◆藤田裕喜議員 続いて3、市内小中学校の制服についてお伺いします。
市内の小中学校に通う子供たちの姿を、日常生活の様々な場面で見かけます。多くの場合、子供たちはいわゆるジャージ、体操服で通学をしているようですが、時折制服姿で通学している子供たちの姿も見かけることがあります。制服姿を見ると、私自身が小学生、中学生だった頃を思い出しますし、その頃と全く変わっていないことに対して懐かしさを感じることもございます。しかし、その反面、30年以上も前と同じ状況が現在も続いているのかと思うこともございます。小中学校の制服については様々な御意見、様々な考え方があるかと思います。まず、制服はもう廃止すべきではないかという意見がございます。私に対しても直接要望として御連絡をくださる方もありますし、日常の会話の中で制服についての話題となり、その必要性についての議論となることもあります。制服が不要と考える主な理由は、「何万円ものお金がかかる」、「子供は成長するので、すぐに買い換えが必要となる」、「家で洗濯しづらく不衛生である」、「そもそも着る機会が限られている」といったところですが、一方で、制服が必要という意見も根強くあると感じています。その理由としては、「私服のほうがお金がかかる」、「制服のほうが勉強に集中できる」、「生徒間の差が生じない」といった内容です。私自身も「必要」という意見もあれば「不要」という意見もあり、どちらの意見にも接したことがありまして、まさに賛否両論あるというのが現在の状況であると思います。
そこでお伺いします。小中学校の制服について、教育委員会にはどのような意見が届いているでしょか。廃止してほしいという意見はあるでしょうか。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 以下、教育長のほうで答弁をさせていただきます。
今年度になって、「市民の声投書箱」の御意見として、4件ほど届いております。また、小学校では、ほとんどの学校で「制服を廃止してほしい」という声があったことは、校長会でも確認をしております。一方、中学校からは、制服の廃止についての意見は伺っておりません。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 では、小中学校の制服を廃止してもらいたいという意見に対して、教育委員会としてはどのようにお考えでしょうか。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 「制服を廃止してほしい」という意見がある一方で、「制服があった方がよい」という意見も多くあります。今後、小中学校の制服の扱いについては、保護者の方々や児童生徒、教職員の意見を踏まえて慎重に対応していく必要があると考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 では、次のような意見を聞いたこともございます。それは、制服を着たい人は着ればいいし、買いたい人は買えばいい。一方で、着たくない人は着なければいいし、買いたくない人は買わなくていいといった趣旨で、要は制服の着用そのものを自由化すればよいのではないかという意見です。こうした意見については、どのようにお考えでしょうか。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 現状、小中学校におきましては、普段の生活で制服を着て過ごすことは少なく、多くの児童生徒は体操服で過ごしております。また、市内の小学校2校では、以前より制服を廃止しておりまして、私服で生活をしていますが、体育の授業があるときは多くの児童が体操服で過ごしているのが現状です。中学校では、入学試験や学校行事で制服を着用する機会があり、着る場面が少なくなっても、保護者や教職員の間で制服の必要性を感じている状況があると感じております。よって、制服を自由化するという意見についても、廃止と同様に慎重に対応していく必要があると考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 過去の市議会での議論を振り返ってみますと、「制服について、その必要性も含めながら検討をしていきたい」とか、「声にしっかりと耳を傾け、検討していければ」といった御答弁がございました。「少なくとも制服の在り方について検討を進めていく」といった趣旨の御答弁であったと思います。現在の状況については、どうなっているでしょうか。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 小学校の制服につきましては、昨年度から担当指導主事が市内の販売店を訪れ、もし、仮に廃止するなら、どのような課題があるかなどの相談を行ってきています。ただ、販売店によって要望も様々で、市内一斉に廃止の動きをすることの難しさを感じる中、体操服や上履き等のデザインや学年色についても見直し、検討の必要な地区もありました。さらに、小学校の見直しだけでなく、トランスジェンダーへの対応を踏まえ、中学校の制服を含めた検討の必要性もあったため、今年度は大きな進捗がない状況となっているのが現状でございます。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 今お話のありましたトランスジェンダーの児童生徒への対応について、もう少しお伺いしたいと思います。
生まれたときに割り当てられた性別と自分自身が認識する性別とが異なっているトランスジェンダーにとって、性別によって異なっている学校の制服というのは非常に大きな問題です。例えば、女の子として生まれ、戸籍上も女の子で、女の子として育てられてきたけれども、自分自身は男の子だと認識して生活している場合、女の子の制服を着なければならないでしょうか。自分の認識する性別とは異なる性別の制服を着用しなければならないということが大きな負担となって学校に通えなくなってしまったという事例や、自分の認識する性別とは異なる性別の制服を着用することは負担が大きすぎて無理なので、制服を着ないで学校に通っていたところ、いじめの対象となってしまい、結局学校に行けなくなってしまったといった事例などは枚挙にいとまがないと言えるほど、私も本当によく聞く話です。制服を取り巻く問題は、トランスジェンダーの児童生徒にとって非常に深刻な問題です。
そこでお伺いします。蒲郡市においてトランスジェンダーの児童生徒に対しては、現状どのような対応が可能でしょうか。
また、先ほど御紹介した意見のように、制服それ自体を自由化すれば、つまり制服を来ても着なくてもいいということにすれば、そもそもこのような性別と制服を取り巻く問題は生じないと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 トランスジェンダーの児童生徒への対応につきましては、現状、本人からの申出があったとき、柔軟に対応する状況にとどまっています。ただ、先ほども述べたとおり、制服を着る機会が少なく、体操服の多くは男女共通のデザインのため、抵抗感が少なく着用できていると推察しております。
制服の自由化につきましては、ブレザーへの変更も含め、慎重に検討していきたいと考えています。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 トランスジェンダーの児童生徒にとっては制服を着る機会が少なかったとしても、性別によって異なる服を着ること自体が大変大きな負担となっているという現状があると考える必要があると思います。例えば、制服を着るのが嫌なので、制服を着なければならない日だけ休む、その日だけ休んでいるといった話もよく聞きます。少なくとも制服を男女で指定しないこと。また、教員の許可を得なくても制服を選べるようにすることなどが必要です。トランスジェンダーの児童生徒への対応については、特に丁寧にかつ慎重にお願いできればと思います。
次に、制服リサイクルについてお伺いします。私が中学生だった25年ほど前、制服リサイクルという取組がありました。これはごく簡単に言えば、卒業生の制服や体操服などを在校生に譲るという仕組みで、PTA活動の一環として運営をされておりました。私も記憶が余り定かではないのですが、授業参観の日に学校内のどこかの教室が制服リサイクルの部屋として開放され、実際に手に取ってサイズを確認することができるといったような感じで、保護者からは大変好評であったと聞いております。私も一時期は制服リサイクルでいただいた制服や体操服を着て学校に通っておりました。
今思い返してみれば、当時から既に制服の在り方、あるいは制服の要不要をめぐっては様々な議論があったと想像することができますし、だからこそ制服リサイクルという仕組みが考えられ、実施されてきたと思います。最近になって議論が盛り上がってきたというわけではなく、以前から同様の議論が繰り返されてきたのが実情ではないかと考えられるわけです。
この制服リサイクルについては、学校によって実施されているところと、実施されていないところがあるようですし、また、年度によって実施されている年と実施されていない年があるようですが、なぜ、このような差が生じているような状況になっているのでしょうか。また、継続的に制服リサイクルを実施できるように教育委員会として、あるいは学校として運営するという仕組みづくりを検討していただくことはできないかと思いますが、いかがでしょうか、お考えをお聞かせください。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 制服リサイクルについては、以前、PTA活動の「リサイクルバザー」として実施されている状況がありました。ただ、当時から一般的なサイズで、まだ着られる制服や体操服を集めることは困難で、学校で保管された在庫を販売している状況もありました。また、昨今のSNSの普及により、保護者同士のネットワークが広がり、上手に制服や体操服が活用されている状況があると考えます。学校はもちろん、教育委員会が制服や体操服のリサイクル業務を行わなくても効果的な制服リサイクルがなされ始めていると考えております。
以上です。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 最後に、今後の展開についてお伺いします。
制服をめぐっては賛否両論で、やはり様々な議論、様々な立場、様々な考え方があり、非常に難しい問題であると今回の質問を通じて私も感じております。そして丁寧な議論、丁寧な合意形成が必要という点もよく理解できました。子供たちにも、保護者にも様々な考えがあり、もちろん、業者の方々の立場もあり、なかなか難しい問題であると感じております。今後、具体的にどのような方向性で進めていくお考えかお伺いします。
○稲吉郭哲議長 教育長。
◎壁谷幹朗教育長 新年度、制服等の見直し検討委員会を立ち上げ、今後の方向性を決めていきたいと考えております。まずは、各学校で保護者の方々や子供たちの意見を伺い、様々な関係機関も含め、丁寧に説明や対応を実施していきます。また、制服だけでなく、日常的に使用している体操服や上靴、体育館シューズ等についても「見直す必要がある」との声も届いています。さらに、中学校の制服をブレザーに変更することについても検討していきたいと考えております。
引き続き、高価な制服の購入が難しい家庭もあります。体操服や上履き、体育館シューズ等についても同様で、基本的には家にあるものを使用すればよいと考えております。外国籍の児童生徒も含めた全ての子供たちが、学校で安心して生活できるように、できる限り対応していきますので、まずは学校に相談してほしいと思っております。
以上でございます。
○稲吉郭哲議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私はこの問題は、誰の利益を優先して考えるかという問題ではないか。また、それを誰が決断するのかという問題ではないかと感じております。メリットもデメリットもありますし、いろいろな意見がある中で、それをうまく調整し、また、合意形成を図っていくこと自体が恐らくかなり難しいというだけでなく、時間もかかる問題ではないかと思います。そして、その間に子供たちは成長して卒業していってしまう。また、親たちにとっても、自分の子供が卒業してしまえば、どうしても関心が薄れていってしまうという状況にあるように感じております。現にいろいろな声がありつつも、結果として30年以上も何も変わっていないという状況があるわけです。やはり誰かが思い切って決断をしなければ進まない課題なのではないかと思います。学校をめぐる様々な課題が動いている今こそ、ぜひとも前向きな御検討、御判断をお願いしたいと思います。
以上で終わります。どうもありがとうございました。