いたしました。今年度中に内容を検討し、令和3年度より第3次男女共同参画プランに移行することになっております。内容については、策定委員会で委員の意見を取り入れ、パブリックコメントを経て策定をしていきます。
 性的マイノリティーにつきましては、第2次男女共同参画プランには掲載されていませんが、男女共同参画社会の実現には、性別にかかわりなく、一人一人が多様な生き方を選択し、自己表現ができる社会となる必要があります。これからの男女共同参画は、性的マイノリティーの人権に配慮した対応が必要となりますので、第3次男女共同参画プランでは、性的マイノリティーに関する記述を含めていきたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。期待したいと思います。
 最後に(7)第五次総合計画への検討状況についてお伺いします。
 今年度に策定することが予定されている第五次総合計画においても、性的マイノリティーの視点を盛り込んでいただきたいと思います。特に、第五次総合計画には、持続可能な開発目標SDGsの観点が盛り込まれることとなっています。このSDGsには、実は明示的には、性的マイノリティーのことが含まれておりませんが、目標5のジェンダー平等と目標10の不平等の是正には性的マイノリティーを取り巻く課題が大きく関係します。とりわけ、ジェンダーの平等なくしては、性の在り方の平等、セクシュアリティーの平等は達成できません。また、本日取り上げた学校における課題は、目標4の教育に関わる課題ですし、本日取り上げていない課題でも例えばエイズをめぐる課題は、性的マイノリティーにも大きく関わる問題ですが、これは目標3の健康に関わる課題です。また、これも本日は取り上げませんでしたが、性暴力をめぐる課題も性的マイノリティーに大きく関わることですし、これも目標3の健康に関わる重大な課題です。
 具体的な施策については、まだ検討中のことと思いますが、市として取り組んでいく様々な施策において、性的マイノリティーの視点を踏まえ、内容に盛り込んでいただきたいと思います。
 現在の検討状況についてお聞かせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 第五次蒲郡市総合計画は、今後10年間の将来展望やまちづくりの方針を定めるものであり、現在、分野別にまちづくり施策の方向性を示す基本計画の内容を検討しているところであります。人権を尊重し、多様性を受け入れる社会を形成していくためには、性的マイノリティーに対する理解を深めていく必要があると考えておりますので、取組の方向性について計画内に記載をしていきたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。こちらも期待したいと思います。
 今回は、性的マイノリティーを取り巻く様々な課題と市の施策についてお伺いしてまいりました。今回の課題については、私なりの観点で基本的な事柄や今、このタイミングで議論する必要があると考えたものに限っており、ほかにもまだ多くの課題について議論すべき内容が残されていると思います。この性的マイノリティーに関する課題は、少なくとも行政においては、理解することが大事とか、知ることが必要とか、既にそういった段階ではなく、具体的に現実に生じている課題に対して、現状の枠組みの中でどのように解決につなげていけるか、どのように対応していけるかということを考えて、実行していく段階に移ってきていると思います。条例や計画をつくって、その中に1行盛り込んで終わるといったような話ではありません。また、啓発、研修も大事ですが、いつまでもそればかり続けていくわけにもいかないのではないでしょうか。今回の質問は、基本的な内容にとどめましたが、次回以降はさらに踏み込んだ内容についても取り上げていきたいと思いますので、今回の問題提起をしっかり受け止めていただき、今後のさらなる取組を期待したいと思います。この項目については以上で終わります。

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