◆藤田裕喜議員 議長の許可をいただきましたので、通告の順に従い一般質問をいたします。
まず、1、国際ロマンス詐欺(SNS型ロマンス詐欺)についてお伺いします。
国際ロマンス詐欺(SNS型ロマンス詐欺)とは、SNSなどによって連絡を取り、恋愛感情をあおりながら、最終的には金銭を要求しだまし取るという新手の詐欺です。近年大変な広がりを見せていると感じます。私の周りでも「海外の見知らぬ人からSNSを通じて連絡があり困っている。これは詐欺ではないか」とおっしゃる方が少なからず見られるような状況が続いております。私自身にも海外の見知らぬ人から連絡が届くことがままあります。立場上、お会いしたことのない方、あるいは直接存じ上げない方からの連絡をいただくということは決して不思議なことではないと思うのですが、したがって、その全てを警戒しているというわけではないのですが、明らかに議員への相談が目的ではないという連絡や、明らかに詐欺や出会いを目的としていると分かる連絡が増えてきているという実感がございます。
こうした状況に警察庁長官も危機感を感じていらっしゃるようで、2024年5月に開催された警察庁幹部と全国の警察本部の刑事部門の幹部が集まる全国刑事部長会議では、露木康浩警察庁長官が「SNS型投資ロマンス詐欺についても大幅に増加しており、極めて憂慮すべき状況にあります。全国警察が一体となった捜査を推進していただきたい。警察の責任は極めて重い」と述べるなど捜査の徹底を指示したと報道されております。警察としても本腰を入れてこの問題に取り組んでいくという姿勢も明らかになっております。急速な広がりを見せている新手の詐欺に対して、新たな被害者を生まないための取組が必要であると感じます。
犯罪への対策は一義的には警察の役割ではありますが、現に市民が被害に遭っているということ。また、今後も市民が被害に遭う可能性が高いため、行政としても取り得る対策に取り組んでいくべきではないかと考え、今回一般質問で取り上げることといたしました。
そこでまず(1)市内における被害の現状についてお伺いします。国際ロマンス詐欺の被害について、全国と愛知県内、そして蒲郡市内における直近の件数や被害額についてどのような実態があるでしょうか。また、どのような方が被害に遭っている傾向があるのか。年代や性別なども含めてお知らせいただけますでしょうか。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎大森康弘市民生活部長 ロマンス詐欺に関しまして、令和5年度の全国の認知件数につきましては1,575件で被害額は約177億3,000万円となっております。令和6年1月から6月までの認知件数につきましては1,498件で前年同期比842件の増、被害額は約153億9,000万円で前年同期比で82億6,000万円増となっております。1件当たりの平均被害額が1,000万円を超えており、中には1億円を超える被害も確認されております。
愛知県での令和6年1月から6月のロマンス詐欺の認知件数は27件で、被害金額は約1億4,400万円に上っております。蒲郡市警察署管内での認知件数は1件で、被害金額は70万円となっております。
ロマンス詐欺の傾向としましては、被害者の年齢層は、男性は50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多いことが挙げられております。男女比は、男性が48.4%に対しまして女性が51.6%で、女性の被害がやや多い傾向にあります。また、金銭等の要求の名目としては、投資話を持ちかけてくるケースが大半で、SNSの普及に加え、投資への関心の高まりも背景にあるように感じております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 今年に入ってからの半年間で既に昨年1年間に追いつきそうなペースで被害が発生しているという実態がよく分かりました。また、これらはあくまで認知件数で警察に届けのあった件数のみを集計しているという状況ですから、実態は恐らくもっと件数が多い、被害額も大きいのではないかということが容易に考えられると思います。やはり非常に憂慮すべき状況にあると感じます。
では次に、(2)対策についてお伺いします。この国際ロマンス詐欺(SNS型ロマンス詐欺)に対して、どのような対策が取り得るか考えていきたいと思います。そのための参考といたしまして具体的な事例を1つ御紹介したいと思います。
私の友人で東三河在住の40代男性の方が実際に接した事例でございます。取っかかりはフェイスブックのメッセンジャーというアプリでした。自分が投稿していた写真について、「この写真が美しいですね、どこで撮ったのですか」というメッセージが送られてきたというところから会話がスタートしました。最初の日は、「今は何をしていますか。今日は何をしますか」といった何げない会話から始まり、家族構成や趣味など、プライベートな情報を共有しお互いの写真も交換して終わりました。大変きれいな女性の写真が送られてきたということでした。2日目に友人が受け取ったのは、「実は自分はアフガニスタンに派遣されたアメリカ兵である。そしていつか日本に行きたい。軍を退役したら新しいビジネスに取り組みたい」といった趣旨のメッセージでした。そして「もっとあなたのことを知りたい。結婚しているのですか。家族はいるのですか、子供はいるのですか。将来の計画は何ですか」といったことなども聞かれたということです。3日目になると、「自分のことを愛し分かってくれる人と結婚したい。あなたのことが大変気に入っている。軍隊を辞めて結婚して子供を育てたい」といったメッセージが急に送られてきたそうです。また、もちろんそれだけではなく、「今は何をしているのか、これから何をするのか」といった通常の会話を続けられていたということです。
その後、しばらく間が空くのですが、10日目になって「悲しいことがあった」と連絡があり、内容を聞くと、「自分は特別に選抜されて、アフガニスタン東部で展開されるタリバン総統の特別な作戦に加わることになった。大変重い困難な任務だが、やり遂げれば大きく昇進することができる」と続けられ、「このミッションが終わったら日本へ行く」と連絡があったそうです。そしてさらに続けて「明日いよいよアフガニスタン東部へ出発する。愛している、無事を祈っていてね」というメッセージが送られてきました。そしてその翌日ですが、「ミッションは無事に終わった。3人を失い多くが傷を負ったが、自分は軽く済んだ。ミッションのさなか3,500万米ドルを発見し、これを指揮官の許可のもと部隊で分け合うことになった」というお話があったそうです。なお3,500万米ドルは日本円に換算するとおよそ52億円です。御丁寧に現金が入っている箱の写真も送られてきたということでした。そして「このお金を荷物としてイギリスの会社に送る。そしてそこからあなたに送る。ついては住所など連絡先の詳細を教えてほしい。あなたがお金を受け取ったら、軍隊を辞めて日本に行って、あなたと暮らす」というお話があったそうで、友人が会話を続けたのはここまでということでした。友人は住所などの個人情報を伝えることなく、メッセージのやり取りを終了しましたが、国際ロマンス詐欺に関する被害の報道、あるいは警察の資料などを見ると、住所を伝えた後、どのような流れで展開していくかということが分かります。
簡単に紹介しますと、住所を伝えると「荷物を発送した」と連絡があり、「空港や港、税関などの担当者に詳細な内容が伝えてあるので連絡を取ってほしい」と言われ、その連絡先のメールアドレスが伝えられてくるそうです。そして指示された担当者に連絡をすると、「受け取りにお金がかかる」と言われ、いよいよここでお金が請求されてくるということとなります。ここで請求されるお金は10万円程度であったり、100万円程度であったり、その金額はまちまちです。その後も、今度は「税関を通すためにお金が必要だ」とか、「担当者に賄賂が必要だ」と言われるケースなど、様々あるそうです。このように段階的にお金が請求されていくという点にこのパターンの特徴があります。
事例の紹介は以上ですが、あまたある国際ロマンス詐欺の一端を示すこの事例から分かる重要なこととしては、まず、日常会話を通じてプライベートな情報も共有しつつ、親近感を抱かせていくという点、そして「自分のことを愛し、分かってくれる人と結婚したい。あなたのことが大変気に入っている」などと直接的な言葉で伝えて恋愛感情をあおり、恋愛感情を抱かせるという点、そして相手に「実際に会いたい、会って日本で一緒に暮らしたい」と思わせて信じ込ませるという点、そしてその挙げ句にだますという手口の実態です。
ここで対策について考えていきたいと思います。もちろん一番の対策はSNSをやめる、使わないということですが、さすがにそうもいかないと思いますので、私が考える対策として3点、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
1点目が、市の広報等による啓発です。こうした詐欺があるということ自体は、恐らく周知の事実ではないかと思うのですが、引っかかってしまう人の多くが、「まさか自分が引っかかるとは思わなかった」とおっしゃっています。それは恐らく詐欺の手口が余り知られていないからではないかと思います。しかし、詐欺の実際の手口については一定のパターンともいうべき典型的な流れがあることが既に明らかになっています。先ほどの事例もよくあるパターンの1つです。こうした実態を知っていただくということが、まずは必要ではないかと思います。多くの人が日常的にSNSを使っている時代です。詐欺班は手当たり次第SNSからメッセージを送っていますので、SNSを使っていれば誰でも被害者になり得ます。誰もが人ごとではありません。広報がまごおりやホームページ、市の公式SNSなどを利用して国際ロマンス詐欺について、特によくある手口を紹介しながら注意喚起をしていただけないでしょうか。お考えをお聞かせください。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎大森康弘市民生活部長 市の広報や地域における会議等におきまして、随時、特殊詐欺被害防止全般に関する啓発を行っております。今月末発行の広報10月号で特殊詐欺被害に関する特集の予定をしているところであり、ロマンス詐欺についても掲載してまいりたいと思っております。また、独立行政法人国民生活センターや警察庁、愛知県警察本部のホームページにも事例つきでロマンス詐欺の被害防止について掲載されておりますので、市のホームページでもそれらを活用しながら注意喚起を図っていきたいというように思っております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 特殊詐欺の特集の中でロマンス詐欺についても掲載するとのことでしたが、私としては、ぜひ特殊詐欺とロマンス詐欺は別物として考えて扱っていただくとよいのではないかと感じております。
警察庁発表の資料によれば、令和5年、2023年の1年間でSNS型ロマンス詐欺は1,575件、被害額は177.3億円、SNS型の投資詐欺は2,271件で277.9億円の被害でした。その合計は3,846件で被害額は455.2億円に上ります。一方、特殊詐欺については1万9,038件と件数は確かに多いのですが、被害額は452.6億円という状況でした。つまり被害金額の合計額も、1件当たりの被害額もSNSよる詐欺のほうが大きいということが分かります。主戦場は取っかかりから電話を用いない手段、SNSに取って代わりつつあるといっても過言ではない状況にあると考えられます。したがって特殊詐欺の一部、あるいは特殊詐欺の一形態であるといった紹介ではなく、近年急速に増加している悪質な詐欺の事例として特殊詐欺と国際ロマンス詐欺がある。また、本日は深く立ち入らないのですが、有名人などの写真などを悪用したSNS型投資詐欺も大変被害額と被害件数が増えている。そうした新手の悪質な詐欺の事案が増えているので御注意をお願いしたい。このような枠組みで御紹介をいただけるといいのかなと思います。こうした事実、実態も踏まえた注意喚起をお願いしたいと思います。
2点目は、市の相談窓口における対応です。この国際ロマンス詐欺の特徴は、先ほどの事例からも分かるように、本人をその気にさせてお金を送金させるという点にあります。被害に遭う方は相手との関係性ができていると思い込んでいて、お金さえ払えば相手に会えると信じ込んでいます。ひどい場合はメッセージをやり取りしてきた相手の方は悪くなく、賄賂や手数料を要求してくる空港の担当者や運送会社、税関のほうが自分をだましていると信じ込んでいる場合もあるようです。相手を信じ込んでいればいるほど繰り返しお金を振り込んでしまうという悲しい実態があります。SNSのプロフィールに使われている写真や本人の物として送られてくる写真は、決まって美女、美男の写真で、実際には本当に本人かどうか確かめるすべもないですし、そもそも本当に実在する人かどうかも分からないのですが、そうした美しい写真を見せられると信憑性が増して勘違いして信じ込んでしまうというケースが多いようです。
ルポ国際ロマンス詐欺を表した水谷竹秀氏は、被害者には離婚歴があるとか、家庭内別居状態にあるとか、配偶者と死別した高齢者など、悩みを抱えて孤独を感じていたという共通する特徴があると指摘しています。特に「お金を振り込まないと相手との関係で切れてしまうのではないか。何とか結婚したいと思っていた」といった被害者の心理状態が巧妙に相手に利用されているという実態を明らかにしています。犯人にうまくつけ込まれてしまっているという状況です。巧妙に相手を信じ込ませるプロセスが何げないメッセージの中にも折り込まれているということがあるそうです。そしてお金を送った後に急に冷静になって、あれこれ問い合わせたり、連絡したり、確認したりする方が多いようなのですが、お金を振り込んでしまったら、もうそのときは遅いというのが現状です。遅くなる前のどこかの段階で誰かに一言でも相談をしてもらえれば被害を防ぐことができるのではないかと考えられます。そこでお伺いします。
市役所で開設している相談窓口について、国際ロマンス詐欺が疑われる事例に接した場合、どのように対応をされているでしょうか。また、相談員の皆様への国際ロマンス詐欺に関する情報提供や研修は実施されているでしょうか。場合によっては、即座に警察につなげてもらうということも必要だと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせいただければと思います。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎大森康弘市民生活部長 市の相談窓口につきましては、よろず相談や法律相談等がありますが、特殊詐欺やロマンス詐欺につきましては、警察相談や消費生活相談窓口に御案内し対応をしております。市役所2階では東三河広域連合が消費生活蒲郡センターを開設しており、様々な消費者相談を受け付けております。
消費生活蒲郡センターでのロマンス詐欺に関する相談の対応状況を聞いてみると、どの案件も自分の個人情報を相手に伝えており、荷物の受取手数料や病気の治療費などと言って、お金を要求してくる内容となっております。相談者には、ロマンス詐欺の手口を説明し、支払いをしてしまうと取り戻すことが困難になることを伝え、決して支払いに応じないように助言をしております。また、相談者は個人情報を相手に伝えたことを心配しており、その場合、個人情報を回収することはできないので、その後の不当請求・架空請求に遭わないように注意を促しております。
相談に当たりまして、センターから警察に取り次ぐことはしておりませんが、相談内容により直接警察に相談に行っていただくか、警察相談の専用電話の御案内をしております。
東三河広域連合から派遣される相談員は、ロマンス詐欺を含む特殊詐欺に関することや消費者が直面する問題など、消費生活相談業務に関する研修を受講し専門知識を有しており、また、随時情報提供を受けながら、このようなSNSによるトラブルの相談にも対応しております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 3点目は、出前講座や講演会の実施についてです。市においては既に多くの出前講座を企画され、また実施をされておりますが、特殊詐欺や国際ロマンス詐欺に関する出前講座は実施をされていないと思います。手口を知っていただくということや、実際の被害状況を知っていただくこと、注意喚起、情報提供の場を設けることは大変重要で必要なことではないかと思います。また、警察署の方々に御協力をいただくということも必要ではないかと思います。こうした出前講座や講話、講演、講演会などの場や機会を設けることについてお考えをお聞かせいただければと思います。
○青山義明議長 市民生活部長。
◎大森康弘市民生活部長 交通防犯課では、公民館などの地域の集会などで高齢者を対象にロマンス詐欺を含む特殊詐欺の講話を行ったり、また、東三河広域連合では、落語や漫談を交えて悪質商法や特殊詐欺に関する出前講座を実施しております。
SNSで知り合った人から金銭の支援を頼まれたり、少しでも違和感を覚えた場合には、詐欺の可能性があることに早急に気づくことができるように、そして警察や信用できる人に相談ができるように、常日頃から知識を得ておくことが重要であると考えております。
そのためにも、ロマンス詐欺のことを知ってもらうための啓発活動を引き続き行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○青山義明議長 藤田裕喜議員。
◆藤田裕喜議員 何とか被害を少しでも減らせるように御検討をお願いしたいと思います。この新手の国際ロマンス詐欺については、何よりお金を振り込んでしまうと、もう取り返すということが大変困難です。犯人から示された口座にお金が振り込まれると、そのお金がすぐに複数の別の口座にばらばらに、散り散りに振り分けられるという流れになっているようで、しかもそれらの口座はいずれも外国銀行の口座で、名義人もそれぞれ異なっているため、一つ一つを後追いしていくということが非常に困難であるという状況があるそうです。また、SNSのアカウントの情報についても、内容の詳細について情報を入手することができたとしても、本人を捕まえるということは大変困難で、基本的には犯人側のほうが足がつかないという方で犯罪行為が展開されているという実態があるようです。今年ようやく警察としても本腰を入れ始めたというところですので、成果が出るまでにも、まだまだ時間を要するのではないかと感じます。そしてその間の被害についても、このままだと増え続けてしまうという危惧を私は抱いております。相手側の手口も日進月歩で、いたちごっこになってしまっているという現状もあることと思います。こうした状況の中で、ただ1つ取り組めること、また、取り組むべきことはやはり注意喚起、情報提供、告知広報に尽きるのではないかと思います。まず、基本的にネットで知り合った、会ったこともない見ず知らずの他人に対してお金を渡すということ自体が異常であるという、ある意味当たり前のことですが、これを広く多くの皆さんに認識していただくという必要があると思います。改めて国際ロマンス詐欺に対する注意喚起に取り組んでいただくようお願いして、この項目を終わりたいと思います。ありがとうございました。