◆藤田裕喜議員 それでは、次に、障害者優先調達推進法に関する取組についてお伺いします。
障害者優先調達推進法は、正式名称を「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」と言いますが、平成25年、2013年に施行された法律で、国や県、市などが依頼する物品や仕事を障害者の就労施設に優先的・積極的に発注することで、障害者の経済的な自立を推し進めていくことを目的としています。アファーマティブ・アクションの考え方、積極的差別是正措置の考え方に基づく法律です。
私自身も、いわゆる障害者の就労施設で勤務していた経験がありますので、事業所経営の厳しさや難しさについては、実感、実体験を踏まえてよく理解しているつもりです。そもそも、日々の施設運営で手一杯な中、障害者の事業所ではない民間事業者との競争にさらされながら営業活動を展開していくことは大変な苦労がありました。
当時はまだ障害者優先調達推進法が制定されたばかりの頃で、自治体における指針というものがまだ定められておらず、これから障害者の施設からの調達を拡大していこう、これから着手していこう、これから取組を始めていこうという段階でした。法律の制定から8年余りが経過し、自治体における指針の制定もおおむね完了し、制度としても大分定着してきたのではないか、仕組みや環境も整ってきたのではないかと感じていますが、蒲郡市の現状はどうなっているでしょうか。お伺いしたいと思います。
まず、蒲郡市の障害者優先調達推進方針についてです。
障害者優先調達推進法においては、調達方針を策定し、調達の実績を毎年度公表することとなっており、蒲郡市においても方針を策定しています。まずは、その趣旨や内容についてお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 まず、趣旨につきましては、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する法律」の規定に基づき、本市において障害者就労施設等からの物品または役務の調達を推進するための方針を策定することを趣旨といたしております。
市に属する全組織に対して適用するもので、健康福祉部長を委員長とした優先調達推進委員会を庁内に設置して、計画的な発注につながるよう調達目標額を設定しております。
障害者就労施設等からの物品等の優先調達を全庁的に推進することを目的としており、市の次年度予算要求に当たり、物品等の調達を積極的に活用するように各課へ周知依頼をしており、年度の終了後には調達実績を取りまとめてホームページで公表しております。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 毎年の調達目標額についてですが、この制度が始まった平成25年、2013年においては、物品購入で112万円、役務の提供で23万円でしたが、徐々に拡大をしていただいており、令和元年、2019年においては、物品購入で243万円、役務の提供で40万円が目標とされています。年によって多少の増減はありますが、当初と比較して約2倍に達するような規模です。
実績については、平成25年、2013年の当初は、物品購入で150万円、役務の提供で24万円でしたが、令和元年、2019年では、物品購入が163万円、役務の提供が45万円と広げていただいています。年によっては目標を大きく上回る実績となったときもありました。
まず、目標額についてお伺いしたいのですが、各年度における目標額はどのような根拠で設定されているのでしょうか。また、毎年必ずこのくらいの金額を確保しなければならないといった目標額の目安や基準のようなものがあるかどうか、お知らせいただければと思います。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 毎年、優先調達推進委員会において、前年度の調達実績や当該年度の調達予定を勘案して、計画的な発注となるように目標額を設定しております。目標額の基準等は特に設けてございません。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、実績についてお伺いしたいのですが、調達している物品の内容、また、発注している役務の内容について、具体的にどのようなものがあるか、それぞれお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 令和2年度の実績でございますが、物品は食料品でアンパンマンチョコ、焼き菓子、小物雑貨でベンチの発注がございました。役務につきましては、草刈り等の清掃業務や調査業務の発注がございました。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 過年度の実績を拝見しますと、毎年安定して必ず発注があるのが食料品、飲料品と清掃業務ぐらいで、例えば小物雑貨や印刷業務については、年によって発注があったりなかったりという状況でした。また、調達内容についても、例えば事務用品の発注は一度もありませんし、テープ起こしなどの情報処理についても発注は一度もありません。
このように調達内容が限られている理由、また、毎年の発注内容にばらつきがある理由をそれぞれお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 発注につきましては、各課の実施事業や業務に関連した物品や役務の発注となりますので、例年同じような発注内容となっております。また、当該年度のみに必要な需要となれば、その年度のみの発注となるため、発注内容には多少のばらつきが見られます。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、庁内での対応についてお伺いします。
蒲郡市の障害者優先調達推進方針によれば、優先調達を全庁的に推進することが掲げられています。そこでまず、どのような流れ、どのようなプロセスで市内の各部署が障害者の事業所に物品の購入や役務の提供を発注することになっているかお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 発注の流れにつきましては、各部署において必要な物品または役務に対して、直接、障害者就労支援就労施設等に連絡を取った上で、調達もしくは発注内容や金額、請負期間等を確認・調整して契約しております。
なお、福祉課前のスペースには、市内の障害者就労施設等の商品見本が置いてございます。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 具体的に、どのような部署のどのような物品・業務が発注されているのでしょうか。また、実際に全庁的に推進されているでしょうか。特定の部署や特定の業務に発注が偏っていないでしょうか。お伺いします。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 令和2年度の実績で申し上げますと、まず、物品では、都市計画課がベンチを、ボートレース事業部の経営企画課が来賓用菓子を、子育て支援課がアンパンマンチョコほかを発注いたしております。
役務につきましては、福祉課、農林水産課、都市計画課、財務課、子育て支援課、健康推進課、生涯学習課が清掃・草刈業務を発注いたしております。また、観光商工課が国勢調査における調査業務を、看護専門学校が臨地実習指導業務を発注いたしております。
各部署の依頼したい内容と、請け負う障害者就労施設等の需要と供給のマッチングが固定化されており、例年ほぼ同じ部署からの発注となっております。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 事業所に対する情報提供の現状についてお伺いしたいのですが、事業者向けにはどのように情報提供をされているでしょうか。
厚生労働省のホームページには、発注が可能な物品についてリスト化して事業者に情報を提供しているという事例が紹介されています。このような情報提供を行っているでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 現状では、そういった情報提供は行っておりません。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ここは、ぜひ御検討頂きたいと思います。
また、事業所への発注に当たっての配慮についてお伺いしたいのですが、障害者の事業所に対しては何か特別な配慮や工夫があるでしょうか。
厚生労働省のホームページには、例えば、樹木管理業務について樹木管理として一括して発注するのではなく、剪定と除草を分けて発注することで除草の業務のみ障害者の事業所に受注していただくことができたという事例が紹介されています。
障害者の事業所では、業務を細分化することを仕事の切り出しと言いますが、これは、業務の全体を見直して誰に何をやってもらうか細かく検討していくという非常に重要な作業です。そうしないと仕事自体が増やせないからです。
発注する側も、障害者の事業所に発注できる部分を探すという配慮がないとなかなか受注していただけないという状況もあるのではないかと思います。また、併せて、契約から納期までの期間を十分に取るということも重要な配慮です。現状はどのような対応になっているでしょうか。工夫する余地もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 現状では、業務を分けて発注することはしておりません。
納期につきましては、事前に業務内容や請負期間を各部署と障害者就労施設等で相談して、無理のない範囲で契約をいたしております。
業務を分けて発注することにつきましては、各部署が一括して発注しなくても可能な業務かどうか、また工夫していく余地があるのかどうか、他市の状況など情報収集をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 続いて、調達先の事業所についてお伺いしたいのですが、市の障害者優先調達推進指針によれば、可能な限り市内の障害者就労施設等から調達するとありますが、実際にはどのような状況でしょうか。どのような施設から調達されているでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 調達先につきましては、現在は全て市内の生活介護や就労継続支援B型事業所からとなっております。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 市内の事業所から調達をするということも確かに非常に重要なことですが、一方で、障害者の施設からの調達、それ自体を増やしていくということも同時に非常に重要であると思います。
現状は市内の事業所から調達することが重視されているように感じられますが、蒲郡市民であっても市外の施設に通っていらっしゃる方もいると思います。障害者の就労施設であれば、市外の施設から調達することを検討してもよいと思いますが、いかがでしょうか。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 蒲郡市障害者優先調達推進方針においては、可能な限り市内の障害者就労施設等から調達するものとするとしております。
まずは障害のある市民への支援をしていくことが第一義と考えておりますが、御質問のとおり、市外の施設を利用されている方も見えますし、広く障害のある方の経済的な自立を応援するという観点から制度について考えることも必要であると感じます。
今後は、他市の調達実績の状況等を踏まえながら、市外の障害者就労施設等の調達につきましても研究してまいりたいと思います。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひお願いしたいと思います。
また、愛知県では、県内の障害者の事業所による共同受注窓口を紹介しています。共同受注窓口はワンストップ対応の窓口なので、発注側の都合や要望に合わせて調達をすることができます。また、複数の事業所が参加していますので、多様なニーズに応えることができますし、1つの事業所では難しいような大口の注文についても受けていただくことが可能です。
蒲郡市では、現状、共同受注窓口を活用していませんが、障害者の事業所からの調達を拡大していくためにも活用を検討してみてはいかがでしょうか。お伺いします。
○青山義明副議長 健康福祉部長。
◎岡田隆志健康福祉部長 御提案いただきました共同受注窓口の活用につきましても、全庁的に障害者就労施設等への物品や役務の調達を拡大するために、他市の活用状況等も情報収集しながら研究をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○青山義明副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 こちらもぜひお願いしたいと思います。
蒲郡市として、この障害者優先調達推進法を活用していただいているということは大変素晴らしいことだとは思いますが、ぜひ、もうひと工夫、さらに調達を拡大していただくための配慮と御検討をお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。