◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い一般質問をいたします。
まず、1番の森林空間の活用の(1)森林空間の活用と森林サービス産業についてお伺いします。
森林空間という用語は、山や森など森林が存在する場を指す言葉です。蒲郡市で言えば砥神山や御堂山、五井山、遠望峰山、三ヶ根山の山だけでなく、さがらの森など規模の大小にかかわらず森や林があるところが該当します。
蒲郡が海と山に囲まれたまちであることは誰もが知るところですが、海に比べて山は多くの市民にとって身近な存在とは言い難いのではないかという点が、今回の質問の出発点です。
例えば、蒲郡市内でも、海に関係するイベントは季節にかかわらず毎月のように開催されていますが、山に関係するイベントは季節も限られ、年に数回しか開催されておりません。蒲郡にも豊かな森、豊かな山の自然があるにもかかわらず、そして普段の生活の中でも毎日のように山と森を目にする機会があるにもかかわらず、行く機会もなければ遊ぶ機会もないため、今一つ身近には感じられていないのではないか。身近ではないから魅力を感じることもないし、行ってみたい、遊びたい、利用したい、活用したいと考えることもなくなってしまっているのではないかと感じます。そして、その原因は山や森を利用できる、活用できる環境が整っていないことにあるのではないかというのが今回の問題意識です。
山や森を活用できる環境や体制を整えることで、市民の皆さんにも山や森へ遊びに行くことも選択肢の1つとして考えてもらうことができるようになるのではないかと考えています。
従来、森林の活用、森林資源の活用と言えば木材の生産を指していましたが、今日に至っては森林の価値は木材の生産にとどまらず、多くの分野にわたる多様な活用の仕方がございます。森林が有する価値を様々な分野とつなげていくということです。具体的には健康づくりや医療、福祉、子供たちへの教育だけでなく、大人に対する教養・教育、そして観光など多様な分野を森林資源、森林空間とつなげていくことができます。
さらに子供から大人まで、一人一人それぞれのライフステージに合わせて、仕事にも余暇にも森林空間という場を活用できるようにしていく。そうすることで、ひいては新たな産業づくりにまでつなげていこうという流れが生まれつつあります。こうしてつくり出される新しい産業を森林サービス産業と呼んでいます。林野庁から提案されている施策で、地方創生にも資する施策として、今大変注目されております。蒲郡にも豊かな森林資源がありますが、残念ながら、その森林の多くの部分は未利用の資源であると言えると思います。蒲郡市の山や森を多様な価値を提供できる場として、市民の皆さんだけでなく、市外からいらっしゃる皆さんにも御活用いただくことができるのではないか、また、そうすべきではないかと考え、今回質問いたします。
まずは、このような森林サービス産業に対して市としてどのように考えているか。蒲郡市でも森林空間を活用すること、森林サービス産業に関する施策について取り組んでいくことができるか御所見をお伺いします。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 一般的に、これまでも森林空間は、森林環境教育の場、アウトドアスポーツのレクリエーションの場、森林浴などの保健・休養の場として利用されてきました。近年では、人々の生活スタイルや志向が変化し、企業経営や生き方の価値観、ライフスタイルの大きな転換の動きが見られる中、森林空間を積極的に活用したいという期待が高まり、そのニーズは多様化してきています。
このような状況の中、林野庁においては、森林サービス産業の創出・推進に向けた取組が展開されてきており、全国各地の森林サービス産業モデル地域等で実施された様々な取組事例の積み上げが行われているものと認識しております。
本市では、蒲郡市森林整備計画において、「森林の保健・レクリエーション機能の観点から、身近な自然や自然とのふれあいの場として適切に管理され、多様な樹種等からなり、住民等に憩いと学びの場を提供している森林であって、必要に応じて保健・教育活動に適した施設が整備されている森林」を本市の目指すべき森林資源の姿としております。
今後の森林空間の活用等に当たりましては、全国の取組事例など参考に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 この森林サービス産業に取り組んでいくことは、市の森林整備計画にも十分に適合しているということが分かりました。それでは、それぞれの分野において、どのような可能性があるかお伺いしていきたいと思います。
まず、健康づくりの分野における森林空間の活用についてお伺いします。森林と健康と言えば森林浴や森林セラピーという言葉が想起されます。森の中を散策することで心が落ち着いたとか、気分がリフレッシュされたとか、そうした経験を持っている方も多いのではないでしょうか。こうした効果については、科学的にもエビデンスが集まりつつあるようです。森林浴の効果について、どのような健康上のよい影響があるでしょうか、お考えをお聞かせください。
○柴田安彦副議長 健康推進監。
◎石黒美佳子健康推進監 森林浴とは、樹木に接することで心身への癒やしを求める行為のことで、1980年代に日本で誕生し、自然の中で誰でも気軽にできる健康的な過ごし方として多くの方が楽しんでおります。
健康上のよい影響についてでございますが、多くの研究や科学的根拠も示されており、森林に入って空気を呼吸し、自然の香りを浴びて過ごすことにより、交感神経活動を抑制し、副交感神経活動を活発にすることから、精神的にリラックスできたり、また鮮やかな新緑を見ながら目を休ませ、疲労回復、血圧を安定させたり、免疫力を高めるなど様々な効果があると言われております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私が調べた範囲でも、森林浴がストレスを減少させることや免疫力を高めること、森林散策の習慣がメンタルヘルスの向上によい影響を与えることなどについては、既に科学的なエビデンスがあり、学術的にも根拠を示すことができるようになっているということです。市民の健康づくりを一層進めていくためにも、森林を活用することは意義もあり、効果も高いと言えそうです。
健康推進課では、これまでにもウォーキングを通じた健康づくりの施策に取り組んでいただいていると思います。具体的には市内に3つの健康の道のコースが設定されていますが、このうち、あさやけコースについては、砥神山への登山も含んでおり、砥神山の豊かな森の中を歩くというコースになっています。この健康の道とあさやけコースについて、どのような経緯・趣旨で設置されたのかお伺いします。また、現在までの整備状況についてもお知らせいただければと思います。
○柴田安彦副議長 健康推進監。
◎石黒美佳子健康推進監 健康の道は、平成6年度に設置された道で、あさやけ・ゆうやけ・しおかぜの3つのコースがございます。市民の皆様が身近な場所で楽しく、安全にウォーキングで健康づくりをしていただくよう、職員や関係者、市民が下見をして実際に歩いてコースを決定し、これまで健康づくりの教室やイベントなどで活用してまいりました。
あさやけコースは、JR三河三谷駅をスタート地点とし、砥神山の登山道を登り、さがらの森を中継点に、JR三河大塚駅に抜ける全長7,400メートルのアップダウンのあるコースで、自然を感じながら心身をリフレッシュできる、3つのコースの中でも強度の高いコースとなっております。
あさやけコースの整備の状況につきましては、設置時に、コースのスタート地点等に全体の説明用の看板や、コースを外れないための路面標示や道しるべの案内看板を設置いたしました。その後、道しるべの案内看板が老朽化したため、平成18年度と平成23年度に、ボランティアさんの御協力等でリニューアルをして付け替えておりますが、それ以降の整備はされていないのが現状でございます。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 あさやけコースについては私も何度も歩きましたが、コースの大部分は自然の中を歩くので、十二分に蒲郡の自然を体感できることができる本当にすばらしいコースだと思います。看板については確かに古くなっているところもありますが、必要なところも必要な案内があるとはいえ、後ほども触れますが、ほかの市内の登山道と比べると申し分ないほど充実しているということができると思います。森林散策や登山には案内看板が欠かせず、スタート地点での全体図だけでなく、曲がるところや間違えそうなところには道しるべの案内看板を立てる必要があります。そうすることで初めての人でも森林散策や登山を楽しめるようにすることができ、登山愛好家の方たちだけでなく、より多くの人が森林散策や登山をできるようになります。あさやけコースについては、私はそうした環境が整っていると感じています。
健康づくりについて、もう一つ重要な点は、蒲郡市でも進めている企業の健康経営と連携していくということです。森林空間を活用した健康経営についても近年注目されており、社員の方々のメンタルヘルスの向上だけでなく、社員研修の場として、あるいはテレワークで働く場として森林空間が活用されています。様々な業種の企業による取組事例が既にございます。健康経営の1つの手段として森林空間を活用すること、森林散策や森林浴、登山を活用することについても紹介し、取り入れていただきたい。そうして広げていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○柴田安彦副議長 健康推進監。
◎石黒美佳子健康推進監 健康経営の支援といたしましては、平成28年度から、全国健康保険協会愛知支部と連携協定を締結し、蒲郡商工会議所やアクサ生命とも連携して、市内企業の健康宣言の推進や企業で取り組める健康づくり事業の情報提供を行っております。健康経営自体は、企業自らが行うことですので、経営者の方の御理解が必要となってまいりますが、市といたしましては、例えば、健康宣言のメニューに、あさやけコースを追加し、自然に触れた森林浴効果による従業員の健康増進や、自然を活用した柔軟な働き方を周知、提案できたらと考えております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひお願いできればと思います。ぜひ多くの企業の皆さんにも、森林空間の活用を健康経営の1つの手段として取り入れていただきたいですし、具体的な取組策として、あさやけコースを歩くという提案をすることも十分に可能だと思います。ぜひ御提案をお願いしたいと思います。森林と健康づくりを巡る現状については大変よく分かりました。
次は、教育分野についてお伺いしていきたいと思います。教育の中で森林空間を活用することは、自然との触れ合いだけでなく、植物や生き物の観察、地域の産業を学ぶ機会、また山や川の役割を学ぶ場として、様々な学びの機会を提供することにつながると考えられます。それは体験を通じた学び、体験が基礎となる学びであって、学校の教室の中で学ぶこととは、また違った学びを提供することができる機会であると考えます。
体験を通じた学びの重要性については、慶応義塾大学環境情報学部の安宅和人教授の「知性の核心は知覚にある」という論文の中で詳しく述べられています。ごく簡潔に要約しますと、「人間の思考能力である知性の核心と言うべき最も大事なところは、入ってきた情報の意味をいかに理解できるかという点にある。すなわち、ある対象について言葉で説明できるだけでなく、実感を持ってその意味を理解できることであり、これを知覚という。知覚は経験から生まれ、経験して意味を理解していなければ知覚は生まれない。知覚を向上させるためには実際の実行過程で直接的な経験をすること。人からの伝聞ではなく、自分自身の観察を通じて得られる経験をすることが特に重要である。できるだけ多くの経験を積み、様々なことを直接感じて考え抜く経験を幅広く持つべきで、それが今後の経験の質を高め、自分なりの価値創造の力を深めていくことにつながっていく。そして、そのための気づく力を高めていくことが重要である。気づきとは、自分の中にある何らかの知識や理解が異なる何かとつながることで、その積み重ねこそがその人の本当の力になる。生の体験、苦労を通じ、自分なりの気づきを促し、気づく力そのものを育成していくような人材に脱皮させていく必要がある」という内容です。
人間の思考における最も大事な知覚を向上させるためには、自ら直接感じる経験をすることが重要で、そのためには気づく力を高めていくことが必要であるということです。
蒲郡市の学校においても、子供たちが自ら経験をすること、体験をする活動が重視され、教科での学習はもちろん宿泊を伴う学校行事などにおいても積極的に取り組まれていると思います。山や森など自然と触れ合う体験活動の教育的意義についてどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
○柴田安彦副議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 豊かな人間性、自ら学び、自ら考える力など、児童生徒の生きる力の基礎を育てる1つの要素として様々な体験学習があります。体験学習は、児童生徒が五感を働かせて対象と関わり、様々な気付きや疑問が生まれる重要な学習活動です。中でも、山や森など自然と触れ合う体験活動は、児童生徒の実態や生活経験とも結びつけやすく、教科学習はもちろん学校行事でも積極的に位置づけられ、児童生徒の学びを豊かにしております。
以上でございます。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。まさに先ほど御紹介した気づく力を生み出し、高めていく機会として体験活動が重要視されていると理解しました。これからの時代を生きていく子供たちにとって、非常に重要な教育的意義があると私も感じております。
では、具体的に小中学校の年間計画において、どのような体験活動の機会があるのかお伺いします。
○柴田安彦副議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 教科学習では、生活科や理科の学習におきまして、様々な体験学習が位置づけられています。山や森と関わる活動では、生活科「春を探そう」「秋を探そう」の学習では、校内だけでなく、近くの緑豊かな公園や森に出かけて学習しております。理科の例えば、「食物連鎖」の学習では、落ち葉や枯れ木が土になる仕組みについて、フィールドワークを通して生き物の存在に気づかせていく学習を行っています。
学校行事では、小学校5年生と中学2年生で、それぞれ校外学習や自然教室が計画されています。計画の中に、オリエンテーリングや登山が組み込まれ、山や自然に親しむ活動が行われております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私も理科の授業の中で季節の植物や生き物を探し、観察する授業があったことをよく覚えております。また、小学校5年生のときには、当時のさがら山荘でのキャンプがあり、中学2年生では乗鞍岳の登山に取り組みました。こうした機会が現在まで継続されているということを大変うれしく思います。
以前は、小学校や中学校で授業の一環として砥神山や五井山への登山が実施されていたとも聞きました。現在は実施されていないようですが、その理由はどのような点にあるのでしょうか。
○柴田安彦副議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 教育委員会では、各学校に対して、地域の特色を生かした授業づくりを積極的に行うよう指導しています。その取組として、地域の自然や海を題材にした学習も行われています。具体的には、西浦のサップ体験や大塚の海岸清掃、三谷の大島清掃、また、形原のあじさいの里を取り上げた奉仕活動等が挙げられます。
山や森に関する取組として、以前は、遠足等で登山が実施されていました。登山の実施に当たりましては、下見によるコースや危険箇所、トイレ等の確認が必要で、教師の負担も大きいものがあります。また、雨天後の実施判断の難しさや、落石等やけがの心配、蜂や蛇など危険動物による被害も出てきます。さらに、当日は不測の事態を踏まえ、多くの職員による対応が必要になり、実施を見合わせる学校が増えていると考えます。
今後、地域学校協働活動の推進や、部活動の地域移行に伴って、土日は児童生徒を家庭へ帰し、地域や社会の様々な活動に児童生徒自身が自ら参加していく方向になります。10月には、「里山自然観察会」や「森の文化祭」、青年会議所主催の「蒲郡わくわく山の調査団」など、自然体験イベントが開催されました。今後、様々な諸団体によるイベントを企画していただき、休日に児童生徒が、多くの大人の皆さんと一緒に参加することで、蒲郡の自然に触れながら学ぶ機会が増えるとありがたいです。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 御指摘のような山登りに関する準備の負担やけがなどへの対応、また危険な動物や虫もいますし、天候にも左右されてしまう点など、様々な心配事がたくさんあるという点は、私も大変よく分かります。時間の限られた授業の一環として実施することの難しさは大いに理解できるところです。
一方で、地域で開催されているイベントに子供たちが参加していくという方向性は、私としても大歓迎で非常によい流れであると思います。特に地域の大人たちと触れ合い、ともに活動する機会というのは限られていると思いますので、単に自然を体験するという以上の経験を得られる場になることは間違いないと思います。地域の大人である私たちとしても、そうした機会を今後も提供できるようにしていく必要があると感じます。
文部科学省の研究によれば、体験活動の機会が多かった子供は、家庭の経済的な環境にかかわらず自己肯定感が高く、自分のことを活発だと思う外向性も高い、そして新しいことに興味を持つことや、将来に対して前向きに考えられることなど、子供の成長に重要な要素を育むことにつながっているということが分かっています。また、異年齢の人とよく遊んだ経験のある子供たちも同様の傾向があるとのことです。この研究は2万人以上の子供たちをゼロ歳から18歳まで追跡調査したデータを使って、子供の頃の体験がその後の成長に及ぼす効果を分析したものです。2万を超えるサンプル数の多さと、18年間の追跡調査を実施したという非常に貴重な研究で、その確度も相当に高いのではないか。実態にかなり迫っているのではないかと思います。今後も子供たちの体験活動の機会を大切にしながら、地域の大人たちとともに学校と手を取り合いながら子供たちの将来を育んでいく。そんな蒲郡市をつくり出していくようお願いしたいと思います。この点については、私としても今後も取り組んでいきたいと思います。
続いて、観光の分野についてお伺いします。
観光にも森林が活用できるのではないかということです。内閣府が数年に一度、森林と生活に関する世論調査という調査を実施しております。この調査には森林の利用という項目があり、その中で森林へ行った目的を聞いています。2011年の調査では、森林へ行った目的として、複数回答で「優れた景観や風景を楽しむため」が40.4%、「森林浴により心身の気分転換をするため」は37.2%、「何となく自然の中でのんびりするため」が28.9%という結果でした。いずれも森林空間での滞在自体を楽しむ目的での訪問が多いことが分かります。
また、「森林の中でどのようなことをして過ごしてみたいか」という、森林に関する企画への参加意向についても聞いており、これも複数回答で、「森林浴により気分転換をする」という回答の割合が63%と最も高く、続いて「森や湖、農山村の家並みなど魅力的な景観を楽しむ」が47.5%、「野鳥観察や渓流釣りなど自然とのふれあい体験をする」が41.9%、「子供を自然が体験できる行事に参加させる」が34.3%という順になっています。森林空間だからこそできる体験に対するニーズが高いことが分かります。
この調査から分かるのは、森林が存在するということ自体に大きな価値があり、魅力があるということではないでしょうか。森林が目的地となり、そこにある木々や景色がコンテンツとしての役割を果たす。また、何らかの体験やイベントに参加していただく機会をつくり出すことができれば、その魅力が一層向上するということです。
このように森林は観光分野にも大いに活用できるのではないかと私は感じておりますが、どのようにお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 森林空間を観光分野での活用という点におきましては、登山、ハイキング、ウォーキングといった部分が森林空間を活用する観光コンテンツの1つとして考えることができます。本市におきましては、富士山や御嶽山などといった本格的な登山とは違い、手軽にハイキング、ウォーキング気分で景観を楽しむものとしての位置づけになると考えています。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私もそのように思います。本格的な登山を求めている方々は、蒲郡の山に余り来られないだろうと思います。駅からも比較的近く、半日もあれば気軽に登って下りてこられる。そんな身近な登山になるのではないかと思います。また、登山の後には市内の温泉で日帰り入浴を楽しんでいただくということも、観光としては大変魅力的であると思います。大いにPRできるところだと思います。
以前の議会答弁では、「市内周遊のウォーキングコースを研究していきたい」というお話がありましたが、その後の検討は進んでいるでしょうか。また、どのようなコースで考えているでしょうか。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 令和2年6月定例会におきまして、「市内周遊のウォーキングコースなど、本市の魅力ある新たなコースの設定を考えていくよう研究していく」と答弁させていただきました。森林空間に限ったものではございませんが、観光目的のウォーキングとしては、JR東海様と一緒に、機会あるごとに、JR東海さわやかウォーキングにて、新しいウォーキングコースづくりに取り組んでおります。令和4年2月には、赤日子神社、上ノ郷城跡、竹谷神社を巡る新コースにて開催しました。先日も名鉄利用促進事業の「第8回ぶらりんウォーク」では、「上ノ郷城跡」を巡るウォーキングイベントを開催しました。今後も、機会あるごとに魅力あるコースの研究に取り組んでいきたいと考えています。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 蒲郡市の山歩きの活動をされている蒲郡山友会という団体がございます。この蒲郡山友会の方が11月末に開催された山歩きにおいては、市長をはじめ多くの職員の皆さんか五井山の山頂への山歩きに参加されたと伺っています。この蒲郡山友会の方々が市内の山を歩いて一周する(仮称)蒲郡里山トレイルを検討されています。蒲郡里山トレイルは三谷の星越海岸から西浦の万葉の小径まで約35キロに及び道のりで、蒲郡のまちを囲む山々を縦走するというルートです。2021年の10月からルートの探索を開始され、約1年かけて2022年10月までに11の区間に分けたルートを確定されました。会の皆さんが毎月登山に取り組んでつくられたルートです。案内板の設置など、これから本格的な整備に取り組んでいかれるとのことでした。
今後、市としても新しいウォーキングやハイキング、登山のコースを検討する際には、この蒲郡里山トレイルを参考にできるのではないかと感じておりますが、お考えをお聞かせください。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 蒲郡山友会様が蒲郡里山トレイルを計画していることは承知しております。今後も本市におけるトレッキングや登山を推進する上では、参考になるものと考えております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 蒲郡山友会の皆さんは、全てボランティアで手弁当で活動されています。大変すばらしい活動だと思いますので、ぜひ市からもお力添えをいただければありがたいです。
続いて、(2)森林空間の活用に向けた課題についてお伺いしていきます。
これまで森林の活用には様々なメリットや可能性があるということについて議論をしてまいりました。しかしながら、蒲郡の森林空間を活用していくに当たっては、現状では課題が多いと言わざるを得ません。まず、案内の看板についてです。
市内のウォーキングコースや登山ルートの案内については、蒲郡市観光協会の作成した地図、蒲郡ウォーキングマップがありますが、この地図には合計24ものコースが記載されております。一部には登山のコースも含まれているのですが、この地図を使って登山をすることは、私には余り現実的ではないように感じられます。それは現地に安定のための看板がないからです。また、登山ルートの案内の看板だけでなく、曲がり角などでは矢印など、道しるべとなる案内の看板を立てておくことも必要です。歩いている途中で自分が進んでいる道が正しいのかどうか分からなくなってしまうことがあるためです。現状では、あさやけコース、ゆうやけコースについては、出発地点にルートの案内看板が設置されており、途中にも道しるべの案内看板やルートの案内の看板が設置されていますが、その他の登山ルートについては、現地での案内はほとんどありません。グーグルマップなどのサービスを利用して、インターネット上の地図を作成して公開することも検討できるかもしれませんが、山の中などは電波の届かないところもありますし、スマホを片手に持ちながら、片手に見ながらの登山やウォーキングは決して好ましいとは言えないと思いますので、やはり地図だけでなく、案内板で分かるようにすることが不可欠だと思います。
そこで、蒲郡市観光協会が作成した地図に載っている登山ルートについてだけでも、スタート地点やゴール地点にルートの案内のための看板を設置していただくことはできないでしょうか。
○柴田安彦副議長 教育部長。
◎岡田隆志教育部長 藤田議員の言われるとおり、常に地図やスマートフォンを見ながら登山やハイキングをすることはできないため、現地に道しるべの案内看板があることにより、安心して登山ができるのではないかと思います。しかしながら、登山道の大部分が民地であるため、市として道しるべの案内看板等の整備を行うことはできないものと考えております。登山愛好家の方々が自主的に整備を行っているのが現状でございます。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 それでは、市が管理する林道から登山口につながっている場合はどうでしょうか。五井山や遠望峰山、砥神山の幾つかの登山ルートは、林道の際から山に入っていくというルートになっています。こうしたところは市の管理する道路ですから、民地ではないことも踏まえ、登山口であることを示す看板や、登山ルートの案内のための看板を設置することができるのではないかと思います。市が設置するよう検討いただけないでしょうか。
○柴田安彦副議長 教育部長。
◎岡田隆志教育部長 今、具体的な場所を想定することができませんが、登山口が市の管理する林道であった場合、登山口の案内看板の設置の必要性と、道路としての利用に支障がない場所であることなどを確認した上で、設置できるかどうか道路管理者と協議をした上で判断してまいりたいと思います。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ほかの市町では実現できている事例もあるようですので、ぜひ御検討をお願いできればと思います。
次に、五井山の山頂についてです。五井山の山頂については、ボランティアの方が設置した地図と、五井山454メートルと書かれた看板が置かれていますが、ほかには何の案内もありません。蒲郡市を紹介する看板や、どのような景色が見えるのかという案内看板もありません。木製のベンチが8基ほど置かれていますが、いずれもボランティアの方々が自力で木材を運んで組み立てられたものです。山頂からの景色を背景とした記念写真を撮れるようなしつらえもありません。せめてそのくらいはあってもよいのではないでしょうか。看板なり、カメラ台なり、椅子なり、何か設置することはできないでしょうか。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 藤田議員から御提案のありました内容については、整備するためには、まず、五井山山頂を登山の休憩所や景観を楽しむ展望台といった、滞在する場所とする位置づけが必要だと考えております。今まで、五井山山頂に休憩所や展望台を整備する必要性について、担当レベルで研究は行ってきましたが、どの程度の利用頻度があるのか、どの程度ニーズがあるのか、また、そのニーズに対する費用対効果など、整備を図っていく上で、まだまだ課題があると感じております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 五井山の山頂については、以前にはNTTの中継施設がありました。大変大きな施設で五井山の山頂にそびえるようなシンボル的な存在であったと思うのですが、平成25年、2013年には施設が撤去され、周囲の鉄柵のみが残されました。その後、蒲郡市に対して土地を譲渡するというお話があったとのことですが、そのときは見合せ、さらにその後、令和2年3月末に、鉄柵に囲われた土地の一部に危機管理課が防災行政無線の基地局を設置されたと思います。この五井山の山頂の土地について、これまでの経緯と現在の状況についてお知らせいただけますでしょうか。
○柴田安彦副議長 危機管理監。
◎星野浩幸危機管理監 五井山の山頂につきましては、藤田議員御指摘のとおり、かつてNTTの中継施設が平成25年度まで稼働しておりました。その後、建物が撤去されており、土地につきましては何度か譲渡のお話があったようですが、最終的に令和元年度に280メガヘルツデジタル同報系防災行政無線基地局用地として本市が購入しております。購入の際には構築物等も含めた現況のままの引き渡しとしておりますので、周囲の鉄柵等も市の所有となっております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 現在は、鉄柵部分も含めて市の土地になっているとのことですが、この鉄柵の東側や南側など、一部分だけでも撤去するということはできないでしょうか。一部でも鉄柵を撤去していただけると、山頂としての活用範囲が大きく広がるからです。さらに多くのベンチを設置したり、案内看板を設置したりすることもできます。場合によってはトイレを設置することもできるようになるのではないかと思います。鉄柵の撤去は山頂の活用には大変重要なポイントとなると思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。お考えをお聞かせください。
○柴田安彦副議長 危機管理監。
◎星野浩幸危機管理監 この土地につきましては、先ほど申し上げたとおり280メガヘルツデジタル同報系防災行政無線基地局として、令和2年度から運用しております新型の防災行政ラジオ、令和3年度から建て替えを進めております新たな拡声子局、いわゆる屋外スピーカへの放送を一手に担う重要な送信施設となっております。
しかしながら、山頂という人目につきにくい場所にあるため、施設の保安上からもある程度強固な柵等が必要であると考えております。現在設置されている柵につきましては、目的がほぼ同じであるNTTの中継施設のために作られたものであり、保安上有意義であると思われますので、部分的であっても、現時点ですぐに撤去することはないものと考えております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私も現地で施設の状況を確認いたしましたが、鉄柵は私の身長よりも高く、基礎もかなりしっかりとしておりますし、柵の一本一本が大変太く、とても頑丈で強固な柵であると感じました。施設の保安上、確かに大きな役割を果たしているということは大変よく分かりましたが、すぐの撤去は難しいとしても、例えば、将来的に柵が老朽化して建て替えるときなどには、山頂の大きな範囲を囲うのではなく、必要な範囲にとどめていただくなど、工夫をお願いしたいと思います。
なお、今回は五井山の山頂について取り上げましたが、遠望峰山の山頂については草木が生い茂っており、景色の眺望がよくないということで知られております。遠望峰山は蒲郡市内では五井山に次いで2番目に高い山であって、本来はよい景色に恵まれていると思うのですが、非常に残念です。山頂から景色を楽しめるよう市としても方策を検討していただくことを望みます。
さて、森林空間の整備や活用に向けて、国においては平成30年、2018年に森林経営管理法が制定され、蒲郡市においても平成31年、2019年に森林整備促進基金条例が制定されました。同法のもと、森林整備のための財源として、森林環境譲与税が創設され、蒲郡市にも令和元年度には409万円、令和2年度には880万円、令和3年度も880万円が交付されました。森林環境譲与税は森林経営管理制度や森林管理のために使うことができるとされていると思いますが、その範囲は具体的にどう決まっているでしょうか。広く森林活用に資する目的であれば活用することができるでしょうか。例えば、登山道の整備、林道の整備、登山のルート案内の看板の設置、山頂や登山口などにおけるトイレの設置など、森林空間の活用のために森林環境譲与税や森林整備促進基金を使うことができるでしょうか、お伺いします。
○柴田安彦副議長 産業振興部長。
◎池田高啓産業振興部長 本市においては、蒲郡市森林整備促進基金条例にて、森林備促進基金の財源は、森林環境譲与税をもって充てるとしております。その使途につきましては、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に基づき、市町村においては、間伐等の「森林の整備に関する施策」と人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てることとされており、その範囲内での活用が可能であります。具体的な活用法につきましては、全国の取組事例等を参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○柴田安彦副議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 本制度が始まって3年余りが経過し、蒲郡市内においても取組が進んでおります。全国の他の市町村での事例も積み重ねられてきていると思いますので、ぜひ参考に検討をしていただきたいと思います。上手な使い方を考えていただきたいと感じております。
今回、森林空間の活用について、森林サービス産業の可能性も見据えながら、蒲郡の山や森の現状をお伺いしてまいりました。まだまだ課題も多く、市としても、いま一つ方向性が定まっていないとこもあろうかと思いますが、森林空間の活用は教育的な意義も大きく、健康づくりにも資する、さらには観光振興にもつながっていくという可能性が大いにございます。ボランティアの方々のお力もお借りしながら、一つ一つ着実に課題を解決していく必要があると思います。
海と山に囲まれた蒲郡だからこそできる海と山の双方を生かしたまちづくりを進めていただくようお願いしたいと思います。私も力になれることがあれば、ぜひ協力をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。この件については以上です。