◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い質問いたします。
おくやみコーナーについて、お伺いします。
おくやみコーナーとは、市民の死亡に関する専用の窓口を設けて、亡くなった方や御遺族の状況に応じて必要な手続を絞り込み、書類作成の補助や書類の受付、また関係する部署への案内などを行うワンストップサービスを提供する窓口を言います。
自分の家族がなくなった場合、葬儀を手配して葬儀を無事に終えるだけでも、手続的にも精神的にも大変大きな負担です。これに加えて、特に御遺族の負担が大きいと言われているのが、市役所における各種の届出、手続です。
身近な人を亡くし、ただでさえ悲しみに包まれている中で幾つもの窓口に行かなければならず、一つ一つの窓口で番号札を取って待ち、各窓口で事情を説明し、同じような情報を幾つもの書類に記入してまた次の窓口に回る。まさにたらいまわしと言われるような状況で、手続だけで半日かかるとも1日かかるとも言われています。手続によっては定められた期限もあり、いつまでも先送りできないという状況も、プレッシャーをさらに大きくしていると考えられます。
一言に死亡に関する手続といっても、死亡の届出や健康保険の手続、課税台帳の確認など、市役所が担当する手続でもそれぞれ窓口が異なりますし、市役所では手続のできない年金や法務局での手続、さらには保険会社に連絡をしたり銀行に行ったりする必要がある場合もあるでしょう。もし相続する遺産があれば、これを調査し、当事者間で協議して、名義変更と登記、さらには相続税の申告の手続も必要となり、場合によっては何度も同じところに出向く必要も生じます。
多くの人にとって、家族の死亡や相続に関する手続は身近ではありませんし、生涯で何度も経験することがあるような種類の手続でもありません。どのような手続が必要なのか、手続に必要な書類は何か、いつまでに何をすればよいか、実際に自分が直面してみないと分からないし、そのため不安も大きいというのが現状ではないかと思います。御遺族が高齢である場合や御遺族が蒲郡市ではないところで生活していて市役所になかなか来庁できないという場合は、一層その不安が大きく覆いかぶさってくるのではないかと想像できます。少しでも御遺族の負担を軽減できるよう、市としても配慮し、環境を整える必要があるのではないかと思います。
そこでまず、死亡に関する手続の現状についてお伺いします。
蒲郡市に住民登録がある方が死亡された場合、市役所の窓口において必要となる手続にはどのような種類のものがあるでしょうか。また、市役所以外の窓口において必要な手続についても、併せてお知らせいただければと思います。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 市役所のそれぞれの課が所管しております死亡に関して必要となる手続は、お亡くなりになった方やその御遺族の状況により異なってまいりますが、必要な手続を挙げますと、まず、最初に死亡届の受付・埋火葬許可証の交付を行います。市民課の関係では、世帯主が亡くなられた場合の世帯主変更届、それから印鑑登録証、住基カード、市民証の返却の手続があります。
また、保険年金課の関係では、国民健康保険、後期高齢者医療・福祉医療、年金の手続、福祉課では、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・福祉手当、子育て支援課が、児童手当・遺児手当、長寿課では、介護保険の手続があります。
さらに、水道課では、水道の使用者変更届の手続、環境清掃課では、犬の所有者の変更の手続、税務課が原動機付自転車の名義変更または廃車の手続、農林水産課では、農地・森林を相続された方の農地法の規定による届出の手続などが必要となってまいります。
また、市役所以外の手続としましては、相続税、不動産登記の関係、普通自動車税、生命保険、個人年金保険、預貯金口座、株式、国債、クレジットカード、固定電話・携帯電話、ケーブルテレビ、NHK受信料、電気・ガス料金、名義変更等の手続など、様々な手続が考えられます。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 大変多岐にわたることが分かりました。
御説明いただいた手続について、現状では、これらの手続をどのように案内しているでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 本市では、住民異動(転入・転出・出生・死亡)や戸籍届出に伴う関連手続を市民課窓口でまとめて行うことができるように、平成22年7月から総合窓口サービスの提供を行っております。関連する課につきましては、税務課、保険年金課、福祉課、長寿課、子育て支援課、健康推進課、学校教育課の7課であります。
死亡に関する手続につきましては、死亡届の受理や埋火葬許可証の交付をはじめ、後期高齢者医療・国民健康保険の葬祭費の申請や医療保険証・医療受給者証の返納や回収、死亡による世帯主変更の届出受理などの手続をこの総合窓口で一括して行っています。
市民課に死亡届が提出されますと、亡くなった方の年齢や国民健康保険への加入状況などにより、死亡に関する手続で必要な42種類の手続のうちその方に関係があるものが案内チラシとして印刷されるようになっています。このチラシを見ながら、市民課の総合窓口でできるものは総合窓口で手続を行い、それ以外のものは、それぞれの担当課を御案内しております。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 総合窓口サービスを導入し、一括して手続を受け付けているとのことですが、死亡に関する手続において、再度の来庁が必要となるような、特に不備や漏れの多い手続はあるでしょうか。このような事例について把握されているでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 総合窓口と関連しております7課とは定期的に総合窓口連絡会議を実施しておりますので、特に不備や漏れが多い手続などがあればここで話題に上ると考えますが、これまで特にそのような話題は出ておりません。
なお、総合窓口連絡会議で出された意見については、業務の見直しに反映させており、これまでにも死亡届を提出された方への案内チラシの掲載内容等の見直しを行っております。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 続いて、おくやみコーナーの導入についてお伺いします。
今回の質問は、市民の方から、蒲郡市でもおくやみコーナーを導入してほしいと御相談をいただいたことがきっかけです。確かに、近隣の豊橋市や西尾市では、おくやみコーナーが導入されていることが大きな話題となっていますし、三重県松阪市や桑名市をはじめ全国の自治体でも導入が進められています。
人口規模が比較的大きな自治体だけでなく、蒲郡市と似たような規模、あるいは蒲郡市よりも人口規模が小さい自治体においても導入が進められています。
一方、既に蒲郡市では、このおくやみコーナーに相当する総合窓口サービスが導入されています。しかしながら、市役所のどの部署のどの窓口においても、総合窓口サービス、あるいはおくやみコーナーといった案内はありませんし、ホームページにも何も記載はありません。総合窓口サービスなどと言われても、ほとんどの市民の皆さんにはそれが何を指すものなのか分からないのではないかと思います。
総合窓口サービスの導入時に一定の広報はされたようですが、そのときに関心がなければ気にも留めず、また記憶もされていないというのが、残念ながら現状ではないかと感じます。
また、総合窓口サービスを利用された方であればその便利さは御存じかもしれませんが、死亡に関する手続については、先にも申し上げたとおり一生のうちで何度も経験するような手続ではないため、市民にとって身近ではありません。したがって、多くの人には分からないままとなっているのではないかと思います。
そもそも、総合窓口サービスが導入された平成22年、2010年の当時には、全国的にもおくやみコーナーといったワンストップサービスの窓口はありませんでした。こうした状況を踏まえれば、蒲郡市にはないおくやみコーナーがほかの自治体には次々と作られていると考えられても、何ら不思議ではないと思います。既に導入されている総合窓口サービスが実際にはおくやみコーナーとして利用できるということが伝わっておらず、大変残念であると感じます。
しかし、こうした状況は、考え方を変えれば、既にあるサービスを利用し、新たな看板を据えるだけでも市民の皆さんにとってのサービス向上につながるということではないかと思います。言い換えれば、実際の手続の中身は同じでも、市民課におくやみコーナーという看板を新たに掲げるだけでも、市民の皆さんにとっての利便性は大いに向上するのではないかと思います。
現在、蒲郡市で年間に死亡される方の数は900人前後を推移していますが、高齢化社会のさらなる進展に伴い、今後も年間の死亡者数が増加していくことは容易に想定できます。将来を見据えて、市民に分かりやすいサービスを提供するという観点からも、環境を整えることは重要なことではないかと考えます。
そこで、蒲郡市においてもおくやみコーナーという名称の窓口を設け、看板を設置して市民サービスの向上を図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 総合窓口では、死亡に関する手続だけでなく、出生や婚姻など、より広い手続の受付を行っています。窓口は5つあり、届出の内容に限定せずに混雑時などに柔軟に対応ができる体制にしております。
死亡に関する手続につきましては、その中の手続の1つでありますので、おくやみに限定した窓口は考えておりません。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 確かに、5つの窓口で内容に限定せず柔軟に対応できるということは、1つの考え方かもしれません。窓口や看板を新たに設置することが難しいのであれば、せめて総合窓口サービスに関する説明をすることが必要ではないかと思います。
先ほど、市のホームページにもおくやみコーナー、あるいは総合窓口サービスに関する記事が一切ないと申し上げました。現状では、死亡に関する手続について、市のホームページ上ではどのように案内されているでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 蒲郡市のホームページ、トップページの「おくやみ」をクリックしていただきますと、「ご不幸」の画面が開きます。その中で、死亡に関する手続として、斎場の予約、死亡届など、各種手続について案内をしております。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私もホームページを確認いたしましたが、確かに、「おくやみ」と表示されたボタンがあり、これをクリックすると「ご不幸」の画面が開きますが、その先は、葬儀後のお手続き、死亡届、斎場の予約といった形で、個別の手続のページに分かれています。さらに、ほかにも年金や相続、また国民健康保険の葬祭費の案内が表示されていますが、これらのどこにも総合窓口サービスの説明はないばかりか、それぞれのページにQ&Aや説明が掲載されており、むしろ全ての各手続を自分で個別に進めなくてはならないのではないかと感じられるほどです。このページを見ただけでは、ワンストップで手続が完結・円滑に進むとは想像できません。端的に言って、大変不親切であると思います。
さきに御答弁いただいたような御説明、つまり蒲郡市においては住民の異動に係る手続や戸籍の届出に関連する手続は市民課で済ませることができる総合窓口サービスが導入されており、他市におけるおくやみコーナーのようにワンストップで死亡に関する手続も受け付けることができる、こうした説明をホームページにおいても明確にしておくべきではないでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 実際に御不幸があった方に対しましては、死亡届を提出されたときに、死亡後の手続の御案内をお渡しし、その際、市民課にてワンストップサービスができる旨の説明をいたしております。
しかし、市民課の窓口に来て初めてワンストップで手続ができることを知る方もおられますので、ホームページの掲載、情報発信の仕方について、より分かりやすくなるよう見直してまいりたいと思います。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
それと、もう1点御提案があります。自治体におけるおくやみコーナーの導入に当たっては、内閣官房情報通信技術IT総合戦略室からおくやみコーナー設置ガイドラインが公表されており、このホームページにはおくやみコーナーを設置した三重県松阪市の事例が紹介されています。このガイドラインを見ると、松阪市においてはおくやみハンドブックという冊子が利用されていることが分かります。おくやみハンドブックでは、手続自体の案内と解説があるだけでなく、手続に必要な印鑑や通帳、証明書などの持ち物について説明がある上、委任状も閉じ込まれています。手続の案内については、年金、健康保険、介護保険、税金、上下水道、児童手当など、分野別に必要な手続と窓口が紹介されており、さらに、市役所内での手続だけでなく、市役所外の手続、例えば生命保険や銀行、不動産の登記や相続に関する窓口の案内までしっかりと網羅されて、整理されてまとめられております。非常に実務的、実用的な内容の冊子になっています。
先ほどの御答弁では、蒲郡市においては死亡届を出すと案内チラシを渡していただけるということでしたが、この案内チラシ以外の資料やパンフレットなどは何か作成されているでしょうか。また、窓口でお渡ししているでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 先に御答弁いたしました案内チラシ以外には、資料やパンフレットなど特別なものは作成しておりません。なお、案内チラシにつきましては、その方に特化したものではない一般的なものも用意いたしており、窓口で希望される方にお渡ししております。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 分かりました。
蒲郡市においても、先ほどの松阪市のようなおくやみハンドブックを作成してもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○大竹利信議長 市民福祉部長。
◎岡田隆志市民福祉部長 死亡に関する手続は多岐にわたっており、なかなか気がつかない手続もある中で、議員に御紹介いただいた松阪市のおくやみハンドブックは、市民の方への手助けとなるものと考えますので、その作成を検討したいと思います。
○大竹利信議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
今回は、おくやみコーナーについてお伺いしてまいりましたが、現状は総合窓口サービスによって十分対応できているということで、それは大変よく理解できたのですが、私としては、やはり将来的な課題として、今後窓口を設けることも検討していく必要があるのではないかと感じます。
先ほど御紹介した、内閣官房情報通信技術IT総合戦略室のガイドラインには、既におくやみコーナーを設置した自治体の利用者アンケートの結果も公開されています。三重県松阪市におけるおくやみコーナーを利用した方の声として、必要な手続を一度に丁寧に説明、案内をしていただき、本当に助かりました。短時間で終えることができてよかったです。ありがとうございましたといった感想や、高齢を
配慮していただき、窓口移動を極力少なくしてもらい、大変感謝しています。またおくやみコーナー受付窓口の丁寧な対応ありがとうございました、大変助かりましたといった感想が紹介されています。
満足度のアンケート結果も紹介されていますが、このおくやみコーナーの対応の満足度は、何と93%です。おくやみコーナーの設置の必要性、重要性を示す数字であると思います。
蒲郡市においては、現時点では必要性は低いかもしれませんが、今後の高齢化社会のますますの進展に伴って、いずれおくやみコーナーを別に設けて対応する必要が出てくるのではないかと感じます。今後の前向きな御検討をぜひともお願いしたいと思います。以上でこの項目については終わります。