◆藤田裕喜委員 お願いします。病院事業会計における医業未収金についてお伺いします。主要施策の成果に関する報告書234ページ、235ページの医業未収金明細表です。まず、現年度分の未収金についてですが、合計が7億1,354万8,286円とあり、うち保険診療分が6億2,600万円余り、窓口診療分が8,660万円余りとなっています。いずれも大変大きな金額ですが、保険診療分については、単に入金の遅れがあるために、未収として計上されているという理解でよろしいか。またそのため窓口診療分の金額が実際に未払いとなっている金額であるという理解でよろしいでしょうかという点について、まずお知らせいただけますでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 病院の営業収益につきましては、大半は保険診療による収益となります。窓口で患者さん御本人にお支払いいただく分の収入と、社会保険診療報酬基金や国民健康保険団体連合会など、審査支払機関から振り込まれる収入の2種類がございます。主要政策に記載させていただいております保険診療分につきましては、審査支払基金からの入金分であり、レセプトによる保険請求後2か月遅れて入金となるため、未収金として計上されているものでございます。窓口診療分につきましては、クレジット決済ですとか、出産一時金の代理申請等の入金分につきましては、患者さんは窓口ではこれで処理は終わっておりますが、入金自体はこちらも遅れてくるというものになります。こちらの金額を除いた令和4年度末の時点で、実際に未払いとなっている金額につきましては、窓口支払い分で4,310万9,004円となっております。この未収金分につきましては、4月以降も納付がありまして、令和5年8月末時点での未収状況につきましては、415件、1,605万6,202円となっております。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 次に過年度分の未収金についてですが、こちらは1億4,748万2,119円となっており、大変大きな金額です。平成17年度の分から計上されておりますが、10年や15年も前の未収金が現在も残っているという理解でよろしいでしょうか。医療費の消滅時効は、3年または5年だと思いますが、時効が中断、更新されているために債権として残っているという理解でよろしいでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 令和2年4月1日に民法改正されておりまして、診療費の消滅時効の期間が変更されております。このため、令和2年3月31日以前に生じた債権については、旧民法が適用され3年、新民法下では5年間の時効期間となっております。診療費負担の公平性を保つために、未収にある患者さんにつきましては、当院から催告や分納などでお支払いの約束をしていただく、債務の承認をいただくことにより、時効の完成の猶予、時効の更新がされております。過去分の未収金で掲載しているものにつきましては、こうした努力を重ねた結果、今現在も徴収依頼をできる債権として残っているものでございます。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 未収金となってしまう要因についてお伺いします。どのような状況で未収金が発生してしまうのでしょうか。生活困難な方が多いのでしょうか。あるいは悪質な事例が多いのでしょうか。いくつか代表的な事例で構いませんので、ご紹介いただけますでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 未収金が発生するケースは患者さんによって様々でございます。生活困窮によってやはりお支払いが難しい方もお見えになりますし、残念ながら当院の治療方針や治療結果に御納得がいかなくて、納めていただけないというケースもあります。また中には悪意を持って、入院外来診療を受けておりますが、未払いを繰り返される患者さんもお見えになります。高額な未収金が発生するケースとして、主だったものをまた御紹介させていただきます。外国人旅行者の方、それから在日の外国人の方でも無保険であるため、診療費が実費となってしまい、こちらの方が未収となるケース。それから交通事故の示談が完了するまで、やはり双方の和解が成立せず、なかなか診療費が納まらない、そういったケースもございます。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 続いて、未収金の回収のプロセスについてお伺いします。未収金の回収については、弁護士法人に業務を委託されていると思いますが、診療料金が未納となってから、担当が弁護士法人に移行するまでの流れについて、まずお知らせいただけますでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 当院では、平成30年11月にプロポーザルを行いまして、弁護士法人一番町綜合法律事務所と未収金回収委託業務の契約をしております。4年間の長期継続を締結し、委託実績が良好であったため、債権者との回収連絡について、信頼性と継続性を担保する観点から、令和4年11月からは地方自治法施行令第167条の2、第1項第2号により随意契約をさせていただきまして、今日に至っております。診療費のほうが未納となりましても、直ちに回収委託に投げるわけではございません。
まず、当院受診中の患者さんにおかれましては、診療科の受付の職員と未収担当の職員、情報共有を徹底させていただきまして、来院時に面談による督促ですとか、納付の相談を行わさせていただいております。連絡が取れても納めていただけない方の場合には、連帯保証人さんへの連絡、そういったものも行い、納付をしていただくように努めるとともに、対応の記録を残させていただいております。弁護士法人への委託につきましては、こうした督促等を重ねましても、なかなか支払いに応じていただけない方、それから転居等によって、住所照会を我々がしても、後が追えなくなってしまった、転居先が不明となってしまった方、こういった方について、回収の委託をしているところでございます。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 次に、弁護士法人に委託している業務の範囲についてお伺いします。どのような業務を委託しているのでしょうか。また、債権回収業者ではなく、弁護士法人に委託している理由は何でしょうか。請求行為などの法律事務を含めて弁護士法人に委託しているからでしょうか。お伺いします。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 弁護士法人には電話や文書による未払金の案件の督促交渉記録と、未払金回収を委託しております。加えて、当院で転居先が追えなくなってしまった債権者の転居先の調査、それから債務者が死亡時における場合には、相続人の調査および相続人への連絡による債権回収も委託業務の内容に含まれております。
債権回収業者でなく、弁護士法人による委託とした理由ですけれども、債務者に置かれる状況というものへの配慮を含めた対応ができること、個人情報の管理がしっかりできることに加えて、未収金を回収を委託している病院への信頼、こちらの方も担保したためでございます。治療費が未払いとなる方につきましては低所得ですとか、病気が原因となって経済的変化が発生し、結果として多重債務を伴うことにより、支払いが困難になられる、こういった場合もあります。
弁護士事務所に回収委託をすることによりまして、法律の専門家による指揮のもとで、回収委託の指示をするとともに、必要な方には福祉的カウンセリング等も行いながら、納付の相談を行える体制を有していること、この2点が現在委託している弁護士法人を選択した理由の1つとなります。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 弁護士法人による回収について成果は上がっているのでしょうか。実績をお知らせいただければと思います。また、弁護士法人への委託料についてもお知らせいただけますでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 平成30年11月から委託をさせていただいております件数と委託金額、回収委託金額の累計について報告させていただきます。件数のほうについては、335名に対して、案件は1,451件。回収委託をしました金額につきましては、4,876万208円となっております。令和4年度までの回収実績になりますが、1,337万3,691円となっておりまして、このうち完済者は101名、回収率でいきますと、27.4%となっており、我々としては成果は上がっていると判断しております。弁護士事務所への委託料になっておりますが、完全成功報酬制となっておりますので、回収できるまでは、委託料は発生しません。令和4年度の回収実績、189件、160万8,071円に対しまして、委託料は税込の金額になりますが、47万3,955円支出しております状況です。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 弁護士法人によっても回収ができなかった場合についてですが、最終的にはどのような対応となるかお知らせいただけますでしょうか。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 弁護士法人による調査対応の結果、回収困難と判断された案件につきましては、病院側に戻されまして、その後、当該年度分の不納欠損に計上させていただきます。蒲郡市債権管理条例に基づいて、債権放棄の手続きを行っているところでございます。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 未収金の対策の1つとして、やはりクレジットカードなどのキャッシュレス決済を進めていくことも重要であると思いますが、未然に防ぐということも含めて、対策についてのお考えをお聞かせください。
○大場康議委員長 医事課長。
◎清水一医事課長 当院では、患者さんの利便性の向上と未収金対策を兼ねまして、令和元年10月からキャッシュレス決済のほうを導入させていただいております。今後は令和4年度に導入した診療費後払いシステムの利用率向上を図るとともに、未収金がやはり大きくなる前に、担当の職員が債務者との丁寧な相談、納付相談に応じながら、こういった取組を重ね、未収金の発生を抑えるように努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○大場康議委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 未収金の回収業務であっても、弁護士法人を通じて患者さんとコミュニケーションを図り、信頼関係を築きながら回収を進めていくという点は大変重要なポイントであると感じました。やはり市民病院も公立病院ですから、とにかく未収金を取り立てて支払いを迫るような姿勢ではなく、患者さんの状況や事情に寄り添った丁寧な対応が必要とされていると思いますし、そうでなければ、その存在意義が問われてしまうような気がいたします。その意味からも、現状は十分な対応ができているのではないかと感じました。未収金の額が減少していくことを望みたいと思いますし、そもそも未収金が発生しないような体制作りを進めていくことも望みたいと思いますが、未収金の回収に当たっては、本日ご紹介いただきました丁寧な対応をぜひ今後も継続していただくようお願いしたいと思います。
この件については以上です。ありがとうざいました。