◆藤田裕喜議員 では、議長に発言の許可をいただきましたので、これより通告の順に従い一般質問をいたします。
今回は、空き家を取り巻く課題について、様々な観点から対応策をお伺いしていきたいと思います。
空き家を取り巻く問題は、単に家に住む人がいなくなってしまったというだけの問題にとどまりません。住む人がいなくなった家が放置されたままになってしまうことで、敷地に雑草が生い茂ってしまったり、建物が劣化して倒壊の危険が生じてしまったり、また、動物がすみついてしまったりするなど、近隣の住環境にも大きく影響します。
また、空き家といっても法律的には土地や家屋の所有権に関わる問題ですので、解決のためには民法をはじめとした法律が関係することはもちろんですし、法律の専門家が関与したほうがよい場合もあります。
さらに、空き家の活用のために、例えば人に貸し出すということを考えても、借りてくれる人を募集する必要がありますし、そのためには長年使われていなかった家の中を整理しなければなりません。多くの空き家は、家の中の家財道具の整理まで手が届いておらず、最近では専門の業者に依頼することも多くなってきています。遺品として保管しておきたいものもあれば、廃棄物として処分しなければならないものもありますが、廃棄物の場合、誰がどうやって処分するのかといった問題も生じます。
建物を解体することとなった場合でも、持ち主が個人で解体することは事実上不可能ですので、解体業者に依頼することとなるでしょうし、解体の後に土地を売却することとなれば、当然、不動産業者を通すということとなります。この場合、数百万円単位、数千万円単位の大きなお金が動くということも当然考えられます。
このように、一言に空き家を取り巻く課題といっても、解決のためにも、いろいろな立場のいろいろな機関、いろいろな専門家が関与していくことが必要です。
行政としても、空き家個別相談会の開催、また、空き家・空き店舗バンクの設置など、蒲郡市ではもちろん、全国的にも様々な自治体で知恵を絞りながら空き家問題の解決に尽力されてきており、様々な事例が積み重ねられてきています。一筋縄で解決できるような簡単な課題ではありませんので、地道に継続的な取組が必要な課題であると思います。今回は、その中でも少し細かな課題にも立ち入って議論を進めていきたいと思います。
まず、(1)空き家から生じる家財の処分や廃棄物の処理についてです。
空き家となってしまった家が、つい放置されてしまう、活用に向けた整理がなかなか進められない理由の一つは、家の中に荷物が残っている、たくさんの家財道具が残されたままになっているという状況がよく生じていることです。残されているのは家財道具ですが、所有者や家族の方にとっては、それは単に物品が残されているのではなく、思い出や記憶とともに残されているものであって、そのためになかなか気が進まず、片づけや整理、処分に手がつけられない、なかなか自分では作業が進められないといった背景もあるように感じます。
また、家財道具が多過ぎて、どのように整理を進めたらよいか分からないという場合もありますし、不用なものやリサイクルできるものの仕分けができない、分からないという場合や、処分や処理の仕方が分からない、自分一人ではできない、やり切れないという場合もあると思います。所有者や家族の方が、わざわざ遠方から家財の処分のために時間をかけて通って自力で片づけるということもあり得ますが、時間も日数もかかってしまいますし、なかなか現実的ではないように思います。
そこで、最近ではこうした空き家から生じる家財の処分や廃棄物の処理について多くの業者が専門的に取り組んでおり、市民の皆さんにとっても身近な存在となりつつあるように感じています。遺品整理や家財道具の処分の業者として、または不用品の回収業者として、あるいはリサイクル業者として、空き家の整理、片づけの代行といった看板を掲げている場合もあります。
最近では、家財の処分を請け負うだけでなく、回収した物品の一部をリサイクルに出したり買い取ったりしている業者もあるようです。また、貴金属や重要な書類を探してもらうというサービスに対応している業者もありますし、家屋のリフォームや庭木の処理に対応している業者もあり、サービスの幅が大変広がっているという印象を受けています。空き家の増加が見込まれる中、今後、こうしたサービスの需要もますます高まっていくことが考えられると思います。
蒲郡市においても空き家利活用事業費補助金として、本年4月に家財処分のための補助金制度を創設し、空き家の家財処分を通じた利活用の促進を図っていただいてると思います。
まず、この家財処分補助金の利用実績についてお伺いします。今年度から開始された補助金ですが、これまでにどのくらいの利用件数があったかお伺いします。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 最初に、住宅の空き家バンクにつきまして御説明をさせていただきます。
住宅の空き家バンクは、平成28年から運営を開始しており、令和5年7月末までに52件の物件登録があり、34件の成約がございました。
運営開始後、空き家バンクに物件登録をする方や空き家の相談に来られる方から建物内に残された家財の処分に関する相談が度々あり、その内容といたしましては、空き家となった住宅の所有者が御高齢であることや遠方に住んでいることなどから建物内の家財処分が困難であるといったものでございました。中には家財処分を理由に空き家バンクへの物件登録を断念する方もいらっしゃいました。
こうしたことから、住宅を対象とした空家利活用補助金に家財処分のメニューを加え、令和5年4月より補助の運用を開始しております。運用を開始しまして5か月を経過し、これまでの利用実績は1件でございます。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 本補助金についてですが、蒲郡市が運営する空き家・空き店舗バンクに登録するということが補助金を受ける要件の一つとなっています。しかし、私からすると、この要件が補助金の活用を大きく制限しているのではないかと感じます。
具体的には、例えば自分で空き家を利用したいと思っており、空き家バンクには登録しないが、空き家の家財整理をしたいという場合や、家族や親戚に迷惑をかけたくないので、あらかじめ生前整理をしておきたいという場合、また、ごみ屋敷の整理をしたいといった場合です。家財の整理や処分を促進するという観点から考えれば、必ずしも空き家・空き店舗バンクに登録する必要はなく、多様な空き家の活用の仕方が考えられます。
空き家・空き店舗バンクに登録しなくてもよいとすれば、補助金を活用できる余地はもっと広いのではないかと感じざるを得ません。空き家・空き店舗バンクへ登録しなければならないという要件が、この補助金の利用の大きな一つのハードルとなっていて、反対に空き家の家財処分を妨げているのではないか、結果として空き家の利活用をも妨げてしまっているのではないかとすら感じられます。
そこでお伺いします。本補助金を受けるに当たって、蒲郡市の空き家・空き店舗バンクへの登録が必須となっている理由や背景についてお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 空き家バンクへの登録が条件となっている理由につきましては、空き家の利活用の促進には、まずは空き家バンクの物件登録数の増加が必要であるというように考えております。先ほども答弁したとおり、空き家に関する問合せとして家財の処分について一定数の相談をいただいておりましたので、家財処分の補助を御利用いただく方にも空家バンクへの登録をお願いし、空家バンクの物件登録数を少しでも増やしていきたいというのが理由でございます。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 また、本補助金は、空き家のうち店舗部分の家財の処分費用については補助の対象外となっています。空き家の居住部分と店舗部分を区別しているという立てつけですが、現実には店舗と住居が一体となっている場合や住宅を店舗にしたいというニーズもあり得ると考えられます。
また、処分する家財が居住部分から生じているのか、店舗部分から生じているのか、区別することが困難な場合も考えられますし、実際にそれを検証することは困難です。そう考えると、この区別が合理的なのかどうか、また、そもそも区別することは可能なのかどうか疑問を感じざるを得ません。
本補助金について、なぜ空き家の居住部分のみを対象とし、店舗部分は対象外としているのか。また、居住部分と店舗部分を区別することについて、何かメリットや意味があるのでしょうか、お伺いします。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 空き店舗については、令和4年度より空き店舗の利活用促進を目的として空き店舗バンクを始めていくに当たり、利用者の利便性の観点から空き家と空き店舗の情報を一つにまとめたほうがよいというように判断し、空き家・空き店舗バンクという共通のプラットフォームで運用を開始しております。
しかし、住宅と店舗では利用目的や課題が異なるため支援制度をそれぞれ別々に用意していることと、空き店舗につきましては、制度を運用する中で処分等に関する御相談・御要望を頂いたことがなかったため、空き店舗の残存物の処分については補助の対象としておりません。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 現状については理解をいたしましたが、私としては、やはり本補助金については一層の要件の緩和が必要であると感じます。要件を緩和して、より使いやすい補助金としていただき、そうすることで空き家と空き店舗の利活用がさらに進められるようになると感じます。いま一度御検討をお願いできればと思います。
次に、空き家から生じる廃棄物の処理についてお伺いします。
蒲郡市においては、廃棄物、ごみ処理の基本的な方針として、一般廃棄物処理計画を定めています。また、一般廃棄物処理実施計画においては、一般廃棄物の発生量及び処理量の見込みが年度ごとにまとめられ、公表されています。
空き家から生じる廃棄物については、事業系ではなく、生活系の一般廃棄物に分類されると思いますが、同じ生活系の一般廃棄物に分類される廃棄物であっても、ふだんの生活から生じる家庭系のごみとは異なり、一度に大量に発生します。また、その廃棄物の内容についても大きく異なると考えられます。
例えば、ふだんの生活の中で家電製品や家具などを粗大ごみとして出す機会は非常に限られていると思いますが、空き家から生じる廃棄物としては、家電製品や家具が恐らく最も多いと考えられます。
また、本や雑誌などの紙類や古着、小型の家電製品も空き家から生じる廃棄物としては多いことが考えられ、通常、これらは資源ごみとして分類されていますが、こうした資源ごみをたくさん出すという機会も、やはり限られていると思います。
ほかにも、例えば食器類も空き家から生じる廃棄物としては多くあります。通常、これらは不燃ごみであると思いますが、そもそも食器類をごみとして出す機会は割れて使えなくなってしまった場合ぐらいしか考えられず、通常は、そうした機会はほとんどないと考えられます。
このように、少し考えてみただけでも空き家から生じる廃棄物の特徴は、ふだんあまり出さないようなごみが一度に大量に生じるという点にあると言えます。生活系一般廃棄物といっても、その内容も量も大きく異なっていることは明らかです。
このような空き家から生じる廃棄物についても一般廃棄物処理計画においては想定されているのでしょうか。現状の計画が、空き家から生じる廃棄物に対しても対応する計画となっている内容なのかお伺いします。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 一般廃棄物処理計画につきましては、長期的視点に立って、一般廃棄物処理の基本方針となる一般廃棄物処理基本計画と年度ごとに一般廃棄物の発生量や処分量を見込み、その排出抑制方策や収集運搬方法、処分方法を定めています一般廃棄物処理実施計画がございますが、いずれも空き家から生じる廃棄物について特別に定めておりません。
実施計画では、ごみの発生量や処理量の実績値から推計し、燃やすごみや不燃ごみ、粗大ごみや資源ごみ、それぞれの計画量を記載しています。その中で、空き家から生じるごみの量はこの計画量に含まれているものと推察しますが、その具体的な量を把握することはできず、特に、空き家から生じるごみとして盛り込まれておりません。
また、実施計画では、見込まれるごみの発生量や必要とされる処理量に基づき、ごみの収集運搬方法や処理施設などを定めております。その中で、収集運搬方法としましては、委託業者や許可業者による収集運搬方法を定め、生活環境に支障が生じないよう適正な処分を計画していますが、お尋ねの空き家などから生じるごみの処理方法につきましては、計画量と同様、特別に盛り込んでおりません。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 では、次に、一般廃棄物収集運搬業の許可についてお伺いします。
空き家から生じる廃棄物を収集し、処理施設まで運搬するためには、蒲郡市における一般廃棄物収集運搬業の許可が必要ですが、この許可の現状について、現在の許可業者の数、また、一番最近の許可はいつか、過去3年の全体の取扱量について、それぞれお知らせいただければと思います。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 一般廃棄物収集運搬業の許可の現状につきましては、現在、17の許可業者が収集運搬に当たっており、そのうち市内業者が7社、市外業者が10社でございます。
なお、平成25年度を最後に新たな許可手続きは行われておりません。
次に、許可業者全体の取扱量でございますが、令和2年度の取扱量が4,776トン、令和3年度の取扱量が4,854トン、令和4年度では4,751トンとなっておりますが、これは、令和4年度の実施計画で見込んでおります総発生量の2万7,435トンに対しまして、17%ほどとなっております。また、最も取扱量の多い許可業者では約3,593トンの処理を行っており、処理実績のない業者もございます。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 この許可については蒲郡市で操業をするための許可であると思いますが、現状は、市内の業者だけではなく、市外に拠点を有する業者も許可を受けることができています。その理由は何でしょうか。
また、業者によって取扱量にも大きな幅があるようですが、蒲郡市における実績が全くなくても許可は更新できるのでしょうか、お伺いします。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 一般廃棄物処理業につきましては、廃棄物処理法の規定に基づき、市による収集運搬が困難であること、市の一般廃棄物処理計画に適合すること、事業を的確かつ継続的に行うに足りる施設や能力を有することなどが許可の要件とされていますが、お尋ねの事業者の所在地につきましては許可要件とされていないことから、本市におきましても、市外業者に対しまして、一般廃棄物収集運搬業の許可を行っております。
また、許可期間は2年でございますが、事業者から更新申請がありましたら、申請内容を審査し、処理実績の有無にかかわらず、引き続き許可要件に適合するものであれば継続して許可しております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 現在、蒲郡市においては一般廃棄物収集運搬業の新規許可はしないこととされています。ホームページにもそのように明記してございますが、理由及び根拠は何でしょうか。
また、理由と根拠については何らかの手段で開示をしておくべきではないでしょうか。お考えをお伺いします。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 一般廃棄物収集運搬業の許可につきましては、収集運搬を行う区域を管轄する市町村長の許可を受けなければなりませんが、関連して、平成26年1月の最高裁の判決に「市町村長が一般廃棄物処理計画を踏まえた既存業者への事業の影響等を適切に考慮せずに一般廃棄物処理業の許可処分又は許可更新処分を行った場合には、既存業者からの訴えにより当該許可処分等は取り消される可能性がある」とされ、この判決趣旨を受けまして、環境省からは、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物の処理等の適正な運用の徹底についてが通知され、市が許可業者に処理を行わせる場合であっても、一般廃棄物処理計画に位置づけ、一般廃棄物の適正な処理の継続的かつ安定的な実施が確保されるよう許可の運用を行うこととされています。
本市におきましても、こうした最高裁の判決や環境省からの通知に基づき適正な許可の運用を行っていく必要があります。現状、一般廃棄物処理計画で定めています処理体制で一般廃棄物の適正処理が確保されており、廃棄物処理法の許可が認められる事項として挙げられています「市による収集運搬が困難である」とは言えない状況であることから、新規許可につきましては行わないこととしております。
また、こうした新規許可が難しい理由につきましては、他市の事例を参考にしまして、ホームページに掲載し、周知をしてまいります。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 他の自治体の事例を見ると、理由や根拠についてきちんとホームページ上で明示しているというケースが多く見られました。他の自治体の事例を参考にしていただき、ぜひとも検討をしていただきたいと思います。
市のホームページには、一般廃棄物収集運搬業の許可業者の一覧を掲載しておりますが、これ以外にも各許可業者の収集許可品目や業務内容について詳細を公開しています。
これを見ると、一口に一般廃棄物収集運搬業の許可業者と言っても、業者によって対応できる業務は様々であるということが分かります。一般廃棄物の収集のみを業務としている場合もあれば、家庭系の廃棄物だけ、あるいは事業系の廃棄物だけの許可を受けている場合、また、リサイクル家電の処分を引き受けている業者や独自に再生利用、資源化に取り組んでいる業者もありますし、産業廃棄物の処理業の許可を有している場合、また、屋内の片づけに対応している業者もあります。
空き家から生じる廃棄物の収集については、この一般廃棄物収集運搬業の許可を有する業者のうち屋内の片づけを引き受ける業者が対応することとなると思いますが、現状では六つの業者しかありません。17の業者が一般廃棄物収集運搬業の許可を得ている中で、わずか六つの業者しか空き家から生じる廃棄物について対応をしていないという現状です。
この6業者だけで十分に対応できているのでしょうか。屋内の片づけに対応できる業者を増やすべきではないでしょうか。お考えをお伺いします。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 一般廃棄物収集運搬業の許可業者につきましては、市のホームページにおきまして業者名や所在地、電話番号を記載した一覧表と、許可業者が取り扱っている収集品目や業者が独自に行っている部屋の片づけや資源化、再生利用といった業務をお知らせし、市民の皆様が必要に応じて収集運搬業者を選択できるように御案内しております。
独自に行っている業務につきましては、各業者に業務内容を確認させていただき、適切に業務を行うことが可能と判断できる許可業者を御案内しており、現在、屋内の片づけを御紹介する許可業者は6社でございます。屋内の片づけから処理を行ってもらいたい皆様には、この6社を御紹介することになります。
お尋ねの屋内の片づけ等の業務に対応できる許可業者が増えれば市民の皆様の選択肢も増えることにはなりますが、これまで業務に対する苦情や他社を紹介してほしい等の御意見などはございませんので、適切に片づけ業務が行われているものと考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 空き家から生じる廃棄物の処理のためには、現実には市内外の様々な業者が遺品整理、家財処分といった看板を掲げ、市民からの依頼を受けて対応をしています。言うまでもなく、市内で業務を引き受けている全ての会社が蒲郡市の一般廃棄物収集運搬業の許可を有しているわけではなく、他市の一般廃棄物収集運搬業の許可であったり、県の産業廃棄物収集運搬業の許可であったり、古物商の許可であったり、様々な状況があります。許可を受けている地域も様々です。
しかし、一般の市民の皆さんには、そもそも空き家から生じる廃棄物の処理について、蒲郡市の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要であるということ自体、認識されていません。さらに言えば、一般廃棄物処理業の許可と産業廃棄物処理業の許可が異なることや古物商の許可では空き家から生じる廃棄物を処分できないということも、ほとんどの人には理解されていない内容です。遺品整理や家財処分を掲げる業者の多くは、一般廃棄物収集運搬業の許可を有しておりません。先ほど御紹介があったとおり、平成26年、2014年1月の最高裁判所の判決を受けて、平成28年、2016年10月に環境省から通知が発出されて以降、大多数の自治体では一般廃棄物収集運搬業の新規の許可をしていないためです。
したがって、遺品整理や家財処分といっても、実際には業者自身で廃棄物を収集し、運搬することはできません。依頼者自身が直接、一般廃棄物収集運搬業の許可を有する業者に連絡をして回収をしてもらうということになっています。多くの遺品整理や家財処分の業者は適法に事業活動を展開しているものと思いますが、側聞するところによると、中には違法に廃棄物を回収して、処理、処分している場合もあるということです。
例えば、空き家から生じる廃棄物は、本来、生活系の一般廃棄物であるにもかかわらず、産業廃棄物として処理をしている場合があるようですし、廃棄物として処理がされずに不法投棄をされている場合もあるようです。蒲郡市内の山中でも不法投棄がされている事例を私自身も確認をしたことがございます。
違法に回収された廃棄物は、どのように処理、処分されているか把握することは非常に困難です。また、不法投棄の場合は、最終的には市民がその責任を問われる可能性があります。それは、誰が不法投棄したか分からないからです。不法投棄された廃棄物の中から所有者を特定できる情報が得られた場合、その所有者が責任を問われる可能性があります。1,000万円以下の罰金または5年以下の懲役、もしくはその両方です。法人の場合は、3億円以下の罰金です。不法投棄された後に廃棄物が発見されるため、結局のところ誰が不法投棄したかは特定ができませんが、その廃棄物の持ち主が不法投棄をしたとして責任を問われるということです。
空き家から生じる廃棄物の処分を業者にお願いしただけなのに、自分の知らないところでその廃棄物が不法投棄され、責任を問われてしまう、そんな状況が生じかねない現状があります。
そこでお伺いします。このような違法に廃棄物を処理している業者への対応、対策は、どのように考えているでしょうか。
また、適正な処理をしている業者かどうか見分けることは難しいため、市民に被害が発生する可能性もありますが、現状は、違法な業者を放置し、市民が不法投棄を問われる可能性をも放置されているということになっているのではないかと思います。
市のホームページにもごく簡潔な一応の注意書きはありますが、市民の皆さんは、どう業者を見分けたらよいのでしょうか。より具体的な注意喚起が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 市ホームページの一般廃棄物収集運搬業に関する情報には、先ほどお答えしましたように、市で許可をしております一般廃棄物の収集運搬が行える許可業者を紹介し、また、付随して対応可能な業務について御案内をしておりますが、それとともに正しい収集運搬方法についても御説明し、注意を促しております。
一般廃棄物の収集運搬を業として行おうとする業者の方々には本市の許可を受けなければならないこと、また、市民の皆様に対しましては、許可業者の収集車に市が発行した許可証が車両前面に表示されていることとともに、許可を受けていない事業者に一般廃棄物の収集運搬を依頼しないよう注意喚起をしまして、違法処理の防止に努めております。
お尋ねの空き家などのごみ処理では、一時的に多量なごみが発生しますので、所有者自らが屋内の片づけから、分別、クリーンセンターへの運搬まで行うには負担も大きく、それぞれの事業者に依頼する必要が出てまいります。そうしますと、清掃業者やリサイクル業者、収集運搬を業とする事業者など様々な事業者への依頼が考えられますが、不要物品の一般廃棄物をクリーンセンターなどの処理施設まで収集運搬するには市の許可業者である必要があり、図らずも無許可業者に委託した方が罰則対象になる恐れもございます。市が違法業者を取締り、対策していくことは大変難しいものがございますが、引き続き、市民の皆様が被害に遭わず、また、不法行為に巻き込まれないように、許可業者や許可制度の仕組みをしっかり周知し、注意喚起してまいります。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私は、この問題は、遺品整理や家財処分のためにも、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要とされているということに根本的な原因があると考えています。市民からのニーズがある事業であるにもかかわらず、新規に許可が出ないために産業廃棄物の許可や古物商の許可で事業を開始せざるを得ないという状況が生じており、結果として、それが廃棄物の処理についてきちんと管理ができなくなっているという状況を招いていると言えます。一般廃棄物の収集運搬の許可であろうが、産業廃棄物の収集運搬の許可であろうが、市民の皆さんにとっては遺品整理や家財処分をしてくれれば問題ではないということです。一般廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物の処理をきちんと管理することが目的であるはずですが、許可をしないがために、反対にきちんと管理ができなくなっているという状況です。
そこで、やはり空き家から生じる廃棄物については、特別な制度、いわゆる一時多量ごみの処理に関する制度を新たに設けるべきであると考えます。そうすることで許可の有無をより明白にして、無許可の業者を追い出すことができますし、空き家から生じる廃棄物についても、きちんと管理、把握した上で処理ができるようになると考えます。
現状は、許可制度がないために違法な業者を野放しにすることにつながっており、不適正な処理や不法投棄を誘発することにつながっていると思います。現状の一般廃棄物処理計画に適合する形の中で既存の業者への事業の影響等を適切に考慮した上で一般廃棄物が適正に処理されるよう制度設計をすること、つまり、いわゆる一時多量ごみについては、一時多量ごみの処理に限った特別の許可制度として制度を創設することを検討する余地があるのではないかと思います。見解を伺います。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 空家の片づけや引越し、遺品整理などに伴い発生する一時多量ごみの処分につきましては、単身でお住まいの高齢者の方などにとっても大変苦慮することと思われます。処分に当たり事業者が貴重品や大切な思い出の品々、不用品などを仕分けることから、要らなくなったごみの収集運搬まで一体的に行うことが、空き家の家財処分や遺品整理などを行う皆様の負担軽減と適切な処分にもつながってくるものと認識をしております。
こうした、ワンストップでの片づけ作業から一般廃棄物処理まで行うためには、自ら行うか、または、収集運搬に規制がある以上、市の一般廃棄物収集運搬業の許可業者に依頼する必要があります。
お尋ねの一時多量ごみの対応に当たっては、多様な業者が介入する中で収集運搬の許可を有しない事業者が片づけ作業をし、不要になったごみを不法投棄する不適切な処理を防止していく必要があり、法令等で定められた収集運搬業の許可制度の枠組みの中ではありますが、一般廃棄物処理計画に適合し、許可業者の状況を適切に把握しつつ、一時多量ごみの片づけから収集運搬処分まで行うことができる事業者を明確化し、より具体的にお知らせすることで市民の皆様に安心して利用していただけるような仕組みを研究してまいりたいと考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 一時多量ごみについて新たに特別な許可制度を設けることは、違法な業者を排除し、適正な処理を進めていくためには必要不可欠な仕組みであると思います。ほかの自治体でも事例がございますので、ぜひ参考にしていただき、御検討をお願いしたいと思います。
続いて、空き家個別相談会についてお伺いします。
蒲郡市における空き家個別相談会においては、これまで複数の専門家が参加して解決に向けた相談に乗るというスタイルで実施をされてきました。参加している専門家は、宅地建物取引士、建築士、司法書士、土地家屋調査士などの士業の方々であるとのことでした。この参加する専門家の方々の幅を広げてはどうでしょうか。
既に本日も取り上げてきたとおり、空き家を取り巻く問題は非常に多岐にわたります。空き家を取り壊したいということになれば解体業者に依頼をする必要がありますし、家の中を整理したいということになれば家財処分の専門の業者に依頼することとなるでしょうし、土地や家屋を売却する、あるいは貸すということになれば、宅地建物取引士だけでなく、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーからのアドバイスも必要になってくると考えられます。
現状の専門の有資格者の皆さんだけでは対応し切れないような問題についても相談会の現場では話題になる可能性がありますし、そのときにより適切な専門知識を有する人が相談に乗ることで、さらに的確な解決策へとつなげていける可能性も出てきます。何よりその場で解決策を見つけられることが相談者にとっては重要なことであると思います。専門の方に詳しい相談ができるとなれば、参加者の満足度もさらに向上できるのではないかと感じます。
また、ある程度テーマを設けて、テーマに沿った専門家に参加していただく、そんな形式で相談会を開催することも検討してよいのではないかと思います。例えば空き家を取り巻く問題の中でも、今回は家財処分に関する相談を中心に受けるとか、またその次は、お金に関わる相談を中心に受けるとか、あるいは相続に関する相談を中心に受けるとか、解体に関する相談を中心に受けるとか、何らかのテーマを設定してはどうかということです。
これまでは、恐らく特段のテーマは設けずに開催し、また、相談会を開催するごとに多様な内容の相談に直面してきたものと思われますが、ある程度テーマを絞ることで参加者も絞り込みができますし、参加者のニーズに合わせた専門家の方々にお集まりいただけます。専門家の皆さんにも集まってもらいやすいのではないかと思います。
空き家を取り巻く問題を解決していくためには多様な専門家の関与が欠かせません。ぜひ空き家個別相談会の開催の在り方についても御検討をお願いできればと思いますが、お考えをお聞かせください。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 空き家相談会は、1年に2回開催しており、現在、相談を受けていただく専門家といたしましては、議員の御紹介のとおり、司法書士会、宅建協会、土地家屋調査士会、建築士会の方々に御協力いただいております。
空き家所有者の相談は多岐にわたっており、幅広い専門家に御協力いただけることは大変有益であると考えておりまして、今後、相談会を運営する中で、御質問いただいたような専門家が必要となった場合は、専門知識を有する団体や協会などを通じて御協力をお願いすることを考えてまいりたいと思います。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。
続いて、(3)民法第233条の改正についてお伺いします。
民法第233条は、いわゆる相隣関係に関する規定です。大学の法学部で物件法を学んだことのある皆さんには大変なじみのある規定であると思います。必ず教科書には出ていますし、試験にもよく出る大変重要な論点として知られている規定ですが、2021年に改正され、本年、2023年4月から改正された規定が施行されています。
民法第233条は、「竹木の枝の切除及び根の切取り」と題された条文で、以前は1項に「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」とあり、2項には「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」と規定されていました。土地の境界線を越えている枝は、所有者に切除させることができ、根の場合は自分で切り取ってよいとする内容です。この条文に2項と3項が追加されたのが今回の改正です。
具体的には、2項において「竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。」と、共有である場合の対応方法が定められています。また、3項においては土地の所有者が枝を切り取ることができる場合についての定めがあり、第1号において「竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。」、第2号において「竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。」、さらに第3号で「急迫の事情があるとき。」として、三つの場合においては、土地の所有者は、その枝を切り取ることができるとされています。
なお、この場合においては、隣地に立ち入って枝を切除することも認められています。これは、民法第209条1項3号の改正で、この民法第233条の改正に合わせて改正されました。第2項と第3項が追加されたため、もともと第2項にあった竹木の根に関する内容は、第4項として、項が改められました。
以上が改正の内容です。
改正前の条文では、竹木の所有者に切除を要求したが応じてもらえない場合に関する規定がありませんでした。このため土地の所有者の側が竹木の所有者に対して枝の切除を請求する訴訟を提起して、判決を経て、強制執行によって、かつ竹木の所有者の費用負担で第三者に切除させるという方法でなければなりませんでした。ただ枝を切ってもらうというだけのためにわざわざ裁判を起こさなければならないというこの手続は、相当の負担があり、時間も労力もかかります。しかも、枝が越境するたびに、その都度裁判を提起しなければならないという状況でした。実際に裁判までするというケースは多くはなかったのではないか。したがって、枝もやむを得ず放置されたままになってしまうというケースが多かったのではないかと私は推測しております。
本日のテーマである空き家との関連で考えますと、空き家となって放置されていた隣地の庭から木の枝が伸びて境界を越えて自分の土地まで伸びてきたという場合において、これまでであれば、まずは所有者に切除を要求し、応じてもらえない場合には裁判を起こし、判決を経てから第三者に切除させるという手続を踏む必要がありましたが、今後は、竹木の所有者に切除を要求しても切除されない場合には自分でその枝を切り取ることができるという流れで対応ができるようになったということです。
この改正については、巷間、あまり知られていないようですが、私は、大変重要な改正であると感じております。これまで解決が難しかった多くの問題を解決していける可能性を持っていると感じております。
なお、この規定は土地の管理一般に関する規定ですから、当然に自治体が管理する土地と民地との間の関係にも適用されることとなります。例えば、市の管理する道路に民地から大きく枝が境界線を越えて伸びていて通行の妨げになっているような場合についても、一定の手続を経ることで法にのっとった形で枝を切除することができるようになります。
しかしながら、法文上、切り取る枝の範囲に関する記述や費用負担に関する記述がありません。また、適用範囲をあらかじめ限定しておくということも重要です。必要な範囲を超えて適用していくことは、権利の乱用として反対に不法行為を問われる可能性もありますし、竹木の所有者に対する財産権の侵害に当たる可能性もあると考えられます。自治体として、具体的にどのような場合に適用し、どう対応していくのかあらかじめ想定して、一定のルールを検討しておく必要があると感じます。
そこでお伺いします。
まず、通常の対応についてです。例えば、代表的な事例として、市の管理する道路に民地から大きく枝が境界線を越えて伸びていた場合、市としては、通常はどのように対応しているでしょうか。また、対応のためのルールを定めているかお知らせいただければと思います。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 市の方へ道路への樹木等の越境に対応するよう依頼があった場合、まず現地を確認し、該当する土地の所有者を調査し、文書にて土地所有者に越境した樹木を伐採していただくよう指導をしております。
道路構造令におきまして、自動車や歩行者等の安全な通行を確保するため、電柱、信号機、樹木などが道路上で侵してはいけない空間を建築限界と定めており、高さで申しますと、車道の場合は4.5メートル、歩道の場合は2.5メートルと定められております。このため、建築限界を侵していて、安全に通行することができないと判断した場合に対応しております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 該当する土地の所有者を調査し、文書にて土地所有者に越境した樹木を伐採していただくよう指導をしているとのことでしたが、土地の所有者が不明である場合についてはどのように対応しているでしょうか、お伺いします。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 土地所有者を調査し、所有者が分からなくなった際に建築限界を侵している場合、視界を遮っている場合、道路へ倒れている場合など、安全に通行することができないと判断した場合のみ緊急措置として必要最低限の伐採を行っております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 今回の改正は、竹木の所有者に枝の切除を要求しても対応しない場合、また、竹木の所有者と連絡がつかない場合であっても、枝が境界を越境していれば一定の条件の下、枝を切り取ることができるという内容の改正ですので、これまでよりもより行動を起こしやすくなる、より問題に対処しやすくなるということであると考えられます。今後、この法改正による対応を適用していく可能性はあるでしょうか、お伺いします。
○青山義明議長 建設部長。
◎鈴木伸尚建設部長 法改正が行われてましても、原則、土地所有者が対応することに変わりはございません。このため市といたしましても、現在のところ、これまで同様、道路に越境した樹木の伐採につきましては土地所有者に指導してまいりたいと考えております。
しかし、法改正されたこともあり、今後の対応につきましては、他市の動向を注視しながら研究してまいりたいというように考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 ぜひ他市の動向について研究をお願いしたいと思います。
私が確認した事例では、大阪府の交野市で、実際にこの改正後の民法を根拠として竹木の所有者の同意なしに枝を切除したという事例がございました。報道によれば、この木は道路に大きくせり出した木であって、通行にかなりの支障があり、車も枝を避けて通るほどだったということです。2年以上前から枝の管理を所有者に対して促していたものの対応してもらえなかったため、改正民法の施行を機に市による切除に踏み切ったというお話でした。
なお、この事例では、費用は竹木の所有者に請求する方針であるということでした。
全国でもまだ事例は限られているようですが、今後、こうした案件が増えていくということは容易に考えられます。この事例が一つの目安となってくることと思いますが、他市町村での事例も踏まえながら、ぜひとも参考に御検討をいただければと思います。
なお、民法の改正を受けて多くの自治体では、改正前後の内容の違いや注意点などについてホームページを通じて情報提供をしております。自治体によっては、どういう場合に切除してよいかといった、ある程度具体的な内容についても助言をしているという場合もありました。また、困り事がある場合には市の無料法律相談などで相談するよう進めている自治体もございました。
先ほども少し触れましたが、今回のこの法改正についてはあまり知られていないのではないかと感じられますので、市民に対する情報提供や注意喚起が必要ではないかと思います。ホームページ上で法改正の概要を紹介しお知らせするだけでも重要であると思います。お考えをお聞かせください。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 これまでの民法第233条では、隣地から越境した竹木の枝を越境されている土地の所有者が自分で切除をすることは認められておらず、竹木の所有者に切除を求める訴えを提起する必要があり、手続の負担が過重でありました。
令和5年4月から施行された改正民法第233条では、原則は従来どおり竹木の所有者に切除を求めるべきとしていますが、催促しても越境した枝が切除されない場合や竹木の所有者やその所在を調査しても分からない場合等には、越境されている土地の所有者によって竹木の枝を切除することが可能となる内容に変わっております。市民に対する情報提供や注意喚起につきましては、速やかに市ホームページなどを活用しまして行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 既に様々な自治体においてホームページを通じた情報提供の事例がありますので、ぜひ御覧いただき、参考にしていただければと思います。
続いて、(4)草刈りについてお伺いしていきます。
空き家と空き地を取り巻く問題において草刈りは非常に大きな問題です。ここでは、市有地の場合と民地の場合とで分けてお伺いしたいと思います。
まずは、市有地の草刈りについてです。市が所有する土地の中にも、利用予定が定まっておらず、空き地となっている土地が幾つもありますし、道路の予定地となっている土地についても、工事が始まるまでの間は空き地として管理されていることと思います。市有地の空き地においても雑草が繁茂している様子を見ることも少なくありませんが、こうした土地の草刈りについてはどのように対応しているでしょうか。草刈りの頻度や回数についてお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 現在、市有地の草刈りにつきましては、年1回から2回程度、土地の状況に応じて、シルバー人材センターや障害者就労施設、造園業者などに委託して実施をしているところでございます。道路予定地につきましては年1回程度の草刈りを造園業者に業務を委託し、学校の校庭につきましては年4回の草刈りをシルバー人材センターなどに委託をしております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 次に、民地の場合についてお伺いします。
市有地においては少なくとも年に1回は草刈りがあるとのことでしたが、管理者不在の民地においては、年に1回の草刈りもないので、日々雑草が繁茂する一方です。夏のこの時期は、特に雨が降るたびに草木が大きく勢いよく成長します。大きなものでは私の背丈を超えるほど、2メートルにも達するのではないかと思われるほど大きく伸びる種類もあります。そこまで伸びてしまった草を刈るのも大変な作業です。人が住んでいる庭の草の管理でも大変なのに、空き家、空き地においては管理する人がいないため、草は伸び放題となってしまい、人が立ち入れないほどになってしまうと言っても過言ではありません。
また、草刈りがされていない土地にはごみが投げ捨てられていることも多くあります。一旦ごみが投げ捨てられると徐々にいろいろな人がごみを捨てていくようになり、日に日にごみの量も増えていきます。また、管理する人がいないので、ごみは撤去されることなく、たまっていく一方です。ごみがたまっていけば衛生環境も悪化して、悪臭が発生するもととなったり、動物がすみついたりしてしまう可能性もありますし、害虫が発生する可能性も高まります。そうなると、ますます土地も家屋も荒れてしまう、そんな悪循環につながっていきます。近隣の住環境をも悪化させ、よいことは何もありません。
その意味では、適切な草刈りは、空き家・空き地管理の第一歩ともいうべきであって、適切に草刈りができているかどうかは、空き家・空き地管理が適切にできているかというバロメーターになるとでもいうべき状況であると思います。草刈りの問題は、空き家・空き地の管理と切っても切れない大変重要な問題であると言えます。
民地であれば、当然、管理の責任は、その所有者にあるということになろうかと思いますが、空き家や空き地となってしまっている場合、所有者に管理責任を負わせることは事実上かなり難しいと言わざるを得ません。所有者が不明である場合や所有者と連絡がつかないという場合も考えられますし、遠方に住んでいて、管理のために通うことが困難であるという場合も考えられます。議員に対しても民地の草刈りについては苦情が寄せられることがままありまして、私としても対応に大変苦慮しているという現状もあります。
以上のような状況を踏まえ、雑草が繁茂している土地の所有者に対しては、市としてどのように指導をし、また、助言をしているのでしょうか、お伺いします。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 空き地など民有地の雑草繁茂に係る苦情につきましては、毎年、多数寄せられ、令和4年度では環境清掃課に170件を超える苦情が寄せられております。
こうした苦情に対する市の対応としましては、まずは現場を確認させていただきながら、土地所有者の調査を経て、所有者に対しまして草刈りなど土地の適正管理を行うようお願い文書を送付して改善を求めているところでございます。
また、市民の皆様に対しましては、ホームページや広報がまごおりを活用しまして、定期的な草刈りや樹木の剪定など、土地の適正管理について啓発しているところでございます。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 私は、やはり注意喚起だけでは不十分ではないかと感じます。雑草の管理がきちんとできているのであれば、そもそも空き家や空き地として放置されることもないと考えられるからです。所有者の方が、もっと簡単に、楽に土地を管理できるようにならなければ、この雑草の問題は解決しないのではないかと思います。
そこで提案があります。土地の所有者が草刈りなどの簡易な管理について市に委託できる制度を創設してはいかがでしょうか。また、市から草刈りの業者を紹介してはどうでしょうか。この管理の委託制度、あるいは業者の紹介の制度は、既にほかの多くの自治体で事例がございます。自治体からの費用の補助などはない制度ではございますが、非常に利用しやすい形になっていると思います。蒲郡市においても同様の制度を検討する価値はあると思いますが、お考えをお聞かせください。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎飯島伸幸市民生活部長 土地は、所有者が責任を持って管理していくものであります。個人が管理している土地の草刈りにつきましては、個人の責任において雑草を刈り取るなど、適正に行っていくべきものであると考えており、所有者が市に草刈りを委託できるような制度の創設につきましては、現時点では考えておりません。
また、草刈り業者の紹介につきましては、土地適正管理のお願い文書において、御自身で実施できない場合にはシルバー人材センターや市内の造園業者に御相談いただくよう紹介しているところでございます。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 先ほども申し上げたとおり、伸びる雑草の管理がきちんとできているのであれば、そもそも空き家や空き地として放置されることもないと私は考えますので、既に原則論に終始するような段階は過ぎているのではないか。何も対応しなければ、このままいつまでも問題を解決できないまま放置することにつながってしまうのではないかと思います。ぜひ再度の御検討をお願いしたいと思います。
もう1点提案があります。自動で草刈りをしてくれるロボットを導入してはどうでしょうか。家の中を動き回って自動で掃除をしてくれる、あのロボットと同じようなイメージで、空き地を自動で動き回って自動的に草刈りをしてくれる、そんなロボットがあります。障害物があればよけられるし、斜面があっても登っていける。電池がなくなれば自動的に充電をして、また動き出してくれる。暑い夏の日も、寒い冬の日も、24時間関係なく働いてくれる、そんな草刈りのためのロボットが開発され、既に実用化もされております。
実際に公園の除草や道路の中央分離帯の除草、学校の校庭や保育園の園庭の除草など、既に幾つもの自治体で事例があり、様々な場面で使われております。価格帯は様々で、数十万円から数百万円に及ぶものまであり、価格に比例して機能やオプションも充実していくような形になっています。購入して利用するということも可能ですし、リースで利用するということも可能です。人が刈らなくてもよいような土地の草刈りはロボットに任せ、人でなければ対応できない土地の草刈りを人が刈るようにすべきであると思います。そうすることで、結果として草刈りの頻度を増やすことができますし、費用も節減でき、より効率的に草刈りができるようになると考えられます。お考えをお聞かせください。
○青山義明議長 総務部長。
◎平野敦義総務部長 市が管理する市有地などは、平地だけではなく、傾斜地などもあり、草刈りロボットの導入につきましては、作業する場所の環境によって必要とする性能が異なり、それにより価格及び機種を検討する必要があるというように考えております。また、草刈りロボットを導入すれば、草刈り頻度を増やすことは可能となりますが、導入費用や維持管理費などの経費もかかってまいります。
先ほども申し上げましたが、現在、市では草刈り業務の一部を障害者就労施設に委託をし、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援しておりますので、そういったことも含めて考えながら草刈りロボットの導入については研究をしていきたいというように考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 国土交通省がロボットを利用した草刈りと人力による草刈りに係るそれぞれの費用を比較した試算を行っています。年3回の人力による草刈りと毎日機械によるごく短い草刈りを実施した場合の費用の差ですが、最初の4年目までは人力による草刈りのほうが費用が安く済みますが、5年目以降はロボットのほうが安くなり、8年目の機械の更新時にはロボットの費用が再び高くつきますが、9年目以降はロボットのほうが安くなるという結果でした。確かに導入のための費用や維持管理費用がかかりますが、複数年にわたる利用を考えた場合、人力よりも安くなるということがこの試算から明らかになっています。
また、機械で草刈りをする場合のメリットとして、毎日ごく短く草を刈るので草を集めて処分することが不要になるということや、芝を刈る位置が高いため芝生が良好な状態に保たれるという点も挙げられておりました。
なお、実証実験というレベルでは、神奈川県藤沢市や静岡県においても事例がございます。また、農林水産省においても、これは農家向けの取組ではありますが、実験や研究が現在も進められているところです。蒲郡市においても検討する価値は高いと思いますので、ぜひとも研究をお願いしたいと思います。
また、ロボット草刈り機を導入する際には、ぜひとも空き地や空き家への対応、また、農家の皆様への対応として、民間への貸出しについても併せての御検討をお願いしたいと思います。
以上、本日は空き家をきっかけとして、空き家を取り巻く様々な課題について問題提起をさせていただきました。いろいろな角度から多くの専門家の関与も得て解決に向けて継続的に取組を進めていく必要があると思います。本日取り上げた点についての前向きな御検討を期待して、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。