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「海岸漂着ごみ」をめぐる対策について(2019年12月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 議長にお許しをいただきましたので、通告の順に従い質問をさせていただきます。
 今回は、私たちの会派で伺いました長崎県対馬市での視察調査の内容を踏まえ、その成果を中心に質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 長崎県対馬市で伺った1つ目のテーマは、いわゆる海洋ごみについてです。
 海洋ごみと一言に言っても、その実態によって3種類に分けることができます。一つは、海を漂っている海洋漂流ごみ、もう一つは海を漂った後海岸に流れ着き、海岸に打ち上げられた海岸漂着ごみ、そして、もう一つが海底に沈んでいる海底ごみです。本日は、この中でも海岸漂着ごみ、海を漂った後に海岸に流れ着いた、海岸に打ち上げられたごみについて取り上げます。
 対馬の海岸に流れ着く海岸漂着ごみには、大変さまざまな種類があります。流木など自然のものももちろんあるのですが、最も多いものは発泡スチロールでして、全体の約4割を占めます。次いでペットボトルやポリタンクなどの空き容器、これは農薬や洗剤が入っていた容器ですが、これが25%を占めます。また、漁網やロープ、空き缶、空き瓶やガラス、食器類など、本当にいろいろな種類のごみが流れ着いてきています。私が見たものですと、ほかにビデオデッキがありました。VHSのビデオデッキです。すっかりさびついておりまして、メーカーとか製品番号は確認できるような状態ではなかったのですが、また、ある程度重さもあるものだと思うのですが、こんなものまで流れ着いてくるのかと思わされました。
 これらのごみの総量は、年間で推計2万立方メートルにも及びます。毎日のように大量のごみが海から押し寄せてくる、そんな状況でした。私たちも実際に現場にお伺いしましたが、海岸の全体を埋め尽くすように、さまざまなごみが散乱していました。到底、回収しきれる量ではありませんでした。
 日本列島と朝鮮半島の間に位置する対馬に流れ着くごみですから、大陸からのごみが多いのではないかとも思われるのですが、ごみを実際に手にとってみますと、中国や朝鮮半島から渡ってきたと思われるものも確かに多いのですが、それ以上に、日本からのごみが実際には多くありました。
 しかも、ペットボトルや空き缶の図柄を見ますと、現在では販売されていない商品や一昔前のパッケージデザインのものがほとんどでした。つまり、何年もかけて、あるいは十数年をかけて、海を漂って対馬の海岸に流れ着いてきているということがわかります。まさに、この対馬の海洋ごみの問題は世代を超えた問題であり、実は、私たち自身のライフスタイルの問題であると同時に地球規模の問題であることを実にはっきりと示していると思います。
 さらに、今回は深く立ち入りませんが、ごみの散乱した海岸で足元をよく見てみますと、大変細かな数センチから数ミリぐらいの大きさの小さなプラスチックの破片、発泡スチロールの破片が無数にありました。いわゆるマイクロプラスチックです。
 どんなにごみを拾っても、このような小さな破片までは行き届かないとのことで、こうした小さなプラスチックや発泡スチロールの破片が海へ流れ出していき、マイクロプラスチックとなってしまうということでした。まさに、その現場を目の当たりにいたしました。
 さて、この海岸漂着ごみですが、規模は大きく異なるものの、海のまち蒲郡市にも流れ着いてきております。
 まず、現状についてですが、蒲郡市の海岸に流れ着いてきている海岸漂着ごみについて、現在までの取り組みと実績についてお伺いします。蒲郡市の海岸には、どういったごみが、どのくらいの分量流れ着いてきているのでしょうか。

○伊藤勝美議長 産業環境部長。

◎贄年宏産業環境部長 海岸漂着ごみの回収につきましては、海岸漂着物処理推進法、こちらの正式名称は大変長く、美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律というものですが、こちらに基づき、国や県、市町村が連携及び役割分担をして対応しているところでございます。
 基本的には、それぞれの海岸管理者が海岸漂着ごみを含め廃棄物を回収し、海岸の環境保全を図っているところでございますが、愛知県海岸漂着物対策推進地域計画に定める重点区域におきましては、愛知県の補助を受けて市が海岸漂着物回収事業を実施し、海岸漂着ごみに対して適切に対応しております。
 海岸漂着物回収事業につきましては、市内の重点区域であります形原の袋川河口から北浜公園南側までの形原地区と、竹島園地から海陽ヨットハーバー西側までの蒲郡地区を回収範囲としまして、クリーンキャンペーン等の海岸清掃や、台風時等の緊急・臨時的な海岸漂着物の回収を行っております。
 海岸漂着物の回収実績につきましては、昨年度は形原地区で5回、蒲郡地区で12回の回収作業を行い、年間の回収量は、これは重さですが、3万5,400キログラムでございました。平成29年度の1万9,920キログラムと比較して大きく昨年は増加していますが、これは台風の上陸回数が例年より多かったためと考えております。
 海岸漂着ごみの種類といたしましては、草木や流木が大変多くを占めており、ペットボトルや空き缶、発泡スチロールなどといった家庭系ごみにつきましては余り目立たない状況でございます。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状について、大変よくわかりました。
 続いて、ごみ処理のプロセスについてお伺いしていきたいと思います。
 対馬市における海岸漂着ごみの処理のプロセスは、集められたごみを分類するというところから始まります。発泡スチロール、流木、リサイクルできるペットボトル、リサイクルできないペットボトル、廃プラスチックなど細かく分けられて、いわゆるフレコンバッグ、黒色の高さが1メートルほどの大きな袋に詰められます。
 私たちは、ごみが回収され、集められた現場にも伺いましたが、この黒い大きな袋、フレコンバッグが234袋も、ごみの種類別に分けられて置き場に整然と並べられているところに伺いました。担当の方のお話によると、週末の土曜、日曜だけで、138人の人の力でこれだけの量が集められたということでした。これだけたくさんのごみが日夜流れ着いてきているという事実に、本当に驚きを禁じ得ませんでした。
 こうして分別されたごみのうち、リサイクルできる発泡スチロールやきれいなペットボトルはリサイクルに回され、残ったものは最終処分場で処分されるということでした。
 ここでお伺いしますが、蒲郡市における海岸漂着ごみの処理のプロセスはどのようになっているでしょうか。

○伊藤勝美議長 産業環境部長。

◎贄年宏産業環境部長 本市の海岸漂着物回収事業につきましては、回収から処理までを業務委託して実施しております。
 海岸漂着ごみの大多数を占めております台風や大雨の後に海岸に流れ着く草木や流木につきましては、収集・回収から処理まで委託先の業者が行い、ペットボトル等の分別につきましても業者にお願いしているところでございます。
 また、5月と9月に530運動推進協議会の呼びかけで行われておりますクリーンキャンペーン等におきましては、春日浦海岸や竹島周辺での海岸清掃参加者が拾い集めたごみのうち、焼却ごみについては、ペットボトルも含め、まとめて市のクリーンセンターで処理しております。
 その際、クリーンセンターで処理できない流木やタイヤなどの処理困難物につきましては、委託先の業者によりまして廃棄物処理業者に引き渡され、処理が行われております。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 蒲郡市における海岸漂着ごみへの対応は、先ほどいわゆる海岸漂着物処理推進法という法律に基づいているとの話がありました。この法律の枠組みに沿った場合、補助金が出るという仕組みになっています。
 対馬市でもこの枠組みを利用しておりまして、海洋ごみ処理のための予算が3億円あるわけですが、その9割が国からの補助、1割が対馬市の負担となっております。
 蒲郡市においても同様の補助金を受けていると思いますが、この実績はどうなっているでしょうか。

○伊藤勝美議長 産業環境部長。

◎贄年宏産業環境部長 海岸漂着ごみを含む海洋ごみにつきましては、国内外を問わずさまざまな地域に由来するものが混在し、みずから発生抑制の対策を行ったといたしましても問題解決にはつながらないことから、国の海岸漂着物等地域対策推進事業により、海洋ごみに関する地域計画の策定や海洋ごみの回収処理発生抑制対策に関する事業に対しまして補助金の交付が行われております。
 補助金の対象区域につきましては、愛知県海岸漂着物対策推進地域計画において重点的な対策を講ずることが必要とされた重点区域において行われる海岸漂着物の回収処理事業が対象とされており、本市におきましては、先ほど申し上げました形原地区と蒲郡地区が対象区域となります。
 例年、この重点区域で行う海岸漂着物回収事業の経費に対しまして補助率10分の7の補助金が愛知県から交付されており、その補助金額は平成30年度は280万円でございました。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 今、御説明をいただきました、法律に基づく愛知県海岸漂着物対策推進地域計画ですが、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、蒲郡市においては、形原地区と蒲郡地区だけが補助金の対象となる重点区域として定められているという理解でよかったでしょうか。
 海から流れ着くごみが同じように多いであろうと思われる西浦地区は、補助金の対象となる重点区域から外れているということでしょうか。もしそうであるなら、それはどのような理由からでしょうか。

○伊藤勝美議長 産業環境部長。

◎贄年宏産業環境部長 ただいま藤田議員の御指摘のとおり、西浦地区は重点区域には含まれておりません。
 重点区域を指定しています愛知県海岸漂着物対策推進地域計画は平成23年8月に策定され、その際に形原地区と蒲郡地区を含む、愛知県内では10海岸が重点区域に指定されました。
 その後、重点区域への追加要望が多くあることを踏まえ、平成27年12月に計画が改定されておりますが、この改定の際に、新たに9海岸が重点区域に追加されております。
 計画の策定や改定時に西浦地区が指定されなかった理由や経緯については承知しておりませんが、重点区域につきましては、大量に海岸漂着物が集積することにより海岸における良好な景観及び環境の保全に特に支障が生じており、重点的な対策を講ずることが必要とされる地域が設定されております。
 西浦地区におきましても、重点区域の設定基準に該当するのではないかと考えております。市としましても、西浦地区は形原地区や蒲郡地区と同様に海岸の良好な景観及び環境の保全を図るため海岸漂着ごみの回収事業を進める必要のある区域であると考えておりますので、重点区域に指定されますよう愛知県へ働きかけてまいりたいと考えております。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 私も、西浦地区はこの計画における重点区域としての要件を満たしていると思いますので、ぜひ働きかけを進めるようお願いいたします。
 次に、地域の関わり方についてお伺いします。
 先ほど、ごみ処理のプロセスについてお伺いしましたが、回収、分別、リサイクル、処分という4つの段階がある中で、対馬市においては最初の2つ、回収と分別については地域のボランティアの方々や漁業の漁師の方々、また、企業などの団体から集まるボランティアの方々が担っています。あとの2つ、リサイクルと処分については、対馬市が直接担当をしています。対馬市においては、漁師の方々やボランティアの方々など、地域の人の協力があって初めてごみ処理のプロセスが回っていくという状況になっています。
 一方、蒲郡市においては、先ほど御説明いただきましたとおり、ごみの回収・分別から処分に至るまで、原則として、基本的には全てのプロセスを委託業者が担っている状況であるということでした。もっとも、クリーンキャンペーンなどの行事もあり、地元の漁師の方々や地域のボランティアの方々もごみの回収の作業の一部を担っていただいているという状況かと思います。
 この地域の関わり方について、蒲郡市の現状をお知らせいただけますでしょうか。また、対馬市においては、ごみの回収・分別の作業を、対馬市から地域の漁協に委託するという形になっております。
 このような、ごみの回収・分別を漁協に委託するという対応も一つの案ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○伊藤勝美議長 産業環境部長。

◎贄年宏産業環境部長 海岸漂着ごみへの対応につきましては、国や県、海岸管理者と連携し、また、海岸清掃参加者の協力をいただきながら対応しておりまして、市としましても、愛知県から交付される補助金により海岸漂着物回収事業を実施しているところでございます。
 しかしながら、重点区域になっていない西浦地区や、台風などが頻繁に発生し海岸漂着ごみの速やかな回収処理ができない場合などには、地域の方々や地元漁師の皆さんに清掃回収作業を行っていただくなど、市と地域が連携して対応しているという状況もございます。
 まずは、西浦地区が重点区域として指定されることで補助金の対象となり、市において速やかに回収事業が実施される状況を目指すとともに、今後につきましても、ますます海岸漂着ごみの影響が懸念されますことから、今まで以上に海岸や環境への美化意識を高めまして、地域のボランティアの皆さんや漁師の皆さんとも連携した対応ができるようにしてまいりたいと考えております。
 また、漁協への委託につきましては、御紹介をいただきました対馬市の事例などを一度確認させていただきたいと考えております。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひ、一度御検討をお願いできればと思います。
 対馬に海からのごみが大量に流れ着いているという話は以前から知ってはいたのですが、今回、現場に伺ってお話を聞いて、その規模の大きさに、膨大な量のごみに、ただただ圧倒されるばかりでした。そして、日本からのごみが対馬に流れ着いてきているということを考えますと、自分たちがその原因であるかもしれないというだけでなく、他国の海岸にも恐らく、例えば太平洋を通じてハワイやアメリカまで日本からのごみが流れ着いているという可能性も十分に考えられるわけです。軽々しく他の国を批判することなど、なかなか、決してできないなと改めて感じました。
 将来にわたって美しい地球を残していくために、また、この世界が持続可能であるためには、ポイ捨てをしないということはもちろん、ごみ自体を減らすこと、プラスチック自体を減らすことが必要不可欠なことであると再認識をさせられました。それは同時に、私自身にできることは何か、深く問い直す機会でもありました。皆さんに改めて考えていただくことをお願いしまして、この項目の質問を終えたいと思います。

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