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ヤングケアラーについて(2020年9月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い質問をさせていただきます。
 ヤングケアラーをめぐる諸課題についてお伺いします。
 ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている18歳未満の子供をいいます。ケアを要する人、すなわち介護や日常生活のサポートを必要とする人が家族にいる。それは、祖父母であったり、障がいのある兄弟姉妹であったり、あるいは親であったりするわけですが、そのサポートをする役割を18歳未満の子供たちが担っているということに関する課題です。
 このヤングケアラーという言葉自体、なかなかまだ知られていないと思いますので、本日は実際の事例を紹介させていただきながら話を進めていきたいと思います。
 今回御紹介する事例は、中公新書より出版されています成蹊大学文学部の澁谷智子准教授の御著書「ヤングケアラー-介護を担う子ども・若者の現実」から引用をさせていただきます。
 高校生のときヤングケアラーとなったBさんのお話です。Bさんが高校1年のとき、Bさんのおじいさんが脳梗塞で半身不随になり施設に入所。また、Bさんのお父さんも首のヘルニアになってしまい、日常生活に困難を来すようになりました。もともとおじいさん、おばあさんの夫婦とBさんの家族は別居をしていましたが、おばあさんが心臓にペースメーカーを入れており、足も悪く、おばあさんが1人で暮らすことは難しかったため、このときからおじいさん、おばあさん夫婦とBさんの家族が同居して一緒に暮らすこととなりました。
 大学進学で実家を離れていたお兄さんも戻ってくることとなり、また、Bさんは経済的な負担から、通っていた私立高校から単位制の高校に通い直すこととなりました。
 このような状況を受けて、家での家族の部屋割りも変更せざるを得なくなり、Bさんの部屋がおばあさんの部屋になって、Bさんは自分のプライベートな空間を持てなくなりました。両親は共働きで、おじいさんの施設へはお母さんが通い、お父さんもヘルニアのため機敏に動けなかったことから、同居しているおばあさんの介護はBさんが担うということになりました。
 平日は、Bさんが学校の帰りにスーパーに寄っておばあさんの食事の支度をします。また、おばあさんの通院に付き添い医師の指示を聞くこと、薬を管理して飲ませることも担当していました。次第に入浴の介助や排せつの世話まで引き受けることとなりました。おばあさんは、時折自分でおむつを外し、布団のシーツを汚すときもあったとのことです。Bさんはおばあさんの向いの部屋で過ごしていましたが、ドアを開けていなければならなかったため、排せつ物の臭いがBさんの部屋を直撃。ドアを閉めたかったけれども、ドアを閉めるとおばあさんが騒ぎ出すし何かあっても困るということで、ずっとドアを開けていなければなりませんでした。そんな生活環境でした。
 Bさんのおばあさんは通っていたデイサービスになじめず、昼間は施設で昼寝、夜中に起きているという生活をするようになってしまいました。夜中に起きて、体が痛いとか御飯が食べたいとか言うばかりでなく、親戚や友人に電話して家族の悪口を言う始末。デイサービスを嫌がって、仮病を使って行かないという日もありました。そんな日はBさんが学校を休んで、おばあさんの面倒を見ざるを得ませんでした。テレビを見るときはおばあさんと一緒で、自分の好きな番組を見られず、むしろおばあさんの話し相手になって悪口を聞いていました。おばあさんはよく他人の悪口を言い、Bさんはひたすら我慢を続けて聞いていましたが、その結果、Bさんが月経痛に悩まされるようになってしまいました。おばあさんが亡くなるまで月経痛は続きました。
 おばあさんの体調が急変したときは救急車を呼ぶこともあり、両親は仕事もあるため、やむを得ずBさんが付き添いをしなければなりませんでした。Bさんが高校3年生になったころ、おばあさんが入退院を繰り返すようになりました。おばあさんの病院はBさんが通っていた高校の近くにあったことから、おばあさんからの電話で、昼休みに差し入れを持っていくようなこともありました。眠れない、遊びにも行けない、気分転換もできない、年相応におしゃれもできないし、そもそもそういう気持ちにもなれないし時間もない、これがBさんの置かれた状況でした。
 Bさんは、恐らく高校1年生の夏まではごく普通の高校生活を送っていたものと思うのですが、突然家族の状況が大きく変わってしまったため、自分が家族の介護をするという役割を引き受けざるを得なくなってしまいました。Bさんは、「自分がおばあさんの首を絞める夢を何度も見た」と言い、「また、お母さんもいつおばあさんに手を上げるかもしれない」という状況だったとのことでした。若者であっても、夜間のケアが数カ月から数年にわたって続くと極度の睡眠不足になり、心身の健康状態に影響が出てしまいます。おばあさんはBさんが大学受験する冬に亡くなりました。
 この事例は、たくさんのパターンがあるヤングケアラーのあくまで1事例で、高校生が自分のおばあさんのケアを担うという事例です。これに限らず、例えば、子供が精神障がいのある親のケアを担うという場合、子供が親に代わって障がいのある兄弟姉妹の面倒を見るという場合などがあり、実態は実に多様です。介護という言葉からは高齢者である祖父母の介護がイメージされますが、祖父母の介護に限らない、もっと広い概念であると考えていただきたいと思います。
 実際に国内の実態調査によれば、子供たちが介護をする相手は、祖父母よりも実の親や兄弟姉妹のほうが多いという結果が出ています。さらに、その親が独り親であるという場合も多くあります。また、介護の内容は、身体の介助よりも掃除や食事、洗濯などの家事、また、ほかの兄弟姉妹の世話が多くなっているということも調査の結果から分かっています。そして、介護保険サービスを受けている場合ばかりでなく、介護保険サービスを利用していない場合もありますし、利用していても、家族や子供たちの存在が制度の枠組みから見えなくなってしまっているという場合もあります。
 日本ケアラー連盟という団体のヤングケアラープロジェクトのホームページにも、いろいろなヤングケアラーの事例が紹介されています。また、実態調査の報告書も見られるようになっており、詳しくその状況を知ることができます。
 ヤングケアラーをめぐっては誤った認識で捉えられていることが多いのも現状です。例えば、Bさんの事例でいえば、外見上は、祖父母の介護を孫が担っているという状況ですから、Bさんは、「単に家のお手伝いをしているだけだ」とか、「おばあちゃん思いの偉いお孫さんだ」とか、「家族愛にあふれている」とかいったような認識で捉えられてしまうことがあります。しかし、これらは大きな誤解です。先ほど御紹介したような状況を見れば、単なるお手伝いの範疇を超えていることは明らかです。確かにBさんは家族思いであるとは思いますが、しかし、おばあちゃん思いだとか家族愛だとかいったきれいごとで済むような状況では全くありません。好んでおばあさんの排せつの世話をしているわけでもないし、喜んでおばあさんからの愚痴や悪口を聞いているわけでもない。おばあさんの相手をしていて、それを苦痛に感じているだけでなく、具体的に月経痛という症状まで出てきているのです。一見美しい話、美談のように捉えられてしまうことも、このヤングケアラーをめぐる課題の1つです。
 なお、便宜上は18歳未満がヤングケアラーであると定義するのですが、実態としては、18歳未満で線を引くことはできず、大学生や専門学校生などの学生や20代であっても家族のケアを担っている場合もあります。重要なことは、子供たちや若者が、時にはその成長の度合いに見合わない重い責任を負って、大人が担うようなケアの責任を引き受け、家族の世話をしているという状況です。同世代の子供たちとは全く異質な経験を強いられてしまっているということです。
 Bさんもそうでしたが、学校生活や進路に大きな影響が及ぶことなどから、同世代と自分を比べて、「取り残されている」と感じやすく、孤立しやすいため自信や自己肯定感を持ちにくくなってしまいます。そして、このような状況のために、困っていることや悩んでいることを誰にも話すことができず、相談ができないため、周囲も気づくことができないという悪循環の中に置かれています。
 総務省の就業構造基本調査によれば、15歳から29歳で介護に従事している人は17万7,600人という数字が出ています。これは、平成24年度の数字ですが、決して無視できない大きな数であると考えてよいと思います。
 さて、このようなヤングケアラーをめぐって、蒲郡市ではどのような状況であるかということをお伺いすることが今回の質問の趣旨です。このヤングケアラーを取り巻く課題は、介護保険の運用や制度の課題だけではありません。身内の誰かに日常生活上の困難が生じたという家族に対して、どのようなサポートを提供していくことができるかという課題であると言えます。こうした問題意識を踏まえてお伺いします。
 まず、現状の認識についてです。
 このような「ヤングケアラー」であるという子供たちがいるという現状をどのように認識していらっしゃるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 年齢や成長の度合いに見合わない重い責任を負って、本来、大人が担うような家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしている子供がいること、そして、近年、その問題性が指摘されるようになってきていると認識をしております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ヤングケアラーである子供たちが蒲郡市にいるかどうかということについて、把握されているでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 介護関係者が集まり行う事例検討会議の際にヤングケアラーに関する問題が浮上することは今までになく、把握が難しい現状にあります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 蒲郡市や東三河広域連合では、ヤングケアラーについて、何か取組みや対応があるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 ヤングケアラーに限定した取組みはありませんが、東三河広域連合では、東三河版地域包括ケアシステム構築の中で家族介護者の負担軽減策を展開するとともに、地域包括支援センターでは、総合相談業務や権利擁護業務の中で、家族介護者に対する相談支援や、重層的な課題を持つ家庭への必要な支援などを行っております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ヤングケアラーについて、少なくともこれまで表には出てきていなかったということが分かりました。それは、子供たちの側から周りに相談できる環境がなかった、また、相談しても理解してもらえなかった、取り合ってもらえなかったという状況もあるのではないかと推測します。また、例えば、部署や担当者を超えた対応が必要になることがなかった、緊急的な事態、あるいは危機的な状況がこれまで発生していなかったということも把握できなかった要因ではないかと考えられます。ただ、子供たちや家族に対する支援を通じて、あるいは学校現場で、あるいは介護保険の利用のプロセスを通じて、それぞれの現場の担当者は、このヤングケアラーについて気づくことができるのではないかとも思います。そして、これらは特別な対応をせずとも、現状の体制、現状の仕組みの中で把握できる、また、対応もできるのではないかと感じます。
 そこで、現在の蒲郡市における体制について、分野別にお伺いしていきたいと思います。
 まず、保健師の対応についてです。
 保健師の業務を通じて、ヤングケアラーの存在や状況について把握することはできるでしょうか。
 例えば、産前産後の支援などを通じて、親や家族に対して、将来支援が必要になる可能性を把握できる場合が考えられます。あるいは、市内の各地区を担当する保健師によって、例えば、「こんにちは赤ちゃん訪問」の際に、親や子供、家族の状況について把握することもできそうです。こうした機会を通じてヤングケアラーの存在について把握し、必要な支援を行っていくこと、支援につなげていくことができるのではないでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 保健師の分野から、ヤングケアラーの支援の可能性や状況の把握ができるかという御質問でございますが、健康推進課の子育て世代包括支援センター「うみのこ」におきまして、妊娠中から出産後の切れ目なく支援をしていくため、健康推進課の地区担当の保健師や関係機関と連携した子育て支援を進めておりますので、保健師が家庭環境について把握することは可能であると考えております。
 母子健康手帳の交付時には、子育て世代包括支援センターの保健師が個別に母子健康手帳を交付し、妊娠中や産後の支援者の有無、また、家庭環境などを丁寧に聞き取り、相談にも乗っております。そして、支援が必要となりそうな場合には、産前産後サポート事業や産後ケア事業へ参加していただいたり、地区担当保健師が継続的に個別に支援を行います。
 また、健康推進課の地区担当保健師は、出産後、全ての赤ちゃんに、こんにちは赤ちゃん訪問事業を実施したり健診などでも関わりを持ちますので、御家庭の状況などを把握することもできます。
 現状では、御家族の介護により、子供に影響が生じてしまっているケースはございませんが、母親の子育ての力が弱いなどの理由で、上の子が下の子の面倒を見ているといったケースはございました。このように支援が必要な場合につきましては、学校や保育園、関係機関と連携し、子供に支障がないような支援を進めております。
 今後、保健師が関わる中において、ヤングケアラーについても意識をし、家庭環境の把握と支援に努めてまいります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。
 今おっしゃっていただきました、親の育児の力が弱く、上の子が下の子の面倒を見ているという事例は、まさに私が先ほど申し上げたヤングケアラーの定義に当てはまるような事例ではないかと思います。学校、保育園など、関係機関との連携による支援は大変重要なところですが、しっかり取り組んでいただいているようで安心いたしました。
 次に、各地域の民生委員・児童委員さんについてお伺いします。
 民生委員・児童委員さんも、ヤングケアラーの存在や状況について把握できる立場にあると思いますが、いかがでしょうか。これまでにヤングケアラーに関する事例を聞いたことなどはあったでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 民生委員・児童委員さんにつきましては、年齢にかかわらず、近隣住民に対する相談への対応や地域住民と各関係機関とのつなぎ役、担当地区における小中学校の評議員会への参画等も行っていただいており、民生委員・児童委員の活動の中で、こうした事例を把握できる可能性はあり得ます。また、気づいた場合は関係機関に情報提供をしていただけるものと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 了解いたしました。
 民生委員・児童委員さんにヤングケアラーに気づいていただくためには、やはりヤングケアラーに関する情報提供や研修の機会が欠かせないと思います。ヤングケアラーについて知らないと、冒頭に御紹介したBさんの事例がまさにそうであったように、「おばあちゃん思いの偉いお孫さん」、「単に家のお手伝いをしているだけ」ということとして把握されてしまい、その問題性に気づくことができない場合も考えられるからです。民生委員・児童委員にヤングケアラーについて知っていただく機会を設けていただくようお願いしたいと思います。
 続いて、介護保険事業における対応についてお伺いします。
 まず、要介護、要支援の認定についてですが、認定の手続の中で、ヤングケアラーであると思われる子供に接した事例はあったでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 実際にヤングケアラーが家庭で介護を行っていても、介護保険認定の申請やサービス利用調整等の手続の際は大人が対応されるため、介護保険窓口においては現状把握が困難な状況にございます。しかしながら、ケアプラン作成に当たり、利用者の家庭環境等を把握するケアマネジャーや週1回以上家庭を訪問するホームヘルパーやデイサービス職員等の職種がヤングケアラーの現状を把握できる可能性があります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 確かにBさんの事例で言えば、介護の手続や入院の手続は全て親御さんが担当していたとのことでしたので、市役所の介護保険の窓口と接する機会があっても、Bさんを把握することはなかなか難しかったのではないかと思います。特にBさんの場合は、主たる介護者とみなされないため、より見えにくくなっていたのではないかと思います。
 次に、「介護者のつどい」という行事についてお伺いします。
 この行事を通じて、ヤングケアラーの存在を把握することができるのではないか。また、把握するだけでなく、支援につなげることができるのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 「介護者のつどい」は、介護者同士の交流や息抜きの場とするとともに、介護者同士で介護の工夫をアドバイスし合う機会となるよう、月1回、勤労福祉会館で開催しているものでございます。このつどいへの参加者は、御自身が介護の中心的な役割を担っている方が多く、現在までにヤングケアラーに関する話題が上ったことはございません。
 また、要介護者がデイサービスなどを利用し、家庭介護者が外出しやすい平日の昼間に開催していることから、今までにヤングケアラーが参加されたことはなく、このつどいの場でその存在を把握することは難しい状況にあります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 確かに平日の昼間の開催ですと、ヤングケアラーの参加は難しいだろうと思います。ただし、話題になる可能性はあるのではないかと考えられますので、その際は丁寧な御対応をお願いしたいと思います。
 続いて、蒲郡市内に5カ所ある地域包括支援センターにおける対応について、お伺いします。
 地域包括支援センターの業務の中で、ヤングケアラーの事例に接したことがあるかどうか。また、ヤングケアラーの存在を把握できるかどうかについて、お聞かせください。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 地域包括支援センターは、市内5カ所に設置している高齢者の総合相談窓口で、高齢者の生活上の困り事や介護に関する相談などをお受けしております。また、要支援1または2の認定を受けた方の家庭を訪問し、家庭環境等を把握した上でケアプランを立てるというケアマネジャーと同様の業務も担っております。
 このことから、地域包括支援センター職員が家庭訪問した際にヤングケアラーの状況を把握できる可能性もありますが、現状では、ヤングケアラーと思われる事例に遭遇したことはないというように聞いております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状はヤングケアラーと思われる事例に接したことがないという状況ということで了解いたしました。
 続いてお伺いします。
 蒲郡市では、本年度から新たにケアラー手帳を作成・配布することとしていますが、私は、このケアラー手帳がヤングケアラーの把握や支援に役立つのではないかと期待しています。このケアラー手帳は、もともとどのような趣旨でどのように利用・活用することを想定されているでしょうか。また、ケアラー手帳をヤングケアラーの把握や支援に役立てることはできるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 ケアラー手帳は、家庭で介護されている方向けに作成された手帳で、介護者が精神的に追い詰められることがないよう、介護者の心身の状態を記載できるほか、介護者の体験談や心構え、相談窓口などを掲載しているものでございます。
 本市では、この手帳を今年度10月から地域包括支援センター職員やケアマネジャー等が市内の家庭介護者の方に対して、家庭訪問をした際などに順次配布し、心身の状態を手帳に記載するようお勧めしてまいります。
 また、記載された内容をケアマネジャー等の専門職種が確認することで、介護者が介護を抱えて追い詰められることのないような、必要な支援につなげるために活用してまいります。
 地域包括支援センター職員やケアマネジャーがヤングケアラーに接する際には、この手帳をお渡しして同様の支援を行うことも可能と考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。ぜひしっかりと御活用いただくことをお願いしたいと思います。
 次に、家庭児童相談室の対応について、お伺いします。
 この問題は、子供たちを取り巻く問題であると考えると、市の家庭児童相談室からも何らかのサポートができるのではないかと思います。家庭児童相談室において、これまでにヤングケアラーであると思われる事例に接したことはあったかどうか。また、ヤングケアラーの存在を把握し、支援できる可能性はあるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 家庭児童相談室へは、支援が必要な子供やその家庭であれば、保育園や学校をはじめとする各関係機関から情報が入ってまいりますので、そうした事例につきましても一定の把握はできると考えております。
 また、支援につきましては、その情報を基に現況の確認を行い、そのケースの状況に応じ、要保護児童対策地域協議会や個別ケース会議を開催するなど、関係機関と連携しながら対応をしていくことになります。
 なお、事例といたしましては、先ほどの健康推進監の答弁にもございましたように、御家族の介護により、子供に影響が生じてしまっているケースはございませんが、母親の子育ての力が弱いなどの理由で、上の子が下の子の面倒を見ているといったケースがあり、関係機関と連携しながら、母子それぞれに対して家庭訪問や面談を通じて相談に乗るなどの支援を行っております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 連携した対応が可能であるということで了解をいたしました。
 次に、学校における対応について、お伺いします。
 先ほどの事例で御紹介したBさんの学校での対応についても触れておきたいと思います。
 Bさんが学校の先生に相談したところ、状況を理解してもらうということができませんでした。家のお手伝いをしているといった程度の認識しか共有してもらえず、「施設に入れればいいんじゃないの。親に任せればよい」などと言われてしまいました。出席日数もぎりぎりで、授業中も寝たり、受験勉強をしていたりしたため、むしろ先生から嫌われてしまっていたとのことでした。友人にも相談ができなかったとのことですが、友人が困っている様子を察してか、事情を話さなくても、家族がもめているときなどは友人の家にお泊まりをさせてもらうなど、協力はしてもらっていたようです。ただ、ほとんど友人と遊ぶことができず、遊ぶ約束をしていても、最終的には行けなくなってしまうこともあったとのことでした。進学についても、塾には行けず、第一志望の大学にも入れませんでした。息抜きもできて塾にも行ける周りの子たちが羨ましかったということです。
 Bさんは高校生ですが、基本的な状況は小学校でも中学校でも変わらないであろうと思います。Bさんの場合、学校の先生に相談をしましたが、残念ながら先生が気がつくことができませんでした。先生が、BさんやBさんの家族が大変な状況にある、そうした中でも頑張って勉強をしようとしているといったように捉えていたら、もっと状況は好転した可能性があります。先生が気がついて、ほかの相談機関や専門家につなぐこともできたかもしれません。あるいは、そこまでしなくても、先生がきちんと相談に乗ってくれていたら、もっとBさんは精神的にも楽になったのではないかと思います。そう思うと非常に残念です。
 さて、蒲郡市では、学校の教職員、また、学校に配置されているスクールカウンセラーや心の教室相談支援員から、こうした事例を把握することは可能でしょうか。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 藤田裕喜議員お尋ねの学校における対応について、お答えをさせていただきます。
 各学校のそれぞれの学級担任は、様々な機会を通じて、例えば、授業ですとか放課等の学校生活の様子、または家庭訪問、保護者会、教育相談、また、子供一人一人が書いております生活日記、学校生活アンケートなど、多くの機会を通じて児童生徒を理解するための情報を常に収集しております。また、他の教職員や児童生徒、スクールカウンセラーや学校支援スタッフなどからの情報や地域の方々からの情報など、あらゆる手段を通じて情報を得る努力をし、児童生徒の理解を深めようと日々取り組んでおります。特に蒲郡市の先生方には、日々子供を捉え続けるようにお願いをしているところであります。ただ、残念ながら、家庭の中の具体的な状況につきましては、学校が捉えることには限界があると思っております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 国内で実施されましたヤングケアラーをめぐる学校の教員向けのアンケートの結果を見てみますと、「後々から振り返って考えてみると、あのときのあの児童はヤングケアラーだったかもしれない」、「身内の介護に従事していたかもしれない」といった形で、必ずしも正確にきちんとそれぞれの家庭の状況を把握していたわけではないということが分かります。
 御答弁いただいたように、確かに学校が各家庭の状況を細かく把握していくことは難しい場合もあろうかと思います。私も、必ずしも学校が家庭の状況をしっかりと把握するようお願いしているというわけではありません。ただ、ちょっとした気づきや、あるいは細かな情報だけでも、ほかの関係の相談機関につなげていただけると、ヤングケアラーの存在の把握につなげられるのではないかと感じています。
 さて、各分野の現状についてお知らせをいただき、ありがとうございました。正直に言って、大変心強いなと感じました。これまで事例に接したことはなかった、あるいは少なかったかもしれないが、何らかのきっかけからつながることができればヤングケアラーを支援していくことができる、各分野の担当の方々が少し気をつけていただければ恐らく気づくことができる、その気づきからつながっていけば支援が可能であるという状況であると理解しました。
 あと、重要なのは、こうした担当者ベースで把握している情報を共有・交換をしたり、連絡・連携したりする場があるかどうかという点です。言ってみれば、各部署、各担当者の強みをお互いに生かしながら必要な対応を取っていく、適切な対応につなげていくということですが、こうしたことができるようになっているでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 市内5カ所の地域包括支援センターでは、それぞれの担当地域で地域包括ケアに関する課題を検討する「個別ケア会議」を開催しています。この会議には、介護保険関係者のみではなく、必要に応じて医療関係者や地域の民生委員等にも参加していただき、個別事例の検討を通じて地域課題の共通認識と課題の解決策の検討を行っております。ヤングケアラーを発見した場合には、この会議において関係者の共通認識を図るとともに、関係機関が連携して行う支援策を検討することが可能であると考えます。
 また、子育て世代包括支援センターでは、関係機関から連絡をいただき、子育ての情報を一元管理しており、支援が必要な場合は、随時適切な関係機関につなげるよう常に連絡を取り合っております。また、子育てに支援が必要な方で検討が必要な場合につきましては、支援プランケース会議を月に一、二回開催し、関係機関との個別の支援会議を行っております。
 虐待が疑われるケースにつきましては、家庭児童相談室が毎月開催しています要保護児童対策地域協議会実務者会議がありまして、関係者が情報共有し、対策を考えることができます。
 これまでヤングケアラーのケースはございませんでしたが、ケースが出てきた際にはこれらの会議においても検討し、必要な対策を考え、適切な対応につなげていけると考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。
 もしBさんが蒲郡市民であったなら、現状の様々な仕組みの中のどこかで支援につながることができたのではないかと思います。そして、つながることができていれば、そこまで苦労することはなかったのではないか。もう少し外部の支援の手を借りることができたのではないかと考えざるを得ません。そうすることができていれば、例えば、もっと勉強ができて希望の大学に入ることができたのではないか、心や体への負担をもっと軽くすることができたのではないかといった形で、様々な前向きな可能性が浮かび上がってくるようです。
 最後に、今後の対応について、お伺いしてまいりたいと思います。
 まず、蒲郡市の総合計画における位置づけについて、お伺いします。
 現在の総合計画である第4次総合計画においては、基本方針の4番目に「高齢者支援」という項目があり、この施策の体系の中に、「家族介護に対する支援」という項目があります。具体的な施策の内容としては、「在宅高齢者を介護する側の家族の負担を軽減するため、家族介護者のリフレッシュの場や情報交換の場を提供するなど、家族介護支援の充実を図ります。」とありますが、この中には、本日取り上げたヤングケアラーのことも含まれると考えてよいでしょうか、お伺いします。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 具体的な施策内容の「在宅高齢者を介護する側の家族」については、年齢を限ったものではありませんので、ヤングケアラーも含むものと認識をいたしております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 次に、現在、策定の作業が進められている第5次総合計画についてです。
 第5次総合計画におけるヤングケアラーに関する内容についての現在の検討状況をお伺いします。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 今後一層の高齢化が進行する中、介護を必要とする方の増加も懸念され、家庭で介護を担う方も増加していくことが予想されます。本市においては、昨年度、介護を抱えて追い詰められたことにより介護者が要介護者をあやめるという事件も発生していることから、第5次総合計画及び第9期高齢者福祉計画の具体的な施策の中にも、引き続き、「家庭介護者への支援策」を掲げていく必要があると考えております。
 ここに掲げる「家庭介護者」につきましては、さきの答弁で申し上げたとおり、年齢を限ったものではございませんので、今回の計画においても年齢を限って記載する予定はいたしておりませんが、藤田裕喜議員の御指摘のとおり、ヤングケアラーに対する支援も重要であると感じておりますので、具体的な支援策につきましては、関係機関と協議しながら研究をしてまいります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 次に、ヤングケアラーである子供たちに必要な支援策について、お伺いしていきます。
 ヤングケアラーである子供たちには、1、ケアについて安心して話せる相手と場所をつくること、2、家庭で担うケアの作業や責任を減らしていくこと、3、社会の意識を高めていくこと、この3点が必要な支援であると考えられます。
 まず、1のケアについて安心して話せる相手と場所をつくることについてです。
 これは、理想的には同世代に安心して話せること。同じような境遇にあるヤングケアラー同士が、自分の経験をお互いに共有できる場をつくることです。すなわちピアサポートのような場です。30代の私ですら介護の話は身近ではありませんから、10代、20代の若い世代にとってはなおのこと身近ではないということは明らかです。
 先ほど御紹介したBさんの事例もまさにそうでしたが、学校の友人や先生に話しても理解してもらえない、状況を分かってもらえない、だから、話すこと自体をやめてしまう。そうなると、自分で自分をどんどんと追い込んでいくことになり、孤立が深まってしまうという悪循環につながっていきます。そうした悪循環に陥らせないために、同世代のヤングケアラー同士が安心して話せる場が必要なのです。ただし、これをすぐに実現することは難しいと思いますので、市にある既存の相談窓口で対応できるかどうか、お伺いしたいと思います。
 こうしたヤングケアラーである子供たちからの相談や身内の介護に関する相談を受けていただくことは可能でしょうか。また、どのような窓口が対象となるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 65歳以上の高齢者介護に関する御相談については、高齢者の総合相談窓口である市内5カ所の地域包括支援センターが対応しております。地域包括支援センターに御相談いただく方の年齢は問いません。
 また、子育て世代包括支援センターでは、18歳までのお子さんの相談に対応しておりますので、ヤングケアラーである本人からの相談があれば、保健師や心理相談員、家庭相談員などが相談の内容に応じ対応をしてまいります。そして、介護サービス等に関する内容となった場合には、長寿課や地域包括支援センターと連携して支援をしてまいります。
 いずれにいたしましても、子供たちからも、何か困っていることがあれば、学校をはじめ、ふだん関わりのあるどこでもよいので声を上げていただきたい、そう考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。
 1点御提案ですが、子育て世代包括支援センターのホームページやパンフレットなどの案内に、ぜひ、「介護に関する相談も受け付けます」と明記していただきたいと思います。私自身もNPOでの活動の経験を通じて、また、議員としても相談を受けていてよく分かるのですが、相談者の側は、相談をしたいと思っていても、「こんな相談をしていいのだろうか」、「個人的な話は受け付けてくれないのではないか」などといった感じで、相談をする前から相談すること自体にかなりちゅうちょしてしまうという傾向があります。よくよく説明して心底御納得をいただいて、御安心をいただいてから、ようやく御相談をいただけるというパターンも少なくありません。相談を受ける側が、「どんな相談でも歓迎する」と思っていても、思っているだけでは相手に伝わらないという現状があります。ヤングケアラーに関する相談を受け付けていただけるなら、ぜひその旨、「若い世代からの介護に関する相談もお受けします」といった形で明記していただくようお願いしたいと思います。
 続いて、2の家庭で担うケアの作業や責任を減らしていくことについてです。
 これは、御紹介のみにとどめますが、家族全体を見てヤングケアラーが担う役割を整理し、限定していく、見直していくというプロセスが改めて必要なのではないかということです。家族の中での役割を見直す手段として、アセスメントシートという役割分担票のような書類を使って具体的に介護の実態を把握していきます。アセスメントシートは3種類あり、「自分がしているケアについて細かく把握すること」、「ケアを担うことで受ける影響を把握すること」、また、「子供が担うケアが不適切ではないかどうかを把握すること」がそれぞれできるようになっております。この結果を点数化して現況を把握・分析し、方向性を見出していくというものです。家族というだけで、子供であっても自動的に介護の担い手としてみなしてしまいがちですが、それが果たして本当に適切であるかどうか、改めて問い直すということです。子供にとって負担が重過ぎるようであれば、分担の見直しにつなげたり、新たなサポートを提供したりするということになります。これはぜひ参考にしていただければと思います。
 続いて、3の社会の意識を高めていくことについてです。
 何よりこのヤングケアラーという言葉について、また、その実態について知っていただくということが私は大変重要であると考えています。私から御提案したいのは、保健師や介護、学校など、関係する部署の職員、教職員を対象とした啓発・研修を実施することです。まずは、子供たちの周りにいる大人が気づくことが必要で、気づいて配慮をしていくこと、気づいて必要な支援につなげていくことでかなり状況は改善できるのではないかと思います。御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 ヤングケアラーを発見し支援につなげるためには、藤田裕喜議員御指摘のとおり、サービス提供関係者がその概念を理解し、注意深く子供の様子を観察する視点を持つことが重要であると考えます。
 現状実施しております各課の関係する会議の場において情報共有して意識を高めていくとともに、今後の啓発につきましては、関係者が行っております研修の中でも、そうした話題を盛り込みながら啓発してまいりたいと考えます。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 教育委員会としまして、学校の関係について、お答えをさせていただきます。
 ヤングケアラーという状況についても、生徒指導の一環として捉え対応してまいります。学校が家庭に介入していくことには限界がありますが、教職員の意識を高めていくためにも、校内で研修会を企画したり、校外での研修会に積極的に参加をするように啓発していく必要があると、このように考えております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひ研修の実施、また、研修会への参加をお願いしたいと思います。
 また、もう一点学校でお願いしたいのは、教員向けの実態調査です。子供たちを対象とした調査ではなく、学校の教員を対象とした実態調査で、先生方がこれまでに担任をするなどして接した児童生徒の中で、ヤングケアラーであると思われる児童生徒に出会ったことがあるか、また、学校でどのような状況であったかを主に聞く調査です。
 日本国内でヤングケアラーをめぐる問題にいち早く取り組んできた新潟県南魚沼市や神奈川県藤沢市で実施されており、子供たちに直接アクセスするのではなく、子供たちに接している先生方を通じて子供たちの状況を把握するということができます。蒲郡市では、今すぐは難しいかもしれませんが、今後実施する可能性も含めてぜひ御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 様々な家庭の状況や家庭の課題について、問題行動として表に表出していくような場合は把握をし、組織対応をもちろん行っております。しかし、家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている児童生徒で学習等に障害が出ているケースを捉えるための調査は、現段階では行っておりません。今後、校内での研修を深めていくためにも、過去の事例を振り返ることは大切なことだと考えております。蒲郡市内の小中学校におきまして、そうした事例が過去にあったかどうかについて、聞き取りをして進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。
 各関係者、各関係の機関の中で、結局のところ、一番子供たちの身近にあるのが学校という場なので、やはり学校から問題を解決していくためのきっかけとなる情報の提供があればということで私も考えております。生徒指導の一環という形でもちろん構いませんし、過去の事例でそういったものがあれば、すごく参考にしていただけるのではないかと思います。また、今後、ヤングケアラーであるかもしれないと疑われるような事例があった場合には、関係者、関係機関と連携した対処をぜひお願いしたいと思います。先生方へのアンケートを通じて実態がよりはっきりと分かってくれば、蒲郡市においてどのような取組みや対応が可能なのか、より的確に把握できると思いますので、ぜひ取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
 まとめに代えて、最後に、子供たちがケアの経験を通じて得たプラスの影響についても触れておきたいと思います。
 多くのヤングケアラーに見られる特徴として、「年齢の割には高い生活能力を身につけていること」、「マルチタスクをこなせること」、「聞き上手であること」、「忍耐強いこと」、「病気や障害についての理解が深いこと」、「思いやりがあること」が挙げられています。こうした経験は、社会に出て、例えば、会社で仕事をしていく上でも非常に重要な能力であることは皆さんにもお分かりいただけると思います。こうしたプラスの影響を積極的に評価して、マイナスの影響をできるだけ減らしていくということは非常に重要です。
 マイナスの影響をできるだけ減らしていくこととは、例えば、学校生活をできる限り、ほかの生徒と同じように送ることができるようにすること、介護のサービスを利用しやすくすること、より的確にサポートを提供することです。ヤングケアラーができるだけ同世代と同じような機会や経験を得られるようにしていく、こうした観点から考えていく必要があると思います。ケアという経験を決してネガティブに捉えるのではなく、むしろ、若い人たちの可能性を広げるポジティブな経験だったのだと私たちも捉え直していく必要があるのではないかと考えています。蒲郡市の今後の対応に期待したいと思います。
 ありがとうございました。

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