◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い一般質問をいたします。
今回は、市民向けの情報発信の在り方について取り上げます。
市民向けの情報発信をめぐって、私が今回特に問題意識を持っているのは、蒲郡市が実施している様々な事業について、その内容や実績、効果や成果がきちんと市民に伝わっていないのではないかということです。特に、市の事業に関する広報チラシに着目して、広報チラシが分かりにくいがために、市民に対してきちんと情報が伝わっていないのではないか。そのため、市の事業に対して市民からの評価や印象が低いのではないかという観点から議論を進めたいと考えています。内容がよく分からない事業や取組に対しては、市民が参加したり申し込んだりするなど、積極的に関わることもないし、よい印象を持つこともないと考えているからです。
反対に市民に対する十分な情報発信、十分な情報提供があれば、市の施策に対する満足度や理解度も向上させることができるのではないか。それが市に対する愛着や誇り、住みやすさやメリットを感じていただくことにつながっていくのではないかと考えています。
今回の質問に当たっては、東京都足立区シティプロモーション課の取組を参考にさせていただきました。皆様は東京の足立区を御存じでしょうか。東京の足立区にどのようなイメージをお持ちでしょうか。東京都足立区は、23ある特別区の中でも、決してイメージがよいとは言えなかったのですが、シティプロモーション課という部署を新設し、民間出身者を2名採用することで、区民向けの情報発信改革に取り組んできました。シティプロモーション課を設置した2010年の当時、「足立区に愛着を持っている」と答えた区民は約7割でしたが、「足立区に誇りを持っている」と答えた区民は約3割でした。しかし、地道な取組を続けた結果、足立区に誇りを持っている区民の割合は、2年後の2012年には4割に、6年後の2016年には5割を超えました。今や足立区、特に千住といえば関東の住みたいまちランキングには常連でランクインするほどです。もちろん情報発信だけではない様々な要因があったとは思いますが、分かりやすい情報発信に努めていくことで、自治体の内外におけるイメージや印象を大きく変えていくことができる。まさにその実例であると思います。
私は、この足立区の事例を、ぜひ蒲郡市にも参考にしていただきたいと考え、一般質問として取り上げることといたしました。自治体の規模や地域を問わず、十分に参考にできる事例であると思います。
今回は、令和2年度に実施された蒲郡市の市民意識調査の結果を手がかりとして、どのぐらいの蒲郡市民が蒲郡市に対して愛着を持っていて、住みやすいと感じているか。現状を読み解き、その上でどうすれば市民に情報がよりよく伝わるか。どうすれば市の事業に対する満足度をさらに向上させることができるのか検討していきたいと思います。
それでは(1)令和2年度市民意識調査の結果についてお伺いしていきます。
最初にアの市民の蒲郡市に対する愛着や、市民が感じる住みやすさについてです。市民意識調査では、蒲郡市に愛着があるかどうかや、蒲郡市を住みやすいと思っているかについて聞いています。
まず、令和2年度の市民意識調査で、「蒲郡市に愛着がある」と答えた人の割合はどのくらいだったでしょうか、お伺いします。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 令和2年度の蒲郡市市民調査では「蒲郡市に愛着がありますか」という問いに対しまして、「とても愛着がある」と答えた割合が37.7%、「やや愛着がある」と答えた割合が41.7%、これらを合わせた「愛着がある」と答えた割合は79.4%となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、住みやすさについてお伺いします。令和2年度の市民意識調査で、蒲郡市を住みやすいと思っている人の割合はどのぐらいだったでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 「蒲郡市は住みやすいまちだと思いますか」という問いに対し、「住みやすい」と答えた割合は39.3%、「どちらかといえば住みやすい」と答えた割合は40.5%、これらを合わせた「住みやすい」の割合は79.8%となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 この住みやすさの質問については、過去の調査でも同様の設問があり、年ごとの変化を見ることができます。どのような変化をたどっているかお知らせいただけますでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 過去の調査結果におきましては、平成21年度の調査では「住みやすい」と「どちらかといえば住みやすい」を合わせた「住みやすい」と答えた割合は75.5%、平成30年度では75.6%、先ほど御紹介させていただきました令和2年度では79.8%となっておりますので、微増傾向となっているというように考えております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 蒲郡市に愛着があるという人の割合も、住みやすいと感じている人の割合も、どちらも8割近くに達しているということですが、この両者について何か関連性があるとお考えでしょうか。どのように分析されていますでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 愛着度や住みやすさにつきましては、様々な施策を行い、市民の方が生活の中で実感される総合的な評価であると捉えております。
愛着度と住みやすさをクロス集計した結果では、「住みやすい」と答えた方ほど「愛着がある」の割合が高くなっておりますので、相互に関連性のある指標であると捉えております。また、「住みやすい」と答えた方で「愛着がある」と答えた方は94.7%と高い数値となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 市民意識調査には、こんな設問もありました。「知人に住む場所として蒲郡市を薦めるかどうか」です。令和2年度の市民意識調査の結果をお知らせいただけますか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 「知人に住む場所として蒲郡市を薦めますか」という問いに対しまして、「薦めたい」と答えた割合は18.5%、「どちらかといえば薦めたい」と答えた割合は27.5%、これらを合わせた「薦めたい」の割合は46.0%となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 分かりました。ここまでの話をまとめると、蒲郡市に愛着を感じている人は8割近い、また、蒲郡市を住みやすいと感じている人も8割近い、しかし、蒲郡市を知人に薦めるかというと、そうではなくて、薦めたいという人はその半分近くの46%、実際には薦めたくない、あるいは、どちらとも言えないという人のほうが多くて53.1%に上るという結果になっています。私の印象とはして、非常に残念な結果であるというように感じています。住みやすいけれども、他人には薦められないということでしょうか。どのような理由や背景があって、このような結果になっているとお考えでしょうか。分析をお聞かせください。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 先ほど御紹介させていただきましたが、愛着度と住みやすさをクロス集計した結果では、「住みやすい」と答えた方ほど「愛着がある」の割合が高くなっておりますので、相関関係がある指標であると捉えております。その他、様々なクロス集計を行いましたが、有意性がある集計結果が出ておらず、市民意識調査の中では、その要因は特定できておりません。
現状では「愛着度」、「住みやすさ」と「薦めたい」との間に差がありますが、第五次蒲郡市総合計画の将来都市像でお示ししておりますが、市民一人一人が地域に誇りを持ち、「君が愛する蒲郡」となるよう地域への愛着を醸成することで、住む場所として薦めたいと思える蒲郡市にしてまいりたいと考えております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私もぜひ、そのような蒲郡市にしていきたいとは思いますが、現状では、私の考えでは、蒲郡市に暮らすことを余り前向きには感じていない。前向きには感じられないという人が多いということを、残念ながら示しているのではないかと思います。
市民意識調査の設問には、蒲郡市に住むことになったきっかけを聞いているものもありますが、一番多いのは、「蒲郡市に生まれたから」で、令和2年度の結果は64.8%、その次は「結婚」で18.2%です。ちなみに、「魅力を感じたから蒲郡市に住んでいる」と答えた人は、わずか1%でした。「たまたま縁があったから、仕方なく住んでいる」というのが残念な現状であるとすら感じられます。せめてもう少し蒲郡市に暮らすことを前向きに捉えていただけないか。もう少し蒲郡市というまちに満足感や充実感を持っていただけないか。そう思えてなりません。
先ほどの御答弁では、愛着度、住みやすさと人に薦めたいかどうかの関連性については、要因は特定できないとのお話でしたが、確かにいろいろな要素や個人の事情や背景があるものと推測されますし、明確な因果関係をはっきりさせにくいというところもあるのは事実であろうと思います。私もそう感じております。
ただし、ここで1つ考えてみたいのが、もし蒲郡市の施策に対する印象や評価がよければ、蒲郡市に住むことを前向きに感じられるのではないかということです。たまたま偶然住むことになったまちでも、そのまちで実施されている事業やイベントに魅力を感じるということはありますし、その積み重ねが市に対する印象や評価を向上させていくという可能性は十分にあると考えられるからです。
そこでイの、市民の蒲郡市の施策に対する印象や評価についてお伺いします。市民意識調査には、「蒲郡市に対してどのようなよい印象を持っているか」という設問があります。まずは、この質問に対する令和2年度の回答の結果をお知らせいただけますか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 蒲郡市の印象を問う調査項目は「特に良い印象はない」という項目を含め、あらかじめ御用意した19の選択肢から最大3つを選ぶ方式による調査したものでございますが、回答の割合が多い上位の項目を御紹介させていただきますと、「海や山林などの自然が残っており、環境がよい」と答えた割合が63.2%と最も高く、次いで「災害などの心配が少ない」の割合が27.4%、「交通が便利である」の割合が22.3%となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 蒲郡市のよい印象としては、自然が残っていて環境がよいという答えが最も多く63.2%を占めるとのことですが、蒲郡市の自然はもともと存在しているものですし、確かに市としても自然保護には取り組んでいただいていると思いますが、市の施策の結果として目に見えるように充実したとは、なかなか言い難い分野であるのではないかと思います。ほかの選択肢を見てみますと、例えば、福祉サービスが充実しているとか、教育環境が整っているとか、子育てしやすい環境であるとか、公共施設が充実しているとか、こうした選択肢については、いずれも数%の人しかよい印象を感じていないようです。しかし、実際には福祉にしても、教育にしても、子育てにしても、公共施設についても、蒲郡市としては近年力を入れてきている取組ですし、決して充実していない、全く不十分であるとは言えないと私は感じています。どの分野にもしっかりと取り組んできていただいていることは議会でもしっかり確認をさせていただいているところです。つまり、市民からの評価が低すぎるのではないか。もっと高く評価されるべきでないかと私は思います。
市民が感じる施策の優先度についても、私は同じことを感じています。市民意識調査では、市の施策の満足度と重要度から、施策の優先度を分析していただいています。重要だけれども現状に満足できないという施策について、優先度が高いと判定しているわけですが、優先度が高い項目について、どのような施策が挙げられているかお知らせいただけますでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長兼危機管理監 施策の重要度の得点から満足度の得点を引いたものを優先度とさせていただいておりますが、優先度が高い項目として上位5位の項目を御紹介させていただきますと、高い順に「公共交通の利便性」、「災害に強いまちづくり」、「騒音、悪臭、大気・水質汚染対策」、「生活道路の整備」、「地域医療体制」の順となっております。
以上でございます。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 今お知らせいただいた項目のうち、例えば、災害に強いまちづくり、地域医療体制についてですが、これらは、市としても近年力を入れていただいている分野です。既に十分取り組んでいるのではないかとも感じられます。やはり市民からの評価が低すぎるのではないか。もっと高く評価されるべきではないかとすら思います。市の施策によい印象を持っているかどうか。どの施策の優先度が高いと考えられるのかのいずれについても、市が注力して取り組んでいる分野とは、ずれがあるように感じます。つまり市の取組が市民にきちんと伝わっていないのではないか。市の施策が十分に市民に伝わっていないからこそ、よい印象がないのではないかと感じます。市民に施策の内容が伝われば、情報が十分に伝わっていれば市の印象もよくなり、結果として満足度も向上し、人に薦めたいと感じていただけるようになるのではないでしょうか。
市民意識調査の中に、子育て施策に関する質問があります。子育てしやすいまちかどうかというだけでなく、子育てに関する情報に満足しているかということも聞いています。この両者がどう関連していたか、調査結果を含めてお知らせいただけますでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 「蒲郡市は子育てしやすいまちだと思いますか」という問いに対しまして「子育てしやすいまちだと思う」、「どちらかといえば子育てしやすいまちだと思う」を合わせた割合は50.3%となっております。また、「子育てに関する情報に満足していますか」という問いに対して「満足している」、「どちらかというと満足している」を合わせた割合が33.9%となっております。
この2つをクロス集計した結果、子育てに関する情報の満足度が高くなるにつれ、子育てしやすいまちだと思う割合が高くなる傾向が見られます。特に子育てに関する情報に満足していると回答した方の8割以上は、子育てしやすいまちだと回答している結果となっております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 子育てに関する情報の満足度が高い方は、子育てしやすいまちだと感じているということでしたが、これは非常に重要なことだと思います。情報の満足度と施策への満足度、理解度には関連性があるのではないかということを強く感じさせる結果です。そしてこれは子育て施策に限ったことではなく、ほかの施策にも同じことが言えるのではないでしょうか。市の事業についてしっかりと理解をしていただければ、施策への満足度、ひいては蒲郡市への満足度も向上していくのではないでしょうか。
そこで、市の事業についてしっかりと理解をしていただくための1つの手段という観点から、(2)市の事業に関する広報チラシについてお伺いしていきたいと思います。
広報チラシがよくできていれば、市がどんな取組をしているか、どんな企画を実施しているか。どんなイベントをやっているか。あるいはどんな補助金を提供しているか、市民によりしっかりと伝えることができるのではないかと考えてのことです。つまり、裏を返せば現状は、私としては事業の広報チラシについては、まだまだ改善の余地があるのではないかと考えているということです。
蒲郡市の施策に対する満足度を向上させるための1つの手段として、広報チラシをより効果的に利用することができるのではないかと考えています。
なお、今回取り上げる広報チラシは、市の事業について参加者を募集したり、事業の案内や紹介をしたりする紙1枚のチラシを対象といたします。
それではまず、アの広報チラシに関する基準についてお伺いします。
市で作成している広報チラシについてですが、各部署において作成するチラシの内容について、必ず掲載しなければならない項目や表現の仕方について、何か決まりや基準があるでしょうか。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 市では、全ての市民にとって少しでも分かりやすい印刷物を作成するために、「ユニバーサルデザイン文書マニュアル」を作成しております。このマニュアルは、ポスター、チラシ、パンフレット、冊子を対象としており、「受け取る人の立場に立って情報を提供すること」を作成の基本姿勢とし、5W1Hを明確にすることを定めるとともに、字体や文字の大きさ、文字の間隔、配慮した表現や色の使い方等の共通ルールを定めております。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、事業の実施や告知、広報に当たって、チラシが必要な場合と不要な場合とがあると思いますが、チラシ作成の有無や必要性については、どのように判断・決定されているのでしょうか。何か基準があるでしょうか。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 市政情報の情報発信につきましては、広報誌、回覧板、チラシといった紙媒体のほか、ホームページや公式LINE、公式インスタグラムへの掲載、ユーチューブでの映像配信など様々な媒体を活用しております。その中で、チラシは紙媒体として建物の壁面など人目につきやすい場所に手軽に掲示することが可能で、また、不特定の方に配布しやすいという特性がありますので、情報発信の手法としてチラシが効果的であると判断したときに作成しております。
多くは、広報がまごおりでは紙面の都合上詳しくお知らせができない事項をより詳しく事業を紹介する場合や参加者の募集、イベントの告知など広く市民の皆様にお知らせする場合に作成をしております。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、イの広報チラシ作成のプロセスについてお伺いします。
まず、広報チラシは誰がどのように作成しているでしょうか。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 事業ごとに所管課の担当職員が作成をしております。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 市の事業のチラシを拝見していますと、プロのデザイナーさんに依頼・委託して作成しているようなものも最近は多く見られると思いますが、一方で、市の職員が手作りでワープロソフトなどを使って作っていらっしゃると思われる場合も見受けられます。どちらがよくて、どちらがよくないということは全くありませんが、プロのデザイナーにお願いするのはどのような場合でしょうか。どのようなこときにお願いすることになっているか決まっているでしょうか。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 事業の全てを委託している場合やチラシの印刷を外部に発注する場合につきましては、併せてチラシのデザインや校正をお願いし、職員が内容のチェックを行っています。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、チラシの内容についてですが、足立区シティプロモーション課では、広報チラシに対する考え方について、5つのステップにまとめています。5つのステップに従って広報チラシを見直していくことができるという考え方です。ここで御紹介します。
まず、第1のステップは、考え方を整理する。特にチラシのターゲットは誰か。誰向けのチラシなのか整理するということです。多くの事業は、蒲郡市の全市民が対象かもしれませんが、特にメインのターゲットとして捉えている層があるはずです。この事業は全市民が対象だが、一番来てほしいのは家族連れであると考えるなら、家族連れというターゲットに届くような文言、写真、キャッチコピーを考えていくということになります。そうして同時に、チラシの目的についても考える必要があります。チラシを作ることが目的ではないのはもちろんですが、チラシを作って、例えば、参加者を募集したいのか、あるいは制度を周知したいのか、もしくはウェブサイトにアクセスをしてほしいのか、どのようなアクションを起こすことが期待されているか、その目的をあらかじめ想定してチラシを作っていくということです。
第2のステップは配布先の選び方です。チラシの情報を届けたいターゲットにチラシを手にとってもらい読んでもらうためには、チラシをどこに配布すべきなのか、どのような広報手段を利用すべきなのか検討するということです。そのターゲットに到達するためにチラシを利用することが本当に必要で、適切なのかということも検討する必要があります。
第3のステップとして、アイキャッチといいまして、目を留めるものを検討する必要があります。たくさんのチラシが並べられている中で、設定したターゲットにしっかり届けるためには、ターゲットの目に留まるようにチラシを作る必要があります。ここで具体的に重要なのは、キャッチコピーやタイトルなどの言葉と、視覚に訴える写真やイラスト、色使いです。たくさんあるチラシの中から目に留めてもらい、実際に手に取ってもらうこと、そしてアクションにつなげていただくことが目的ですから、何より一目で見て事業の内容が分かるようにすること。一目で見て自分に関係があるかどうか分かってもらえるということが重要です。
第4のステップとして、内容の取捨選択、めり張りです。蒲郡市の事業のチラシにも、実施要綱のように、事業に関する全ての項目と全ての情報がA4の1枚のチラシに詰め込まれて羅列されているというケースをよく見かけます。確かにどれも重要な情報ですから、全て載せたいというようにお考えになる気持ちはよく分かりますが、文字ばかりでは受け手に伝わりません。紙の両面を使うなどして、表面には受け手に届けたい情報だけを最小限に絞って掲載し、裏面に詳細情報を掲載するといった工夫ができると思います。
第5のステップは、伝えたいことをそのまま伝えるのではなく、相手が知りたいと思うことを伝えるということです。こちらが伝えたいと思っていることは、往々にして相手が知りたいと思っていることとは異なっています。伝えたい情報をそのまま掲載するのではなく、伝わるように工夫することが重要であるという点です。まとめますと、第1にチラシのターゲットと目的を明確にすること、第2にターゲットに届くように配布先を検討すること、第3に目に留まるよう工夫すること、第4に内容にめり張りをつけること、第5に相手が知りたいことを伝えるようにするということです。
チラシの作成に当たりまして、今申し上げたような点について、担当の職員さんが相談をしたり、アドバイスを受けたりする機会はあるでしょうか、お知らせください。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 事業の所管課におきまして、ほかの職員や上司からアドバイスを受けることになります。また、プレスリリースするなど秘書広報課広報広聴担当と協議が必要になる場合につきましては、秘書広報課職員に相談をして受けてアドバイスをすることもございます。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、チラシを完成して公開する際のプロセスについてもお伺いします。
チラシが出来上がって、いよいよ公開するとなった場合に、誰がどのように確認をして、最終的にゴーサインを出すのか。このチラシで進めようと決定することになっているでしょうか。
○大向正義議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 事業の所管課におきまして作成したチラシのチェックを行い、所属長の決裁を経て最終的に決定をしてまいります。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 分かりました。基本的には、事業を担当する部署の中でのみ検討され、決定されるということだと思います。
では、ウの広報チラシに関する職員向け相談窓口の設置についてお伺いします。
足立区では、さきに御紹介したようにシティプロモーション課という部署が、チラシの作成に当たって相談を受け付けていらっしゃいます。現在では年間400件から500件もの相談を受けていらっしゃるそうです。足立区のシティプロモーション課はチラシの内容をチェックしているのではなく、つまり内容を確認してお墨つきを与えているのではなくて、チラシを作成する部署の担当者と打合せや話し合いを重ねて、どうすれば区民に事業の内容や魅力が伝わるのかということを共に考えるという役割を担っています。キャッチコピーの文言1つをとっても、その事業を熟知している所管課の中だけで議論を進めるよりは、ほかの部署からの意見を巻き込んだほうが、より広い視点から分かりやすく、伝わりやすいアイデアを得られる可能性があります。私自身も、何事においても、いろいろな人の意見を聞いて取り入れるようにしていますし、そのプロセスの中では、自分では到底思いつかなかったような発想やアイデアを得るということを何度も体験しております。ほかの分野の人からの意見を聞いてみることは大変よい刺激となると思います。
蒲郡市においても事業の広報チラシ作成に当たって、気軽に相談できるような窓口を設けるべきではないでしょうか。相談相手は専門のデザイナーやマーケティングの知識にたけた人である必要はなく、先ほど申し上げたような5つのステップ、チラシのターゲットや目的、配布先について話し合い、打合せができる相手であれば、誰でも大丈夫だと思います。プロが使うようなソフトウェアも不要ですし、特別なトレーニングも不要です。普段の業務で使っているようなソフトウェアで十分に効果のあるチラシを作成することができます。大事なのは話し合うというプロセスで、話し合う中からチラシのターゲットや目的が明確となり、より洗練されたチラシの作成につなげていくことができます。こうした相談に乗ってくださるような窓口を、どこかの部署で引き受けていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 秘書広報課広報広聴担当では、広報がまごおりの発行とともに、プレスリリースや記者会見など、テレビや新聞に取り上げてもらうための業務に携わっております。その経験から、セールスポイントやキーワードを目にする機会も多いため、事業の所管課からの相談を受ければ、何かしらのアドバイスをすることができるものというように感じております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 そうであるならば、ぜひ相談窓口を引き受けていただきたいと思います。
最後に、専任のデザイナーを採用することについて、お考えをお聞きします。
足立区のシティプロモーション課は、当初は事務職員だけでスタートしましたが、発足から10年以上が経過した現在では、2名の専任のデザイナーが在席されています。デザイナーが在席することによって、より迅速に、そして確実に届けたい情報を効果的に届けることができるようになったということです。より綿密に打合せもできますし、意図や思いを直接伝え、共有しながら広報チラシの制作を進めていくことが可能になると考えられます。
そこでお伺いします。市役所の各部署で作成している広報チラシの制作を引き受ける専任のデザイナーを採用するお考えはないでしょうか。
○大向正義議長 企画部長。
◎大森康弘企画部長 ターゲットとなります市民に広報チラシを手に取ってもらうことは、テレビや新聞に取り上げてもらうため、記者に取材してもらうことと相通じるものがあると考えます。今までにも、実際に取材を通して記事を書く記者を講師とする職員研修を実施しております。引き続きデザインを含めて事業の魅力を効果的に伝える職員研修を開催してまいりたいと考えております。
また、愛知県市町村振興協会研修センター主催で、自治体職員を対象とした「募集チラシの作り方研修」を本市の職員がここ数年受講しております。受講して得た知識を所属部署だけでなく、多くの職員に広げていくことが効果的であります。
現時点では、足立区のように専任のデザイナーを採用するという考えはございませんが、広報チラシ作成に携わる職員の研修機会を増やすことで、職員の技術向上を目指してまいりたいというように考えております。
以上です。
○大向正義議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私も職員のレベルアップに期待したいと思います。技術向上との御答弁でしたが、私としては、技術というよりも数をこなすことや慣れ、あるいは見やすいチラシのデザインについて関心を持って考えていただく、参考にしていただくということが、まずは先かなというように思います。
今回の参考文献を最後に御紹介したいと思います。議長の許可をいただきましたので、現物をお見せします。(参考文献を示す)
昨年、東京都足立区のシティプロモーション課で出版された本です。「住民の心をつかむ自治体チラシ仰天!ビフォーアフター」という本です。今回の質問も、この本を大いに参考にさせていただきました。この本には、足立区で取り組んできた広報チラシの改革の成果が余すところなく紹介されています。具体的な実例も抱負で、全部で50の事例からチラシの改善にどう取り組んでいけばよいか学ぶことができます。そして、その全てが広報チラシの改革に取り組んだ結果として、目に見える成果につながったという事例です。具体的にはチラシのデザインを変えたことで、区主催の事業への参加者や申込み者が何倍にも増えたという結果につながっています。これは間違いなく参考にすべき本であると私は考えております。
蒲郡市でも市民向けのすばらしい事業が毎年たくさん実施されています。しかし、その事業それ自体や、事業の中身や実績が市民に知られていないとしたら、それは非常にもったいないことであります。職員の皆さんが一生懸命企画を検討されて実施される事業です。しかも、事業を知らなかったがゆえに蒲郡市に対して悪い印象を持ってしまっている。そういう可能性すらあります。市民の皆さんに御負担いただいている税金がどのように使われているか、きちんと目に見える形にすること。きちんと市民の皆さんに伝わるという形にすることは満足度の向上、理解度の向上に大きな役割を果たすと思います。そして、それは大きな予算を使わなくても、現状の体制の範囲内で十分に実現できることです。情報発信の仕方を少し改めるだけで、一工夫するだけで大きな成果を見込むことかできると思います。ぜひ参考にしていただければと思います。今後の取組に大いに期待したいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。