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スマートフォンなどのデジタル機器と子育てをめぐる課題について(2021年3月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 では、議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い一般質問をいたします。
 今回は、スマートフォンなどのデジタル機器と子育てをめぐる課題について取り上げます。
 スマートフォンなどのデジタル機器は現代の私たちの生活には欠かせないツールですが、健康上の様々なリスクがあるだけでなく、社会生活上も気をつけなければならないことが様々あります。世代を問わず、上手な付き合い方が求められていると思います。いろいろな課題がある中ですが、本日は子育てをめぐる課題に着目します。
 まず、(1)乳幼児がスマートフォンなどのデジタル機器に触れることについてお伺いします。
 私も経験がありますが、小さな子供にスマートフォンを渡して動画や写真などを見せると、子供はスマートフォンに集中してとても静かになります。騒ぐこともなくなれば、走り回ることもなくなります。どうしても済ませなければならないこと、どうしてもやらなければならないことがあるときや、電車やバスの中など、どうしても静かにしてもらわないと困るときなど、ついつい子供にスマートフォンを渡してしまう。スマートフォンで動画や写真を見せてしまう。こうした経験がある親御さんも多いのではないでしょうか。育児の負担を軽減するツールとしてスマートフォンが使われているという現状です。最近では、このような状況をスマホ育児などと呼ぶこともあるようです。
 東京大学の橋元良明教授らの2018年の報告によれば、72.4%の保護者が乳幼児にスマートフォンなどのデジタル機器を利用させているという結果があります。また、中村学園大学の桧垣淳子教授の2017年の報告においても、72%の保護者が乳幼児にスマートフォンなどのデジタル機器を使わせているという結果が出ています。いずれの調査においても、7割を超える実に多くの保護者が子供にスマートフォンなどのデジタル機器を使わせているという現状があることが分かります。
 利用時間や利用の傾向は年齢などによって様々ではあるものの、スマートフォンは生活の一部であって、もはや多くの乳幼児にとっても切り離し難いものとなっていると言えそうです。
 しかし、一方で、スマートフォンなどによる悪影響、ネガティブな影響を多くの保護者が心配しています。先ほど御紹介した橋元教授らの報告では、使い過ぎによる心身への悪影響を心配する方が65.4%、脳の発達に及ぶ影響を心配する方が49.8%、また、桧垣教授の報告では、視力の低下を心配する方が70.5%、将来の依存を心配する方が50.0%でした。多くの保護者は、日常生活の中で子供にスマートフォンなどのデジタル機器を使わせているものの、健康上の悪影響、成長・発達における悪影響を心配しているという背景が読み取れる結果であると思います。
 ここで、まずお伺いいたします。
 乳幼児がスマートフォンなどのデジタル機器に触れることについて、市ではどのような健康上のリスクがあると認識されているでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 スマートフォンが乳幼児に与える健康上のリスクについてでございますが、科学的な根拠や研究結果があるわけではございませんが、使い方によって健康や発達へも影響があると考えられております。
 例えば、長時間や近距離でのスマートフォンの使用に伴う視力低下や視力障害が考えられます。生まれてから就学までは目の発達に最も大事な時期ですので、スマートフォンの与え方にも注意が必要であると考えます。また、スマートフォンを見せっ放しにすることは、関係性が一方向になってしまうことから、愛着不足や言葉の遅れ、情緒が不安定になったり、スマートフォン依存症等、健康や発達に影響を及ぼすことも考えられます。
 スマートフォンの使い方によっては、親子関係や子供の健康への影響が考えられますので、保護者がどのようにスマートフォンを与えるかが課題であると考えます。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 健康上のリスクについて科学的な根拠や研究結果があるわけではないとの御答弁でしたが、これは因果関係を証明するような科学的な根拠や研究結果がないという理解でよろしいですかね。はい、分かりました。
 私も今回いろいろと調べてみたところ、確かに、御答弁いただきましたように直接の因果関係を証明する研究はないようです。スマートフォンなどのデジタル機器を長時間使ったために、例えば特定の因子が発生し、特定の病気が発生した、あるいは心身に特定の障害を生じたということを直接に証明する研究は確かにないようです。
 しかしながら、相関関係は認められるということがはっきりといえる研究結果は、既に多く出されています。スマートフォンと子育てと言えば、確かにいかにも現代的な課題のように聞こえますが、問題の本質は子供のメディア接触にあり、その問題の発端はテレビやビデオが普及してきた1970年代頃にまで遡ります。以来、この半世紀で数多くの研究結果が残されてきました。私自身も、テレビやビデオ、テレビゲームに小さい頃から慣れ親しんできた世代ですので、その意味では、スマートフォンと子育ての問題というのは古くて新しい問題であると言えそうです。
 ここでは、メディアと子育てをめぐる3つの研究成果を御紹介します。いずれも子供に悪影響が生じているという研究です。
 まず、発達への影響に関する研究です。日本小児科学会子どもの生活環境改善委員会の2003年の調査によると、テレビやビデオの長時間の視聴によって、子供の1歳6か月時点での言葉の出現に遅れが見られるという結果が出ています。
 言葉の出現の遅れとは、有意語といいまして、意味のある言葉という意味ですが、この意味のある言葉、有意語の出現が遅れているということです。本調査における長時間の視聴とは、4時間の以上の視聴と定義されていますが、テレビが長時間ついていると会話が減少して言語発達の遅れを招きやすいと推測されています。さらに、言語理解や社会性の遅れの傾向も見られたということです。
 また、これはアメリカでの調査ですが、ボストンメディカルセンターのジェニー・ラデッキー等による2014年の研究では、2歳児でメディアへの接触がより多い場合には自制心に何らかの問題を生じるという結果が出ています。この場合の自制心とは、感情をコントロールする力や注意力、あるいは落ち着きを意味します。メディアへの接触とはテレビやビデオの視聴時間を意味しますが、この研究においては、2時間以上の接触において自制心に問題を生じるという有意な結果が出ています。
 また、生活習慣の形成にも影響が出ているという調査もあります。倉敷市立短期大学の服部伸一教授らの2004年の研究によれば、テレビ視聴時間が長い幼児ほど寝る時間が遅く、短時間の睡眠でかつ就寝・起床のリズムが不規則で、食習慣や排便の習慣も悪く、生活リズムも安定していないという結果が出ています。一方で、テレビ視聴時間が短い幼児は寝る時間も早く、就寝・起床のリズムも規則正しく、食習慣や排便の習慣も良好であるという結果で、まさに、子供のテレビ視聴時間が生活習慣全体に関わっているということを明らかにしています。
 今、3つの研究成果を御紹介しましたが、心身への影響が見られるだけでなく、生活習慣の形成にも影響が出ているということが分かります。直接の因果関係は認められないとしても、子供とメディアの利用には明らかな悪影響がある、明らかな健康上のリスクがあるといえます。
 アメリカ小児科学会の2016年の政策提言ポリシーステートメントによると、小さな子供が過度にデジタルメディアを使うことは発達上健康上の懸念があり、デジタルメディアを使う場合も1日に1時間を超えないように制限すべきとされています。
 まさに、先ほど御答弁をいただいたように、この問題はひとえに保護者がスマートフォンなどのデジタル機器、メディアをどう利用させるかということにかかっていると私も感じています。したがって、重要なのは、保護者がスマートフォンなどのデジタル機器、メディアの使い方をどう考えているかという点です。
 そこで、(2)乳幼児の保護者への情報提供や注意喚起の現状についてお伺いします。
 保護者がスマートフォンなどのデジタル機器の利用について既に十分問題意識を持っていて気をつけていても、どうしてもスマートフォンに頼ってしまうという場合がある一方、子供にスマートフォンを与え続けることに何らの問題も感じていない場合もあると考えられます。特に後者の場合、保護者が何の問題意識も持っていない場合については、スマートフォンを通じて子供たちが何かの学びを得てくれる、新たな知識や言葉を覚えてくれる、こう期待している親もいるほどです。したがって、子育てにスマートフォンを使うことについて、そもそもどのようなリスクがあるかということについての情報提供や注意喚起も必要ですし、同時に、スマートフォンの代替策としてスマートフォンを使わない子育ての在り方に関する情報提供も必要ではないかと感じます。
 市の様々な施策の中で、どのように情報提供をしているか、また、どのように注意喚起をしているかについて、具体的にお伺いしていきたいと思います。
 まず、こんにちは赤ちゃん訪問についてです。
 こんにちは赤ちゃん訪問では、実際に家庭を訪問することで事業の紹介や子育て情報などを提供されていると思いますが、その中に、スマートフォンと子育てに関する情報は含まれているでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 こんにちは赤ちゃん訪問では、保健師やこんにちは赤ちゃん訪問員が御家庭を訪問させていただき、赤ちゃんの誕生を地域で祝い、母親の子育て不安の軽減のための相談に応じ、母子保健事業や子育て情報の紹介をするほか、赤ちゃんの発育の確認や赤ちゃんとの関わり方についても見させていただき、アドバイスさせていただいております。
 こんにちは赤ちゃん訪問の中では、ふれあい遊びの資料や絵本を配布し、スキンシップを取りながら、親の笑顔をたくさん見ることで信頼関係が育ち、赤ちゃんの脳や心を豊かにし、母子愛着形成を促す取組をしています。
 スマートフォンという言葉を使っての情報提供はございませんが、子供は親とのやり取りを通じながら親子関係が育ち、愛着が形成されていくという観点から、授乳中のスマートフォンについて保健師からお話をすることがございます。
 授乳は、母親にとっても赤ちゃんにとっても大切な時間です。母親が赤ちゃんの嬉しそうな顔を見て授乳をすることでホルモンバランスから母親は精神的にも安定し、母乳の分泌も促されます。一方、赤ちゃんも、母親の目を見ながら授乳することで精神的にも安定しますので、お互いの愛着形成が促されます。
 このようなお話をさせていただきながら、スマートフォンと子育てについて、子育てで大切なことを母親に伝え、授乳中にスマートフォンを見ている母親にはスマートフォンを見ながらの授乳は避けるよう説明しております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 授乳中のスマートフォン利用は、大変大きな問題であると思います。授乳中の時間は子供も静かにしていますし、片手を空けやすいので、空いた手でスマートフォンを持つという光景は実際非常によく見られます。先ほど御紹介した東京大学の橋元良明教授らの報告においても、授乳中のスマートフォンの利用率はゼロ歳児において突出して高いという結果が出ています。
 しかしながら、授乳中も赤ちゃんは母親の目を見ているので精神の安定や愛着の形成に重要であるという点は、あまり認識されていないのではないかと感じます。また、授乳中、多くの場合、スマートフォンを持っている場合は、赤ちゃんではなくスマートフォンに集中しているのではないかとも感じますし、あまりに気軽にスマートフォンを使ってしまっているのではないかと思われるほどです。少なくとも、子供が眠りにつくまではスマートフォンを使わないようにすることなど、ぜひ、ここは強調して御説明をお願いしたいと思います。
 次に、乳幼児健診についてです。
 健康推進課で開催している乳幼児健診では、健診を実施するだけでなく、保健師や保育士などによる講話も同時に実施されていますが、その中で、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起があるでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 1歳8か月児健診や3歳児健診時には集団の講話を実施しておりますが、その中で、生活リズム、早寝早起き朝ごはんのお話をしております。
 スマートフォンについて特化した情報提供や注意喚起を行っておりませんが、テレビやDVDの適切な見せ方や睡眠への影響については、健診で配布するリーフレットの中にも記載させていただき、情報提供と注意喚起をしております。
 また、健診時の問診や個別相談などで、必要に応じ、保健師や心理相談員などから個別にスマートフォンと子育てに関するお話をさせていただくこともございます。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 健診でリーフレットを配布しているとのことですが、ぜひ、このリーフレットなど資料の内容については、一言、講話の中で御紹介いただくことをお願いしたいと思います。御紹介いただければ、リーフレットをもらうだけで終わりにならず、持ち帰って振り返ったり、あるいは改めて確認したりすることができると思いますので、ぜひこれはお願いしたいと思います。
 続いて、健康推進課で開催している各種の子育て教室について伺います。
 1歳児教室や2歳児教室、またパパママ教室などの子育て教室では、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起があるでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 1歳児教室において、「1歳から3歳の生活リズムと睡眠」という手作りのリーフレットの中に、スマートフォンやテレビなどのメディアについての注意喚起をしております。スマートフォンなどの刺激で脳が興奮すると、眠りの質を悪くしたり、脳の発達や社会性にも影響することなどを説明し、スマートフォンなどは1日30分から1時間程度にするよう伝えています。また、1歳児教室の時の問診票において、テレビ・ビデオ・DVDなどを1日どのくらい見ているか問診票でお聞きし、個々に相談に乗っています。
 また、2歳児教室では、生活リズムの大切さや発達を促すために、親子遊びの大切さも伝えています。教室の中では、親子で遊ぶ楽しさや遊び方を知ってもらい、御家庭でも親子遊びを楽しんでいただくため、年齢に合わせた親子遊びを紹介し、一緒に体験していただいております。地域の児童館・子育て支援センターなども紹介し、スマートフォンに頼らない子育てを推奨しています。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 問診表で把握した内容に基づいての相談は、大変重要な機会であると思います。情報提供または注意喚起の非常に重要な機会になると思いますので、ぜひ、きちんと話題にしていただくようお願いしたいと思います。
 続いて、子育て世代包括支援センターでの取組についてお伺いします。
 子育て世代包括支援センターでは、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起はあるでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 子育て世代包括支援センターからのスマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起につきましては、子育てに関する幅広い相談に応じる中で、状況に応じ、保健師や助産師、臨床心理士などから、お話をさせていただいたり、アドバイスさせていただいております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 続いて、チラシについてお伺いします。
 健康推進課から保護者宛てに送る様々な手続の御案内などの発送物の中で、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起のチラシを同封して送ったことがあるでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 健康推進課から保護者宛てに送る郵送物として、これまでにスマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起のチラシをお送りしたことはございませんが、乳幼児健診の問診票の中には、スマートフォンやテレビの視聴時間に関する質問もあり、健診対象者にお送りし、生活を振り返っていただく啓発になっているのではないかと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 問診票については、事前に御記入いただくということになっていると思いますが、この問診票の項目を踏まえるのであれば、あらかじめチラシなどの資料も同封しておくことでさらに啓発の効果は高まるのではないかと思います。この点はぜひ御検討をお願いできればと思います。
 次に、児童館や子育て支援センターについてお伺いします。
 これらの施設では、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起はあるでしょうか。また、児童館や子育て支援センターでは、防災講座や絵本の読み聞かせなども実施していると思いますが、その中で、これまでにスマートフォンと子育てに関する講座を実施したことはあるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 児童館や子育て支援センターにおきましては、内閣府が中心となって作成した「スマホ時代の子育て」というチラシを掲示しております。また、一部の児童館では、啓発ポスターも掲示いたしております。
 児童館や子育て支援センターの利用者は、主に施設にある遊具などで遊ぶことを目的として来館されており、施設内でスマートフォンをお子さんに与えているケースを目にすることはありませんので、直接注意喚起などを行っていることはなく、また、これまでに子育てとスマートフォンに関する講座等を開催したことはございません。
 しかしながら、施設内で親御さん自身がスマートフォン操作に没頭し、お子さんから目を離している場合には、お子さんとしっかりと向き合って遊んでいただくよう注意を促しております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 親御さんに対しては直接の注意もしていただいているということで、了解しました。私もそういった保護者の方を見かけたことがあります。子供と遊びを促していただくということは大変重要なことであると思います。
 次に、保育園では、いかがでしょうか。保育園でスマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起はあるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 保育園におきましても、チラシの掲示をいたしております。保育士と保護者とは、日頃、子供の送迎の短い時間の中で、園児の保育園での様子を中心に話をいたしております。その中で、園児がスマートフォンに依存しているという相談はこれまでありませんが、保育士と園児のかかわりの中で、園児がスマートフォンによって睡眠不足、生活のリズムが崩れているといった兆候を察知した場合は、保護者への注意喚起を行っていきたいと考えております。
 また、保護者側から子供のスマートフォン利用についての相談があった場合は、時間を取ってしっかり対応していきたいと思います。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひ、お願いしたいと思います。
 続いて、ファミリー・サポート・センターについてお伺いします。
 ファミリー・サポート・センターの講習会や説明会において、スマートフォンと子育てについてはどのような説明をされているでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 ファミリー・サポート・センターでの講習会や説明会ではスマートフォンと子育てに焦点を当てるような説明は行っておりませんが、まかせて会員さんに対しては、安全にお子さんを預かっていただく上での注意事項を中心に説明しております。
 実情といたしましては、スマートフォンを利用した対応をされているということは聞いておりませんが、預かり時間が長い場合は、おもちゃ遊びだけではお子さんも飽きてしまうため、テレビでアニメDVDを見せていることがあることは承知いたしております。
 ただ、いずれにいたしましても、まかせて会員さんの活動報告を見ると、しっかりと会話をしたり、様子を見ていらっしゃったりするなど、お子さんとしっかりと向き合った預かりをしていただいていることが伺えます。大変ありがたく思っております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状は説明を行っていないとのことですが、重要な内容ですので、ぜひ説明にスマートフォンと子育てに関する内容を盛り込んでいただくようお願いしたいと思います。あるいは、チラシやリーフレットの配布だけでもお願いしたいと思います。
 続いて、子育て支援課から保護者宛てに送る様々な手続の御案内などの発送物についてですが、この中で、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起のチラシを同封して送ったことがあるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 子育て支援課から保護者宛てにお送りする案内物等に、スマートフォンに関する注意喚起のチラシなどを同封したということはございません。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 同封されたことがないとのことなので、今後はぜひ御検討をお願いできればと思います。
 現状の具体的な取組につきまして、様々御紹介をいただき、ありがとうございました。スマートフォンなどのデジタル機器やメディアの利用について、問題意識を持っていただいているということもよく分かりました。情報提供や注意喚起については、一言言及していただくだけでも、一言触れていただくだけでも大分伝わり方は変わると思いますので、ぜひ御検討、お取組をお願いしたいと思います。
 続いて(3)保護者からの問合せや相談の現状についてお伺いします。
 まず、健康推進課で実施している健診では、あらかじめ保護者に問診票をお送りし、記入した上で受診をしていただいていると思いますが、問診票の項目を通じてスマートフォンなどのデジタル機器やメディアの利用時間を把握することはできるでしょうか。また、把握できている状況や傾向についてもお知らせいただけますでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 1歳8か月児健診と3歳児健診の問診票の中で、「TV、動画、スマートフォン等を1日どのくらい見ていますか」と聞いています。問診の結果、2時間未満と回答したのは、1歳8か月児では51.4%、3歳児健診では50.6%。2時間から4時間未満は、1歳8か月児健診では41.6%、3歳児健診では41.2%。4時間以上と答えた方は、1歳8か月児で7%、3歳児健診では6.2%でございました。
 問診は、母子保健マニュアルにて質問項目と回答が決められており、県へ報告内容が統一しておりますので、これ以上の詳細な状況の把握ができませんが、2時間未満と答えた方の中には全く見せていないという方もお見えになります。
 愛知県との比較では、1歳8か月児健診も3歳児健診も2時間未満と答えた方の割合が蒲郡市の方が高い状況が見られております。
 傾向ということでございますが、全員ということではありませんが、長く見せている親の中には、スマートフォンを見せると子供がおとなしくなり手がかからなくなるので見せ続けてしまったり、中には、子供のあやし方や遊び方、接し方が分からないお母さんもいるように感じています。長く見ている親には、個々の状況を聞き、子供への影響やどうしたらいいかを一緒に考えています。
 スマートフォンなどの刺激で脳が興奮すると、眠りの質を悪くしたり、脳の発達や社会性にも影響することなどを説明し、スマートフォンやテレビ、ゲームなどは1日30分から1時間程度にするよう伝えております。
 以上です。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状は大変よく分かりました。お聞きする範囲では、蒲郡市においては特徴的な傾向や特徴的な状況が見られるというわけではなさそうだということも分かりました。
 御多分に漏れず、多くの子供たちがテレビやスマートフォンなどを見ていて、また、保護者の事情としても子供がおとなしくなることなど、よくある理由が挙げられているなと感じました。
 続いてお伺いします。
 子育てに関する相談の中で、今回取り上げているようなスマートフォンと子育てをめぐる悩みや困りごとに関する相談を受けたという事例はあるでしょうか。相談があった場合、どのような内容の相談だったでしょうか。

○大竹利信議長 健康推進監。

◎石黒美佳子健康推進監 健康推進課には、保護者からのスマートフォンと子育ての悩みや相談については特別多い状況ではないと感じております。乳幼児期は、スマートフォンの影響が明確な問題と気づきにくいこともあると思われますが、小中高校生になると、スマートフォンなどを長く使用していると睡眠時間が減少して生活リズムが崩れたり、学習への影響など問題が表面化してくる子もいます。
 子育て世代包括支援センターに寄せられる相談の中には、「スマートフォンを見せると泣きやみますが、見せていいですか」とか、「子供を抱きながら自分がスマートフォンを見ていると子供も楽しそうに見ています」「スマートフォンやゲームをやめることができずに昼夜逆転している」などの相談を受けることがあります。相談の内容に応じ、スマートフォン等が子供に与える影響についてお話しし、子供のあやし方や接し方、スマートフォン等との付き合い方、ルールを紹介しています。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 確かに、相談ができる親御さんいうのは、やはり一定程度スマートフォンと子育てに関する問題意識を持っていらっしゃるという方であるのだろうなと思います。一方で、スマートフォンを子供に与えることに疑問を感じないような親御さんであれば、そもそも相談しないであろうということはむしろ容易に想像ができます。また、子供にスマートフォンを与え過ぎていると自覚している場合も、相談が難しいだろうと思います。相談に来ないという人も少なくないと思われますので、相談を通じて見える現実には限界もあり、なかなかこの点は難しいなと感じます。
 先にも御紹介した東京大学の橋元良明教授らの報告には、年収や学歴によって、スマートフォンと子育てに関する問題意識や子育てにおけるスマートフォンの利用に差異があることも明らかにされています。世帯年収が高い、この場合は1,000万円以上ですが、1,000万円以上の場合には、母親自身が子供の前でスマートフォンなどを使うことにためらいを感じていること、また、学歴が高いほど子供の前でスマートフォンなどを使うことにためらいを感じているということが統計上有意に示されています。また、年収が高いほど子供をスマートフォンなどのデジタル機器に触らせていないという傾向も見られ、世帯年収1,000万円以上の乳幼児はスマートフォンに触れている率が有意に低いということも明らかになっています。行政という立場においては、こうした背景の事情も認識しておく必要があるのではないかと感じます。
 もう1点、お伺いします。
 スマートフォンの利用時間が長い子供と保護者による育児放棄や虐待のリスクには関係があるとの指摘もありますが、この点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。また、市内で把握している事例や相談などはあるでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 スマートフォンの利用時間が長い子供と保護者による育児放棄等のリスクの関係につきましては、一概に育児放棄とくくってしまうのは判断に難しいところがあると思っておりますが、子育てに対する保護者の悩みなどをしっかりと共有しながら、お子さんとしっかりと向き合うアドバイス等の対応が大切であると考えております。
 ちなみに、現在市が継続して見守りをしています育児放棄リスクのある就学前のお子さんの家庭において、スマートフォンの与え過ぎに関係した事例はございません。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現在のところ、市内で育児放棄とスマートフォンの利用について関連した事例はないとのことで、これは了解いたしました。
 先にも御紹介した東京大学の橋元良明教授らの報告では、母親の育児によるストレスとスマートフォンなどのデジタル機器の利用に相関関係があることも明らかにされています。
 ここで言う育児ストレスとは、母親が子供を産んでから自分のやりたいことがほとんどできていないと感じているとか、自分の子供は私が喜ぶことをほとんどしないといった感覚に代表されるような状況です。
 また、子供や配偶者と話す時間が少ないこと、社会的なサポートが十分に受けられておらず孤立しがちな傾向があること、さらに、他人と自分を比較しよく見られたいと感じる傾向が育児ストレスを高めていると言われています。
 育児によるストレスから、主に気分転換を図るために母親がスマートフォンなどのデジタル機器やメディアをよく使用するようになるという結果につながっています。育児ストレスへの対処として、母親のスマートフォンなどの使用頻度が上がり、結果として母親のスマートフォン依存が高まり、これに応じて子供のスマートフォン依存の傾向が高まるという悪循環につながっています。
 この研究結果を踏まえると、スマートフォンなどのデジタル機器の利用のルールを家庭内で定めるということはもちろん重要ですが、それ以上に、母親へのサポートが重要であるということも示唆されていると思います。
 御答弁いただいたように、確かに育児放棄のリスクとスマートフォンの利用を単純に結びつけて考えることは難しいと思いますが、しかし、やはりスマートフォンへの過度な依存は育児放棄につながる、母親の育児ストレスがたまっている一つのリスク要因として認識しておく必要があるのではないか。少なくとも、スマートフォンばかり触っているような保護者、あるいは子供は要注意であると考えておく必要があるのではないかと思います。
 そこで、(4)対応策における考え方についてお伺いします。
 小さな子供がスマートフォンを利用することについては様々な懸念がある一方で、スマートフォンは既に私たちの生活においては欠かせないツールであるということは間違いありません。また、市の施策においても積極的にスマートフォンを活用するよう進めてきていることも事実です。
 特に、子育てに関しては一昨年よりうーみんナビを導入しており、子育てに全くスマートフォンを使うべきではないというわけにもいかないのが現実であると思います。
 このような状況を踏まえてお伺いします。市における取組の現状についてはこれまでお伺いしてまいりましたが、このスマートフォンと子育てをめぐる課題についてはどのような考え方に基づいて対応することとしているでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 スマートフォンをはじめとするデジタル機器の利用につきましては、藤田議員も御指摘されているとおり、既に私たちの生活においては欠かせないツールであると認識しており、行政の立場で利用を制約するとか、スマートフォンを排除するということは考えておりません。
 デジタル機器の利用が悪いということではなく、子供の周りにあるものとして認識し、対応していかなければならないと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 その中で、スマートフォンと子育てをめぐって最も重要なこと、最も大事なことは何であるとお考えでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 子育てを行う上で、時間を決めて利用し、生活リズムをしっかりと守るなど、保護者自身が一定のルールを作りお子さんと接していただくことが最も重要であり、そのことについて、子育て行政の観点から情報発信を行っていくことが大切であると考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。
 では、最後に(5)今後の取組についてお伺いします。
 先にも少し触れましたが、今回取り上げているようなスマートフォンと子育てをめぐる課題は、現代的な課題ではありますが、以前にもあったようなテレビやビデオ、ゲームと類似した課題でもあります。
 ただ、最近では家にテレビやビデオがないといった御家庭も多く、これは言葉遣いの問題にはなるのですが、テレビやビデオという言い方よりもスマートフォンやDVDと言った方がより的確ではないかと感じます。
 そこで、これまでの啓発資料の中でテレビやビデオと言っていたところをスマートフォンなど現在の機器の言葉に置き換えること、あるいはまた、新たに資料を作成するということも必要ではないかと思います。まず、この点についてはいかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 啓発資料につきましては、先に御答弁いたしましたように国の資料等を活用させていただいておりますが、これまで使ってきたテレビ、ビデオ等を対象としたものにつきましても、スマートフォンやDVDなど最近の言葉に置き換えたりできないか、資料の点検と見直しを行っていきたいと考えております。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
 2点目に、日本小児科医会では啓発用のポスターを複数作成しており、公共施設向けに無料で配布されています。このポスターは、問題を指摘するだけでなく、具体的にどのように対応すべきか、保護者にも分かるように説明されています。大変有用なポスターだと思いますので、ぜひ活用すべきだと思います。この点についてはいかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 日本小児科医会や内閣府などから、普及啓発用のポスターやリーフレットが複数作成されており、内容も充実していることは認識をいたしております。先に答弁いたしました児童館に掲示しているポスターは、日本小児科医会の作成した「スマホに子守りをさせないで」というポスターを使わせていただいております。
 今後も、子育て関連施設においてこういった啓発資料を活用し、お子さんの年齢に見合った情報提供を進めてまいります。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 了解いたしました。ぜひお願いできればと思います。
 啓発用の資料に関連しまして、3点目として、市のホームページについてもお伺いしたいと思います。
 現在、市のホームページには、このスマートフォンと子育てをめぐる問題については特に記載がありません。しかし、今回取り上げたような内容について、特に保護者向けの情報提供や注意喚起の記事を掲載することについて検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 ホームページからの情報提供ということでございますが、今後は、スマートフォンなどデジタル機器の与える健康への影響や使い方、親子のふれあいの大切さなど、スマートフォンと子育てに関する情報提供や注意喚起についてホームページにおいてもお伝えしていきたいと思います。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 こちらも、ぜひお願いしたいと思います。
 実際には、既に各地の自治体が、スマートフォン時代の子育てについてとか、乳幼児期のスマートフォン利用は適切にといったタイトルでページを作成しており、今回取り上げたようないろいろな論点、懸念点について解説をしています。
 御答弁でも御紹介いただいた内閣府のチラシや、先ほど御紹介した日本小児科医会のポスターを紹介している自治体もありました。ぜひ参考にしていただき、蒲郡市でもページを作成いただくようお願いしたいと思います。
 4点目として、子育て世代にだけでなく、より多くの方にこの問題について関心を持ってもらう必要があると思います。
 例えば、広報がまごおりの特集やコラムで取り上げることや、子育て世代以外にも伝わるような手段で、このスマートフォンと子育てをめぐる問題について周知していくことを検討してはいかがでしょうか。

○大竹利信議長 市民福祉部長。

◎岡田隆志市民福祉部長 子育て世代以外に関心を持っていただくことも必要だと考えております。
 外出先で子供が泣いてしまって周囲に迷惑がかかるからという思いで、スマートフォンを渡して静かにさせておく「子守りスマホ」が見られます。これは、周囲の方に対する保護者の方の配慮と考えられますが、子育ては親だけでなく、地域で支えあい、赤ちゃんや子供を温かく見守ってくれるような地域づくりの推進も重要だと思います。子育て世代以外の人にも伝えられるよう、広報など機会を捉えて周知するようにしてまいりたいと思います。

○大竹利信議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
 まとめに代えまして、2013年に日本小児科医会から発表された提言を御紹介したいと思います。
 乳幼児とスマートフォンをめぐる問題について、5つの提言が発表されています。
 ①2歳までは、テレビ、DVDの視聴を控えましょう。
 ②授乳中、食事中のテレビ、DVDの視聴はやめましょう。
 ③全てのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安と考えます。
 ④子ども部屋にはテレビ、DVDプレーヤー、パーソナルコンピューターを置かないようにしましょう。
 ⑤保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。
 先ほど御紹介した、「スマホに子守りをさせないで」というリーフレットやポスターにも掲載されており、大変分かりやすい提言であると思います。
 私も、今回いろいろな文献を読んで調べてみましたが、一番強く感じたのは、実は温度差でありました。それは、例えば医師や研究者と現場の保育士との温度差であり、あるいはそれは私自身と医師や研究者との温度差でもあり、また、行政との温度差でもあると思うのですが、文献や資料を読み進める中で、現場の医師や研究者によっては、2歳まではどんなことがあってもスマートフォンなどのメディアに触れさせるべきではない、乳幼児がスマートフォンを使うことなどあり得ない、乳幼児がスマートフォンを使っていいことは1つもないとまでの意見が強く主張されています。
 しかし、一方で、子育ての現場とも言える行政や保育士、また私などの観点では、スマートフォンは上手に使うことが重要である、子供と保護者のルールづくりが大事であるという考え方が結論になってしまっています。ここまでの温度差があるという現状です。
 今日、何度も引用させていただいた東京大学の橋元良明教授らの報告を踏まえると、72.4%の保護者はどうしても子供にスマートフォンを持たせてしまっていますが、しかし一方で、残りの27.6%の保護者は子供に全くスマートフォンを持たせていない、使わせていないということが分かります。また、先ほど御答弁もいただきましたように、蒲郡市においても、詳細な数は分からないものの、スマートフォンを全く使わないという方はいらっしゃるということも分かりました。
 少なくとも、私の身の回りでは見られないのと、私もスマートフォンを使わない子育てなんて可能なのだろうかとも思ってしまうぐらいですが、事実として子育てにスマートフォンを全く使わないという人たちが一定数いるということを踏まえるのであれば、乳幼児にスマートフォンなどあり得ないという医師や研究者の主張を、現実を知らない意見だとして切り捨てることなどはできないのではないかと感じます。
 すなわち、スマートフォンを上手に使う、ルールづくりが大事といった話は、結局、落としどころを見つけましょうといったような話にも思えるのです。しかし、果たしてこの問題についてそれでいいのかどうか、結論としてそれが正しいのかどうか、改めて考える必要があるのではないかと思います。
 特に、最初のほうでこれも御紹介しましたが、スマートフォンなどのデジタル機器による健康上のリスクや悪影響は、もはや明らかです。発達にも生活習慣にも明らかに悪い影響がある。それが明確に分かっている中で、落としどころを探るような提案は、少なくとも子育て行政という立場からは正しいとは言えないのではないか。
 確かに、現実は難しい。スマートフォンは私たちの生活とは確かに切り離せないけれども、しかし、やはりそうとは分かりつつも、行政として、ここは原則論にこだわるべきではないかと思います。
 恐らく、私を含めて多くの人が、先ほど御紹介した小児科医会の5つの提言ですら既に守れていない。特に、①の2歳まで視聴を控えること、②の授乳中、食事中の視聴はやめるなどは、私にとっても最もハードルが高いと思うのですが、これはお医者さんが建前を言っていることだからといって守らなくてよいものであるのかどうか、改めて考える必要があると思います。
 育児ストレスにさいなまれる保護者にとって、スマートフォンを与えてはならないという主張は現状を全く分かっていない建前であって、教条主義以外の何者でもないようにしか感じられないかもしれません。確かにそれは正しいかもしれないが、そんなことできるわけがないという悲鳴を聞きながらも、しかし、行政という立場から、子供の将来を見据えて、子供たちにとって何が最善であるのか、きちんと行政がこだわっていくべきではないでしょうか。行政がこだわらなければ、ほかに誰がこだわっていくのでしょうか。
 落としどころを探るような提案で、本当に正しいのか。むしろ、行政だからこそ、小さな子供にはスマートフォンを絶対に使わせてはいけないと言えるのではないか。その決意が問われていると思います。
 家族の在り方やメディアの在り方が時代を追うごとに変化していく中で、目の前にいる子供に対してどう向き合っていくのか、スマートフォンによらずどう向き合っていくのか、地域による子育てという観点も踏まえるのであれば、誰もが避けて通れない課題であると思います。
 私自身も身近な努力を地道に続けていきたいと思いますし、皆様にも改めて御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

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