◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い質問をいたします。
まず、1、水道管路の更新とAI技術の活用についてお伺いします。
古くなった水道管の更新にAIの技術を活用することができないか。AIの技術を活用することで、さらに効率的に水道管の更新を進めることができるのではないかという趣旨の提案です。
まず、蒲郡市内における水道管の管路の現状からお伺いします。水道管の法定耐用年数は40年であると思いますが、法定耐用年数を超えた管路はどのぐらいあるでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 市内の水道の管路延長約585キロメートルのうち法定耐用年数である40年を超えた管路延長は、令和2年度末の数字で約230キロメートルでございます。法定耐用年数を超えた管路の割合を示す管路経年化率は37.19%で、類似団体の平均値の2倍を超える水準となっており、今後も上昇していく見込みでございます。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、水道管の管路の更新についてですが、これはどのように進めていく計画となっているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 管路の更新の計画には、主要幹線管路計画、これは送水管及び口径200ミリ以上のものと配水管網更新事業計画、これは一般管路のものですが、この2つがあり、これらに基づき毎年度管路更新を行っております。現在は西部送水管の更新を中心に行っており、今年度末に清田配水池から形原配水池までの区間が完了する予定でございます。その後につきましても計画に沿って管路更新を行っていく予定でございます。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、水道管の管路の更新の優先順位についてお伺いします。法定耐用年数を超えた管路だけでも約230キロあるという中で、どの管路から更新を進めていくかということについて、どのように決定しているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 現在は、老朽度及び重要度で管路更新の優先順位をつけています。老朽度は布設からの経過年数、重要度は管網の中の基軸となる管路であるか、医療施設や福祉施設などの重要給水施設が沿線にあるかなどを数値化したものです。それぞれの数値の高さで管路更新の優先順位を判断しております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 続いて、水道管の老朽化がもたらす影響についてお伺いしていきたいと思います。
水道管の老朽化によって水が漏れる漏水の事故が起こりやすくなると考えられますが、まず、漏水の事故の状況と最近の傾向についてお伺いします。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 直近3年間の漏水件数を申し上げますと、令和元年度が97件、令和2年度が98件、令和3年度が125件となっております。漏水件数はやや増加傾向であると認識しております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 具体的にはどのような漏水事故が見られるでしょうか。また、原因はどのようなことが考えられるでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 主な漏水の箇所は、道路に埋設されている配水管から分岐し、宅内に向かう給水管に関わる部分で、漏水の規模としては小規模なものが多くを占めております。漏水の原因といたしましては、給水管の老朽化による接合部パッキンの劣化が主なものでございます。
大規模な漏水としては、配水管の漏水があり、断水や濁水が周辺の配水区域で生じ、周辺の住民の方に多大な御迷惑をおかけすることもございます。配水管の漏水の原因は主に老朽化による管の腐食によるものでございます。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 これまでに発生した事故のデータについてですが、これはどのように記録され、また、保管されているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 漏水のデータにつきましては、漏水修繕の完了時に作業内容を記載した業務報告書が水道工事業者から提出されます。その業務報告書を水道課職員がGIS上に記録、保存しております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 続いて、水道管の素材についてもお伺いしておきたいと思います。現在、市内で使われている水道管の素材にはどのようなものがあり、どのくらいの割合で使われているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 市内に布設されている水道管の管種は、そのほんどがダクタイル鋳鉄管で、令和2年度末で管路全体の74%を占めています。かつて50ミリ以下の小口径管路には硬質塩化ビニル管が使われていましたが、平成26年度からは耐震性能を有する水道配水用ポリエチレン管を使用しております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 鋳造された鉄製の水道管、これが鋳鉄管と呼ばれる種類であると思いますが、鋳鉄管にも様々な種類があると聞いております。素材によって法定耐用年数や寿命は異なるのでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 法定耐用年数については、法令の中にある細目で配水管とされ、管種による区分はされていませんので、どの管種でも40年となります。
経理上の法定耐用年数とは別に実際に水道管を使用できる年数については、公益財団法人水道技術研究センターや一般社団法人日本ダクタイル鉄管協会の資料などをもとにダクタイル鋳鉄管は60年、GX形ダクタイル鋳鉄管は120年程度と考えております。平成2年度からは水道管を被覆する防食工(ポリスリーブ)を採用しており、この防食工を施工した水道管は20年ほど使用できる年数が延びると考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 また、土壌についてもお伺いします。水道管が埋められている土壌、土の成分によって水道管の耐用年数や寿命に影響しているという指摘もあるようです。確かに水道管は土の中にそのまま埋められて使用されるわけですから、土壌から何らかの影響があっても不思議ではないと考えられます。この点について、どのように考えているかお伺いします。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 蒲郡市内で路線全体が土壌の影響により劣化したという事例は把握しておりませんが、配水管漏水箇所の狭い範囲においては土壌の影響を受けることがあると考えられます。先ほど述べました防食工を施工した管路では土壌の影響をほぼ受けないと認識しております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 続いて、水道業務に関する専門的知見、技術や経験、知識の継承についてお伺いします。これは蒲郡市に限らず全国でも共通する水道部門の課題であると思います。蒲郡市においては、水道業務に関する技術や知識について、職員間でどのように継承しているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 水道課においては、初めて配属された職員に対して、初期教育として経営給水担当、設備担当及び計画工事担当の職員から、水道課職員として最低限必要な項目についての研修を受けております。このことにより、学ぶ側と教える側の双方で知見が深まるものと考えております。また、外部講習を積極的に活用することにより、職員の能力向上に努めております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 水道業務は高度な専門性を必要とし、また、技術や知識も経験によって磨かれ、深められていくものと私は考えております。そこで、水道を専門とする職員を採用することについて検討してもよいのではないかと思います。お考えをお聞かせください。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 大規模な事業体であれば、独自の人事管理を実施できる部門を保有していますが、蒲郡市の水道事業の規模では、独自の人事管理部門を保有し、専門の職員を採用していくということは難しいと考えています。蒲郡市全体の職員配置の中で水道事業に必要な人材を適切に配置していきたいと考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 最後にAI技術の活用についてお伺いします。
効率的な水道管の管路の更新を進めていくため、AIによる水道管の劣化の予測を水道管の更新に当たっての優先順位づけの1つの材料として考えてはどうかという御提案です。具体的に御紹介します。
水道管に関するデータ、例えば、水道管の布設された年や水道管の種類や素材、漏水をはじめとするこれまでの事故の記録など、水道管に関するデータと水道管の劣化に関わる様々なデータ、例えば、土壌や降水量、湿度などの気象データ、また、河川や海岸線など自然環境の状況のデータ、また、地震の観測位置や震度などのデータ、人口や交通網に関するデータなど、1,000以上の要素からなるビッグデータ等を組み合わせ、AIを活用して各水道管の管路の劣化を高い精度で解析するという仕組みです。解析の結果、どの水道管がいつ頃どの程度劣化する見込みという劣化度が分かります。こうして算出された劣化度を水道管の管路の更新に当たっての優先順位づけに活用する。優先順位を決定する要素の1つとして追加してはどうかということです。より客観的にかつ正確に優先順位を判断することが可能になると考えられます。劣化度は地図上にマッピングされますので、容易に各管路の状況を把握することができます。
さらに、このAI技術の導入に当たって、水道業務に関する専門的な知見や経験に基づく知見、技術のノウハウをデータ化して追加することもできます。そうすることで従来難しかった専門的な技術の継承も可能になります。この取組は現在全国で進められており、豊田市や川崎市、兵庫県朝来市などで導入された事例があり、成果を上げています。検討の価値は非常に高いのではないかと思います。ぜひとも、このAI技術の活用、導入を検討いただけたらと思いますが、お考えをお聞かせください。
○稲吉郭哲議長 上下水道部長。
◎贄年宏上下水道部長 ただいま藤田議員からも御紹介をいただきましたが、豊田市がAIによる水道管の劣化予測診断を行っているとの情報を知り、水道課職員が豊田市の担当課職員からこの業務内容についての聞き取りを本年5月に実施いたしました。
豊田市は、令和2年度に管路更新計画に当たるストックマネジメント計画を策定した際に、口径150ミリ以上の管路更新計画における優先順位づけに客観的な指標を用いた効率的な管路更新を図るため、AIによる劣化予測診断を用いて管路の優先順位をつけ、そこに豊田市独自の「暗黙知」とする熟練職員からの勘や経験を見える化・データ化し、管路更新計画に反映させたと伺っております。
AIによる劣化予測診断については、更新計画立案の補助としての利活用が考えられ、導入コストと効果を含めて検討する必要があると考えております。劣化予測診断により選定された更新管路については、個別に職員が精査する必要がございますが、更新管路の選定業務の補助として有効であると捉えております。
AIによる劣化予測診断は、実績が増えるほどその精度が向上するため、仮に導入するならば、いつの時期がよいのかコスト等も含めて検討していきたいと考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。
私自身も豊田市やほかの自治体、事業体での取組が蒲郡市においても有効なのかどうか、いま一つ判断がつかないというのが正直なところです。特に豊田市は市域も広く山間地域も多いですし、水道管の総延長距離は3,000キロを超えていますから、様々な状況が蒲郡市とは異なっていると感じています。いろいろな自治体、事業体での事例を踏まえて、蒲郡市の水道経営にとって有効であれば、ぜひ導入をしていただきたいですし、まずは、そのための検討を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。この項目については以上です。ありがとうございました。