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移住や定住を促進するための施策について(2019年12月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 続いて、移住や定住を促進するための施策についてお伺いしてまいりたいと思います。
 この質問も、私たちの会派の長崎県対馬市での視察調査に基づいております。
 現在人口3万人の対馬市ですが、昭和35年のピーク時には7万人に迫る勢いでした。当時と現在と世帯数は余り変化がないということから、対馬市では、若い世代の人口流出が特に著しいということがわかっています。実際に、高校進学の際に3割が、大学進学に関しては9割が島の外に出て行ってしまっているとのことでした。
 私も実際に行ってみて感じましたが、福岡の博多港からジェットフォイルという高速船を使っても2時間余りかかります。新幹線で気軽に東京や大阪を行き来できる蒲郡とは大分環境が違うということも実感いたしました。
 対馬の若い人たちにとっても、島を出て行くという決断、あるいは島に戻るという決断は、例えば私自身が経験したような心持ちとは恐らく大分異なっているのではないか、相当に重いものがあるのではないかと感じました。人口流出、人口減少は日本全国どこの市町村でも課題ですが、こうした観点も踏まえて考えると、特に、さらに厳しい現実を目の当たりにしたという気がいたしました。
 そこで、対馬市としましては、人口減少を食いとめることは困難だが、少しでもその減少度合いを緩和していく、現状維持を目指していくことが主眼になっています。
 具体的な施策としては、大きく2つのポイントがあります。一つは、住むところを提供すること、もう一つは経済的に支援をするということです。
 住むところの提供としては、空き家バンク制度があるほか、空き家所有者向けの空き家を改修するための補助金があります。また、お試し住居制度として、移住希望者に対して光熱費のみの負担で住宅を貸し出すという制度もあります。
 さらに、移住者が家を探す間、最大で2年間、定住支援住宅として市が住居を提供する仕組みや、移住を前提とした下見をするための交通費を補助する制度もあります。
 経済的支援については、引っ越し費用の補助や家賃補助、初期費用の補助があります。また、子育て世帯への補助、結婚して対馬に移住したカップルへの補助、奨学金の返済支援のほか、島内の企業に就職する場合の補助金もあります。年齢制限などの条件はありますが、極めて充実していると感じました。このような政策が功を奏してか、最近では年間100件近くの移住に結びついているということです。
 とりわけ特筆すべき点は、100件近くの移住された方々について、個別に聞き取り調査を行っているという点です。どのような事情で対馬に移住されてきたのか、どこから来たか、年代、どのような家族構成か、どのような職業か、また、現在はどこに住んでいるか、移住に関する情報はどこで得たかなど、かなり細かいところまで聞いています。
 このような聞き取りの結果、対馬では、IターンよりもUターンが多いこと、20代、30代が多いこと、サービス業や公務員が多いこと、単身者が半数近いこと、移住者に人気の地区があることなど、感覚ではなく数字で把握することができています。こうして把握したニーズを実際の政策にも反映させることができるので、よりターゲットを絞った政策立案ができるということです。
 私は、このような非常に充実した政策のパッケージに対して、全てを取り入れるべきとまでは言いませんが、参考にすべき点、参考にできる点がたくさんあるのではないかと感じました。
 そこで、お伺いいたします。
 まず、蒲郡市における移住や定住をめぐる現状についてお聞かせください。移住者は年間どのくらいの数があり、また、移住や定住を促進するための施策として、現状はどのような政策が展開されているか、お聞かせいただけますでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 移住者の数につきましては、転入者数でお答えをさせていただきます。
 平成30年度は1,926名、平成29年度が1,503名、平成28年度が1,435名となっております。また、転入者のうちで市の移住体験ツアーに御参加いただいた方が平成29年度に1組4名、蒲郡市三世代同居近居促進補助金を使って転入された方が本年度1組4名となっております。
 次に、現在の取り組み状況については、魅力発信、住宅支援、就職支援の3つに分けて御説明をいたします。
 魅力発信につきましては、インスタグラムによるシティプロモーションや、西三河を中心とした住宅展示場等でのPR活動、東京開催の移住フェアへの出展を行っております。また、市内で行われる市のイベントや民間のイベントを活用しPRを行っております。
 住宅支援につきましては、本年度より、蒲郡市三世代同居近居促進補助金を開始しました。三世代での暮らしによる子育てしやすい環境づくりと高齢者の見守りに加えて、Uターン促進や転出抑制といった人口対策を目的として行うものであります。また、平成28年度から実施している空き家バンクでは、空き家セミナーを関連団体との連携のもと実施するなど、登録物件の増加に取り組んでいるところであります。そのほかにも、市有地の分譲や、初期費用を抑えて住宅を建築できる定期借地権付き分譲を春日浦住宅地において行うなど、住宅の取得支援に努めております。
 最後に、就職支援につきましては、東三河広域連合や広域経済連合会等と連携し、当該地域の魅力ある企業の情報を発信する事業を実施しているほか、大学生と企業がカフェ形式で気軽にお互いを知ることのできる場として、まじカフェを近隣大学と連携し行っております。
 以上です。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状をもう少し詳しくお伺いしたいのですが、転入者の詳細については把握されていますでしょうか。
 例えば、結婚を機に転入した人が何名、就職などでUターンしてきた人が何名、あるいは親の介護などで転入してきた人が何名といった形で、転入する方々の理由や背景を統計として把握されているでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 現在、愛知県東三河総局が組織する東三河人口問題連絡会議の要請を受けて、東三河8市町村が合同で転入出のアンケートを実施しております。
 蒲郡市では、市民課の窓口において手続に来られた方に任意での御協力をお願いしております。回答者の年齢、性別、転入出する市町村名、理由などを問うもので、月に100から200件ほどの回答があり、全てではありませんが、把握をしております。
 以上です。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 この東三河人口問題連絡会議によるアンケートですが、私も内容を拝見しましたが、少し項目が大まかかなと感じました。もう少し細かくしてもよいのではないでしょうか。
 例えば、現状ですと、転入の理由に、職業上の都合、仕事の都合という項目がありますが、これだけでは、そもそも転入される方がUターンなのかIターンなのか、あるいは転勤族なのかがわかりません。定住を希望されているのかどうかもわかりません。せっかくお手間をいただいてアンケートをお願いしているのに、これではせっかくの機会が大変もったいないなと感じます。
 そこで、大体の傾向について、例えば、どのような年代が多いとか、どのような理由が多いとか、そうした大まかな傾向だけでもわかるのではないかと思うのですが、アンケートの結果わかったことについて教えていただけますでしょうか。また、このアンケートの結果の活用についてですが、どのように活用されているか、お聞かせていただけますでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 まず、アンケート項目に関する御質問につきましては、現在は東三河8市町村が統一の内容で実施しておりますので、特定の個人の事情や背景までは把握できませんが、今後、蒲郡市三世代同居近居促進補助金を利用された方に対しての事後アンケートを実施する予定ですので、その中に移住・定住に関するニーズを詳しくお聞きするような項目を設けていきたいと考えております。
 また、アンケート結果につきましては、主な傾向を御紹介させていただきます。
 男女とも、最も多い理由は職業上の理由となっております。全体の半数以上となっております。その他の理由ですと、30歳までは結婚等が多くなっており、特に女性においてその傾向が顕著であります。一方、30歳を超えますと住宅事情が増加しており、住宅購入を機に移動される方が多いと思われます。
 また、アンケート結果につきましては、情報発信の際のターゲット層の設定や、情報発信の内容の選定に活用させていただいております。
 以上です。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 アンケートについては東三河の市町村で統一された項目であるということでしたが、もう少し詳細を把握するということは、東三河のどの市町村にとってもメリットのあることだと思いますので、ぜひ、この点は問題提起だけでもお願いできればと思います。
 続いて、他の市町との差別化のポイントについてお伺いしていきます。
 対馬市も差別化についてはかなり苦心されているようで、テレビなどによく出る知名度のある有名な島や都市部により近い島にはなかなかかなわないという状況のようです。対馬市として独自性をPRできるのは島の歴史でして、古くから朝鮮半島との交流の歴史があり、昔から国境の島ですので、歴史に関心のある人が興味を持ってくれる場合が多いとのことでした。田舎での暮らしや離島での暮らし、また、海のある暮らしに興味を持ってくれる人は少なくないが、そこから対馬に絞り込んでいく、あるいは対馬を選んでいただくところがなかなか難しいようです。
 一方、蒲郡市では、どういった点でほかの市町との差別化を図っていくことを考えているのでしょうか。地区や対象者によってアピールする点を意識して変えているでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 首都圏の方を対象としたPRにおいては、東京まで2時間程度であり交通の便がよいので2拠点居住が可能であること、市内や近隣に働く場が多くある点が差別化できるポイントとなります。
 名古屋や西三河でのPRにおいては地価が比較的安価であり、かつ交通環境のよさから、現在の勤務地へも通勤が可能である点がPRポイントとなります。どちらにおいても強く訴えていることは、山と海に囲まれ自然環境に非常に恵まれた土地であること、生活環境や交通環境がよく都市としての利便性にすぐれていることであり、両面を兼ね備えている点が最も他市町と差別化が図れる点であると考えております。
 以上です。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 私も全く同感です。蒲郡市は、海と山に囲まれた大変風光明媚な土地ですし、生活も便利で、都市としての利便性にも大変すぐれていると思います。
 もう一点踏み込むとしたら、どういう人に移住してきてほしいか、移住してきてほしい対象者、ターゲットを明確にしていただくとさらによいのではないかと感じます。どういう家族構成の人たちに蒲郡というまちは特にお勧めなのか、それは子育て世帯なのか、現役を引退した世帯なのか、あるいはどういう職業、どういう仕事をしている人たちに向いているまちなのか、名古屋など都市部に通う人たちなのか、東三河など近隣で仕事をする人たちなのか、そういった皆さんの背景によって魅力を感じるポイントも違うと思いますし、アピールする内容も変わってくるのではないかと思います。
 もし、蒲郡に移住してきてもらいたいと政策的に考えているターゲット層があるならば、そのターゲット層に合わせたアピールの仕方があると思いますし、そうすることでより効果的にPRをすることができると思います。この点はぜひ御検討をいただければと思います。
 続いて、今後の展開についてお伺いします。
 まず、PRの仕方についてです。
 対馬市では、もともと空き家バンクは空き家バンクの担当者が、移住政策は移住政策の担当者が、それぞれ独立した別の部署で担当していました。しかし、これをしまぐらし応援室として、セットにして対外的にアピールするようになり、結果として移住者をふやすことができたという経緯があります。
 対馬市の移住・定住に関する施策の中身については、既に他の市町村も取り組んでいるような政策もあり、そこまで特別で目新しいものは少ないかなと思うのですが、そうした施策でも、対外的な見せ方、アピールの仕方次第で、外の人に対して充実しているように感じてもらえる、新しさを感じてもらうことができていると思います。
 蒲郡市においても、こうした打ち出し方、PRの仕方についても工夫してみる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 移住・定住に係る政策については、いいじゃん蒲郡や、情報誌「海 山 子ども がまごおり生活」であらゆる分野の政策を全般的に紹介させていただいております。今後につきましては、情報をまとめるなどより効果的なPR方法について、研究をしてまいりたいと考えております。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 今、ちょうど触れていただきました定住促進のウェブサイト、いいじゃん蒲郡ですが、1点、検討していただきたい内容があります。
 このサイトでは、蒲郡市の紹介だけでなく、移住してきた方や蒲郡にもともと住んでいる方など、さまざまな方々のエピソードが紹介されています。また、「蒲郡でくらす」という項目があり、その中に、「市の助成制度・サービス」というページがあります。
 しかし、ページを見てみますと、どういうわけか地球温暖化対策のための補助金や生ごみ処理機の補助金、雨水タンクの補助金と、少なくとも移住のための補助金ではない制度が紹介されています。
 移住して住宅を新築する際などには、確かにこれらの補助金を活用することができるのだと思いますが、このサイトを見た人は、蒲郡市には他の市町村と違って移住のための支援制度はないのだなと思うのではないでしょうか。
 例えば、このページで三世代同居近居促進補助金を紹介することで、この補助金がUターンの人も使えるということをアピールできると思います。また、国の補助金の制度を紹介することもできると思いますが、そう考えると、現在の状況は大変残念です。この点は改善していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 ただいま藤田議員から御指摘のあった点につきましては、早速この市の助成制度、サービスのページについても三世代同居近居促進補助金と移住支援金の情報を掲載させていただきました。これからも、より見やすいホームページとなるよう考えていきたいと思います。
 以上です。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 了解いたしました。早速御対応いただきまして、ありがとうございました。
 さて、この項目の最後に、新たな施策についてお伺いしていきたいと思います。
 蒲郡市の周りの市町、東三河であれば、豊橋市や豊川市、西三河であれば刈谷市や安城市などには、現在、移住を促進する独自の施策がないという状況です。
 現状の蒲郡市もこれらの自治体と大差のない状況ですが、反対に、蒲郡市が現状以上に移住を促進する施策に取り組むことは、他市町との差別化をしやすいということではないかと思います。つまり、成果につながりやすく、今後の人口増加にもつなげられるのではないかと思います。
 新たに補助金の制度をつくることや、新たな移住を促進するための施策に取り組むことについて、どうお考えでしょうか。

○伊藤勝美議長 企画部長。

◎飯島伸幸企画部長 現在、具体的に実施予定の支援策はございませんが、藤田議員からも御紹介のありました対馬市も含め、他市町村においては非常にたくさんの支援メニューが実施されておりますので、蒲郡市としましても、限られた財源の中で効果的と思われる方法を検討してまいりたいと考えております。

○伊藤勝美議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 私自身も、大学進学から地元の蒲郡を離れ、全国転勤のある会社に就職し、さらにその後、東京都内で転職をして蒲郡に戻ってきたというUターン者ですが、私にとっては、東三河でも蒲郡以外のまちに住むという選択肢はありませんでしたが、当然のことながら、他の方々には必ずしもそうではないと思います。むしろ、移住者の皆様、あるいは蒲郡を一旦出た方々から、この蒲郡市を選んでいただける、蒲郡市が選ばれるまちなのだろうかと大変不安に思っています。
 住んでみて意外に便利でよかったという声は多いのですが、住む前から、外から見て蒲郡というまちが便利で暮らしやすいとはなかなか感じていただけていないのではないかと感じております。
 まずは現状を細かく把握すること、そして差別化を意識することに、ぜひ取り組んでいただければと思います。これで、この項目の質問を終えたいと思います。

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