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フリースクールとフリースクールに通う子どもたち・家庭への支援について(2024年6月・一般質問)

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◆藤田裕喜議員 続きまして、2、フリースクールとフリースクールに通う子どもたち・家庭への支援についてお伺いします。
 初めに不登校の現状について確認をさせていただきたいと思います。2023年10月に公表された文部科学省の調査によると、小中学校における不登校児童生徒数は29万9,048人でした。前年度2024年は24万4,940人であり、5万4,108人、約22.1%増加し、過去最多となっています。不登校児童生徒数は10年連続で増加しているとのことです。愛知県の小中学校においては、令和3年2021年のデータになりますが、1万6,959人で過去最多でした。前年の令和2年、2020年は1万3,263人で3,696人増加したという状況になっています。蒲郡市の子どもたちにおいても不登校が増加しているという同様の状況があるのではないかということは容易に想像されますが、まず(1)蒲郡市における不登校の現状についてお伺いします。
 小中学校で把握している不登校の児童生徒の数について、最新の状況と直近数年間の推移についてお知らせいただけますでしょうか。

○青山義明議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 不登校児童生徒の数は、小中学校ともに増加傾向にあります。令和元年度には小学校が29名、中学校が60名でございましたが、令和5年度には小学校が51名、中学校が138名に増加しております。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 蒲郡市も増加傾向にあるということが分かりました。
 次に、フリースクールについてお伺いします。不登校の子どもたちの新たな選択肢としてフリースクールに通う子どもたちが増えています。平成27年、2015年の文部科学省の調査によれば、フリースクールは全国に474箇所あり、このうち在籍者数を回答した319施設には4,196人が通っているということでした。本調査からは既に9年近くが経過しておりますので、この間、不登校の児童生徒の数も増え続けているということを考えると、フリースクールの施設の数も、通う子どもたちの数も大幅に増加していることが考えられます。
 そこで(2)フリースクールに通う市内の児童生徒の現状についてお伺いします。蒲郡市においてフリースクールに通っている子どもたちの数はどのような状況でしょうか。最新の状況と直近数年間の推移についてお知らせいただけますでしょうか。また、どこのフリースクールに通っているかという点についても、可能であれば把握している内容をお知らせいただけますでしょうか。

○青山義明議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 本市でフリースクールに通っている児童生徒の数につきましては、令和3年度には小学校が4名、中学校が1名でしたが、令和5年度には小学校が7名、中学校が4名となっています。具体的に、どこのフリースクールに通っているかにつきましては把握しておりますが、控えさせていただきます。市内の施設から近隣市町だけでなく、県外の施設に通っている児童生徒もいます。
 以上です。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 現状については了解いたしました。なお、蒲郡中学校では校内フリースクールという取組を進めていただいていると思います。本日テーマとしている民間のフリースクールとは異なると思いますが、どういった特徴があるのか。どのような子どもたちが利用しているのか。また、課題は何かなど、現状についてお知らせいただけますでしょうか。

○青山義明議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 蒲郡中学校の校内フリースクールにつきましては、不登校生徒が教室の復帰を目指し、安心して生活できる居場所づくりとして、不登校支援教室「ステップルーム」を設置しております。担当として不登校支援教室補助員を年間900時間の範囲内で配置し、不登校生徒と教職員の支援をしております。利用者としては、学校には登校できるが教室には入れない生徒、学校生活のトラブルによる一時的なクールダウンや気持ちの切り替えが必要になった生徒が対象になっています。
 課題につきましては、利用する生徒の増加に伴う対応教員の不足が挙げられます。学習支援も必要となるため、教職経験の豊かな教員の常駐の配置が必要であると考えております。
 以上です。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 大変よく分かりました。校内フリースクールには不登校支援教室補助員さんが配置されているというお話がございましたが、学習支援が必要であるため、教職経験の豊かな教員の常駐の配置が必要であるということでした。この点については、私としてもぜひ財政的な側面からの対応支援をしていただくようお願いしておきたいと思います。
 さて、フリースクールについては、近年になってようやく学校に代わる学びの場である、子どもたちの居場所であるということが広く認識されるようになってきました。特に平成28年、2016年に公布された義務教育段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法に明確に規定されたことが大きな転換点となりました。同法は不登校の子どもへの支援について、体系的に定められた初めての法律で、5つの基本理念が定められております。そのうちの1つとして、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすることが規定されています。この多様な学習活動という言葉がフリースクールなどの場を指していますが、このための施策を実施するために必要な財政上の措置を講じることも同時に定められております。
 また、この法律に基づいて定められた基本指針においては、基本的な考え方として、不登校は取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮し、児童生徒の最善の利益を最優先に支援を行うことが重要であるとあり、不登校は決してネガティブなことではないと明確に述べられています。さらにこれを受けて、令和元年2019年10月には、不登校児童生徒への支援の在り方についてという通知が文部科学省から発出されています。この通知によると、不登校児童生徒への支援は学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があることが支援の視点として提示されています。つまり重要な前提としてぜひとも共有をしておいていただきたいのは、フリースクールは学校に代わる学びの場として既に重要な役割を果たしており、そうした現状に基づいて支援をしていく必要があるということです。不登校はよくない。ネガティブな状況であって、1日も早く地域の学校に戻さなければならないという考え方は、もはや大変古く、捨て去らなければならない考え方であって、実態には全く合わない考え方であるという方針を文部科学省も取っているということです。
 これらを踏まえて、(3)フリースクールに対する教育委員会の見解についてお伺いします。教育委員会としては、フリースクールについてどのように考えているかお聞かせいただけますでしょうか。

○青山義明議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 フリースクールの存在が不登校児童生徒の学びや社会的自立を支援していることは事実であり、教育委員会としましても柔軟に対応している状況であります。今後も文部科学省が策定した基本方針にのっとり、フリースクールなど民間教育施設に通う不登校児童生徒の状況を把握し、施設の取組への理解を深め、必要な連携を進めてまいります。
 また、現在、蒲郡中学校内に設置している不登校支援教室の運営につきましても、柔軟な対応ができるように人的、物的な環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 ぜひお願いいたします。
 次に(4)フリースクールに関する相談についてお伺いします。教育委員会では、不登校に関する相談を受けられていると思いますが、その中で、フリースクールに関する相談はあるかどうか、ある場合は、どのような内容であるかお知らせいただけますでしょうか。

○青山義明議長 教育長。

◎壁谷幹朗教育長 教育委員会への相談もありますが、基本的には学校への相談のほうが多いようです。相談内容につきましては、蒲郡市内の該当する施設ですとか成績のこと、出席扱いについて、このような質問が多く寄せられています。
 以上です。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 分かりました。私が聞いているところでは、フリースクールに通わせることによる経済的な負担が大変大きいという声が多いのが実情ではないかと思います。NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが2023年に実施した調査によると、「不登校で支出が増えた」という家庭は9割を超えています。食費や交通費、通院の費用やカウンセリングに係る費用、フリースクールに係る費用などの負担が増えたということです。また、「不登校をきっかけに親の働き方が変化した」という声もあります。「仕事の早退や遅刻、欠勤が増えた」という親が43.9%、「退職をせざるを得なかった」という親が13.3%、「休職、転職をせざるを得なかった」という親が12.7%と、不登校以前の生活をそのまま続けられない事例も多くあるということが分かります。また、フリースクールが家の近くにない場合も多く、送り迎えに時間と費用を要してしまうことや、学費が高いために複数の仕事を持たなければならないという状況もあります。この結果として「不登校をきっかけに収入が減った」という世帯は33.6%と全体の3分の1を超えています。また、この調査において経済的な支援を求める保護者は68%で、非常に切実な問題であるということが分かります。
 そこで、フリースクールで子どもを通わせている家庭に対して、また、フリースクールを運営している団体等に対して、それぞれ市から補助や助成ができないでしょうか。実際に滋賀県東近江市、福岡県大野城市、長野県飯田市、神奈川県鎌倉市など、既に全国でも30を超える多くの自治体で補助、助成が支給されています。愛知県内では大府市と田原市において既に補助金が支給されています。田原市の補助金はフリースクールの運営者に対する補助金で、大府市の補助金はフリースクールを利用する家庭に対する補助金です。それぞれ性格は異なりますが、県内においても補助金を支給するという動きが徐々に広がりつつあるのが現状ではないかと思います。
 また、全国各地で保護者の皆様を中心とした政策提言活動、請願、陳情活動も広く展開されていますので、フリースクールに対する補助、フリースクールを利用する家庭に対する補助は、もはや全国的な流れにあるといっても過言ではない状況です。
 愛知県でも2023年3月には愛知県議会において全会一致で不登校児童生徒の多様な学びの機会の確保についての意見書が採択されています。特にこの意見書の中では、フリースクールの授業料が高額であることが指摘されており、経済的な理由で通所を諦める事例があることについても触れられています。また、知立市議会でも不登校児童生徒に対して多様な学習機会確保のための経済的支援制度の確立を求める意見書が全会一致で採択されています。蒲郡市においても不登校の児童生徒が増え続けている現状、そして不登校の児童生徒の少なくない人数がフリースクールへ通っていることを踏まえれば、何らかの経済的支援についても制度をつくっていく必要があるのではないかと考えます。
 そこで(5)フリースクールに児童生徒を通わせている家庭やフリースクールを運営している団体等を支援することについてお伺いします。フリースクールに児童生徒を通わせている家庭に対して、またはフリースクールを運営している団体等に対して、市から補助や助成をすることについてお考えをお聞かせください。

○青山義明議長 教育部長。

◎岡田隆志教育部長 藤田議員御指摘のとおり、全国にはフリースクールを利用している児童生徒の保護者に対して補助金制度を実施している自治体がございます。
 また、フリースクールは不登校児童生徒の学校以外の居場所としても重要な役割を担っており、そのフリースクール等の民間施設に通うための費用が保護者の負担となっているということも認識いたしております。
 家庭の経済的負担の軽減を考える中で、研究すべき論点であると思いますが、本市におきましては、まずは市として身近な場所での居場所を確保するということで、蒲郡中学校に校内フリースクールの設置を行ったところでございます。蒲郡中学校では、それぞれの不登校生徒に寄り添った対応をするために校内に居場所をつくり、予算を配当して支援員を常駐させてしっかりと見守るという取組をいたしております。この取組を検証しながら、それぞれの生徒の事情に合わせた学校ごとの取組を共有し、市内の各学校に広げていくことが大切だと考えております。
 補助や助成につきましては、こうした方向性と関連させながら、その効果や課題等について調査研究し、適切な支援が進むよう努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

○青山義明議長 藤田裕喜議員。

◆藤田裕喜議員 子どもたちの多様な学習活動を支えるためにも、ぜひとも経済的な支援をしていただくようお願いしたいと思います。前向きな御検討をお願いします。この件については、以上で終わります。ありがとうございました。

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