◆藤田裕喜委員 129ページ、5款農林水産業費2項林業費1目林業振興費の3、森林整備促進事業費についてお伺いします。
まず、蒲郡市の森林政策についてお伺いします。
ここ数年、蒲郡市内でも、町なかで野生動物を見かけるという話をよく聞きます。畑を荒らして農作物に被害を生じさせる場合もあれば、そうではなく、単に住宅街や公園、道路を歩いているといった場合もあります。私の身近でも、規模は大きくありませんが、野生動物が人里に下りてきて、畑を荒らして困っているといった事例がありました。
山にいるはずの動物が人里に下りてきている理由には、様々な背景事情があるとは思いますが、その一つに、山に居場所がなくなっているということがあるのではないかと私は推測しています。すなわち、山に動物たちが食べるものがなくなっているということです。山の中で十分に生活ができないために、食料を求めて人里に下りてきているのではないでしょうか。
では、なぜ山の中で動物たちが食料を調達できなくなってしまったのか。それは、山の森林が適切に管理されておらず、動物たちの食料である木の実がなる広葉樹が少ないからではないかと思います。
森林が適切に管理されて、杉やヒノキなどの人工林ではなく、どんぐりなど木の実がなる広葉樹に植え替えていくこと、人工林を天然林にして里山を造っていくことで、動物たちが山の中で食料を調達することができるようになり、居場所をつくることができる、そうすれば野生動物たちが人里に下りてくる必要はなくなり、いわゆる獣害も減らすことができるのではないでしょうか。
今回、このような問題意識をもとに森林政策についてお伺いしていきたいと思います。
森林を造り替えていくという話ですから、だいぶ大きな話となり、また期間も長くかかる話ではあると思いますが、私としてもこれからも継続的に関わっていきたいと思いますし、まずはその第一歩を踏み出していただくという思いでお伺いしたいと思います。
では、まず市内の森林の現状についてお伺いします。
市内の森林の面積と、その内訳、人工林と天然林の内訳の面積、またその割合についてお示しいただけますでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 市内の森林の状況につきましては、平成30年度の愛知県林業統計書によりますと、森林の面積は1,724ヘクタールございます。
このうち地域森林計画対象森林は1,714ヘクタールであり、林業の施業が見込めない小面積の森林など、いわゆる地域森林計画対象外森林が10ヘクタールございます。
また、地域森林計画対象森林1,714ヘクタールのうち人工林は949ヘクタール、人工林率は55.3%となっております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 人工林には、どのような種類の木々が、どの程度植えられているのでしょうか。
また、949ヘクタールの人工林のうち、私有林で、かつ人工林であるという森林の面積はどのくらいでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 本市の人工林の樹種につきましては、主なもの、杉、ヒノキ、松類となっております。
それぞれの面積は、杉が約75ヘクタール、ヒノキが約373ヘクタール、松類が約499ヘクタールでございます。
また、私有林、かつ人工林という森林につきましては、愛知県林業統計書には示されておりませんが、林野庁の森林資源現況調査によりますと、平成29年3月31日現在で、866ヘクタールとなっております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 蒲郡市の一部は、三河湾国定公園に指定されており、開発が制限されているエリアもあるとは思いますが、具体的にはどのような状況になっているでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、本市は三河湾国定公園の中心となっておりまして、国定公園指定地域内の特別保護地区及び第一種から第三種までの特別地域の森林については、木竹の伐採につきましては県知事の許可が必要となっております。
一番厳しい本市における特別保護地区である竹島につきましては、最も厳格な管理がされており、森林整備といった部分とはなじまない部分もあると考えておりますが、その一段階下の特別地域におきましては、一般事項として地域森林計画に基づき、風致の維持を考慮した上で部分的に伐採するなど、伐採に関する基準を守っていただければ許可されることになると思われますので、国定公園だからといって伐採が一律に禁止されているというわけではないと考えております。
以上です。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 人工林については、将来的には伐採することを一つの目的として植えられているものと思いますが、 伐採についてはどのような考え方を取っているのでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 伐採につきましては、個人の所有になりますので、個々の森林所有者の方が、その植えられた目的によって伐採等を考えていかれることになりますが、例えば、人工林の伐採時期等につきましては、蒲郡市森林整備計画において平均成長量が最大となる年齢、一番効率がいいところということで基準を示しております。
杉につきましては40年、ヒノキ45年、松類40年など、樹種別に標準伐採齢というものがございます。この標準伐採齢に照らし合わせると、本市において伐採の時期を迎えていると推測される森林は、杉につきましては40年生以上が71ヘクタール、ヒノキの45年生以上が約220ヘクタール、松類の40年生以上が約498ヘクタールとなっております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 細かく御答弁いただきありがとうございました。現状について大変よく分かりました。特に、最後にお伺いしました人工林の伐採についてですが、既に人工林の面積の半分以上が、標準的な伐採の時期を迎えているということが分かりました。有効な利用の方法をそろそろ本格的に考えていく必要があるという段階にきているのではないかと思います。
続きまして、昨年に制定されました蒲郡市森林整備促進基金条例についてお伺いします。
本条例は、令和元年度から始まった森林環境譲与税を基に、森林に関する様々な事業に新たに取り組んでいくことを定めています。
まず、実施する事業についてお伺いします。本条例では、どのような事業に取り組んでいくことが定められているでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 蒲郡市森林整備促進基金条例は、昨年4月1日から施行されており、本市に譲与される森林環境譲与税を積み立て、森林の整備及び森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進、その他森林の整備の促進に要する経費の財源に充てるものとされております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 この条例によりますと、森林環境譲与税を財源に基金として積み立てるということにされていると思いますが、既に今年度から譲与税の歳入があったと思いますが、今年度はいくらの歳入があったのでしょうか。また、来年度の見込額についてもお知らせください。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 森林環境譲与税につきましては、年2回にわたって譲与されることとなっております。本年度9月に207万1,000円、3月に207万2,000円が譲与される予定となっておりますので、合計で414万3,000円が譲与される見込みとなっております。
また、令和2年度に関しましては、国が譲与額を倍増させることから、880万3,000円を見込んでおります。
なお、森林環境譲与税の財源となる森林環境税につきましては、日本国内に住所を有する個人に対して課税される国税となっておりまして、令和6年度から個人住民税と併せて一人当たり年間1,000円の均等割が課税されることとなっております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 この基金の使い道については、公表する義務があると思いますが、今年度分の使い道はどのような状況で、また公表の予定はいつ頃になっているでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 令和元年度分の森林環境譲与税の使途につきましては、全額を蒲郡市森林整備促進基金に積み立てることとしております。
また、森林環境譲与税の使途につきましては、今、御指摘がありましたとおり、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律第34条第3項で、市町村及び都道府県の長は、地方自治法第233条第3項の規定により、決算を議会の認定に付したときは、遅滞なく森林環境譲与税の使途に関する事項について、インターネットの利用、その他適切な方法により公表しなければならないとされております。
以上のことから、決算の認定に合わせて公表することとなると考えております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 今後の基金の使い道についてもお伺いします。来年度は、どのような事業に取り組む予定でしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 今後は、条例の目的に合った林業施策実施のため、基金を活用してまいりたいと考えております。
令和2年度は、国が推進する新たな森林管理システムである森林経営管理制度の円滑な実施のため、モデル地区を定めて実証研究等を進める予定をしております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 この森林環境譲与税、森林環境税については、国会での長年の議論を経て新しくつくられた税金で、森林に関連する事業にしか使うことができない、大変貴重な財源です。
ある程度まとまった金額が継続的に市の森林政策に当てられることの意義は大変大きいものと思いますので、慎重に、また適切に使っていただけるようお願いしたいと思います。私も、また折に触れて確認をさせていただきたいと思います。
続いて、新たな森林管理システム、森林経営管理制度についてお伺いします。
この制度は、森林所有者の意向に応じて、別の新たな管理者に対して森林の経営管理を委託するという制度です。
まず蒲郡市における対応の状況についてお伺いします。現在の状況はどのようになっているでしょうか。どこまで準備が進んでいるでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 森林を適切に管理することは、所有者の責務とされておりますが、一般的に森林の所有状況は、本市におきましても小規模、分散的で、長期的な林業の低迷や、所有者の世代交代等により、森林への関心が薄れ、森林管理が適正に行われないという状況が、本市だけではなく全国各地で発生しております。
また見ていただければ分かりますが、同様に、本市の林業生産は極めて零細であり、森林組合など森林事業体も存在していないという状況でございます。
現在、この対応状況といたしましては、担当者が説明会や研修会に出席したり、国及び県からの情報や他市町村の事例など、情報収集を行うなど、地道に森林経営管理制度の円滑な運用に向けて動き出しているところでございます。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 まだ準備段階ということで、了解いたしました。蒲郡市でもなかなかこれまで取り組んでこなかった分野だと思いますので、事業の実施に当たっては、十分な情報収集をはじめとして、準備に取りかかっているということで了解いたしました。
今後のスケジュールについてお伺いします。今後はどのような予定で進めていかれるのでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 新年度は、森林経営管理制度 に取り組むため、制度の円滑な運用を行うためモデル事業を予定しております。
その結果を基に、どのように森林経営管理制度を運用していくべきか、研究してまいりたいと考えております。
また、森林所有者の情報や、森林の土地情報が記載された林地台帳の整備や、森林の樹種や本数、高低差などが記録された航空レーザー測量データを愛知県から提供していただけることになっておりますので、それを分析しながら、本市の森林の状況を把握し、森林経営管理制度の運用を計画してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 御承知とは思いますが、豊橋市や豊川市では、既にモデル事業に取り組んでいるようですので、その成果も参考にしていただけるとよいのではないかと思います。
また、言うまでもなく、山や木々は所有者の財産でもありますし、一度伐採してしまったら、元に戻すには何十年という時間もかかります。所有者の方の誤解が生じないよう、ぜひ丁寧な説明と慎重な取組をお願いしたいと思います。
最後に、蒲郡市における森林政策に取り組むに当たっての課題についてお伺いします。どのような点に課題があると認識されているでしょうか。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 本市における森林政策の課題といたしましては、林業の採算性の悪化から、手入れのされていない森林が増加していることが挙げられます。
また、林業整備の担い手となる現場技術者とか、技能者が市内にいないため、市外に人材を求める必要があることが森林管理面の課題として大きいと認識しております。
以上でございます。
○青山義明委員長 藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 採算が取りにくいこと、また、そもそも人材が不足しているということで、全く私も同じように考えております。いずれも長期的な視点で考えていかなければならないと思いますので、何かいいアイデアや方法がないか、また意見交換させていただければと思います。
まとめに代えて、少し大きな視点から森林政策に取り組む必要性について、改めて確認させていただきたいと思います。特に森林政策に取り組むことで期待できる効果についてです。
林野庁のホームページによりますと、森林には多面的な機能があるとされています。生物多様性の保全や、土砂災害の防止、水源の涵養、保健休養の場の提供など、実に様々な分野に及びます。
しかしながら、森林をきちんと管理していなければ、こうした機能、役割を発揮してもらうことができません。
また、最近では、企業の健康経営と森林の役割をつなげていく考え方も提唱されています。森林サービス産業というそうで、健康づくりや働き方改革の一環として、森林を活用するだけでなく、観光のまちづくりにもつなげていこうとする取組です。
しかし、こちらも同様に、森林の管理が行き届いているということが前提で、管理されていない森林では健康づくりにも、まちづくりにもつなげることができません。
また、冒頭申し上げたような野生動物が人里に下りてこないような森づくり、野生動物の居場所になるような天然林づくりも非常に重要な課題です。
この課題を解決するためには、放置された人工林を天然林に変えていくこと、広葉樹林に変えていくことが必要です。
この点については、森林環境譲与税、森林環境税に関する法律が国会で可決された際の附帯決議によっても指摘されているところです。
しかしながら、繰り返しになりますが、人工林を天然林にしていくためには、森林全体、山全体をしっかり管理していることがやはり前提になりますので、現状のままでは何もできないということになります。
蒲郡市にとっても、市内の森林は既にある貴重な財産ではありますが、現状は残念ながらあまり管理がきちんとされていないという状況です。
しかし、これをしっかりと管理して生かしていくことで、今、申し上げたような、さらにいろいろな新しい役割を作り出すことができる、森林はそうした可能性を秘めているのではないかと思います。
蒲郡市として森林政策についてどのような可能性を感じていらっしゃるか、どのような効果を期待していらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
○青山義明委員長 農林水産課長。
◎山田浩隆農林水産課長 今、多面的機能とか、委員から御指摘のあったとおり、現在、市内の森林につきまして、十分な管理がされていると胸を張って言える状態ではないと思っております。
昨今の自然災害とか、自然環境の変化等を考えますと、適切な森林管理の事業について認識を新たにするところでございます。
これも委員がおっしゃられたとおり、森林の持つ様々な公益的な機能を維持するためには、大前提として適正な森林管理を行う必要があります。森林環境譲与税を活用し、市内外の林業に関わる人材と連携して、森林管理を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○青山義明委員長 質疑の途中ですが、質疑及び答弁の時間が20分を超えていますので、簡潔明瞭なる質疑と答弁をお願いいたします。藤田裕喜委員。
◆藤田裕喜委員 今回の森林環境譲与税によって展開されていく事業は、今後の豊かな森づくりにつながることを願いましてこの項目を終わります。ありがとうございました。